虎の巣head

ディアナ論

(2025年02月01日発表)

 はじめに
 1.ディアナ別人説
  (1)ディアナについての第一の疑問
  (2)ディアナは潜入しているのか?
  (3)ディアナ本人なのか?
 2.ディアナ密命説
  (1)ディアナについての様々な疑問
  (2)ナイトハルトの虚偽発言
  (3)ディアナの決意とナイトハルトの思惑
   (i)ディアナの決意
   (ii)ナイトハルトの思惑
  (4)生き別れの弟を探すディアナたち
   (i)オービル、ノースポイント、ウェイプに配置されたバラ騎士仲間
   (ii)その他のバラ騎士仲間
  (5)ディアナのエピローグ
  (6)本章のまとめ
 あとがき
はじめに:
 ディアナ・・・主人公の一人アルベルトの姉であり、ローザリア王国次期国王ナイトハルトの婚約者でもある。
 そんなディアナであるが、ゲーム内で見られる彼女にはいくつかの謎がある。
 本稿では、そんな彼女の真相に迫ってみる。
1.ディアナ別人説
(1)ディアナについての第一の疑問
 ロマ1の世界を冒険しているとディアナの姿を目撃する場所がいくつかある。
 オービル、ノースポイント、ウェイプ・・・そして、ブルエーレの4ヶ所である。
 この出没地点で注目していただきたいのがブルエーレにいるディアナである。
 ローザリア貴族のディアナが敵国であるバファル帝国領ブルエーレの太守フランコさんの屋敷の庭でフラフラとしながらも、拘束されるわけでもなく自由に弟探しに各地に出掛けられるという極めて謎な状態になっているのである。
 #フランコ邸には門番がいて、話しかけると「帰れ!」と怒鳴られて通常は誰も入ることはできない。
 

 さて、ブルエーレにいるディアナは一体どういう状況なのだろうか?
 これがディアナについての第一の疑問である。

(2)ディアナは潜入しているのか?
 通常は入ることのできないフランコ邸に自由に出入りできるディアナは一体何をしているのか?
 可能性としては「潜入しての情報収集」が考えられる。
 つまり、イスマスの崖から落ちて流れ着いた地方で、弟アルベルトについての何かしらの情報が届いていないかと探しているのである。
 では、ディアナはフランコ邸に潜入しているのだろうか?

 (a)物陰に潜んでの潜入の可能性
 イメージとしては忍者の潜入で、侵入先の人物に見つからないように目的を達成する潜入である。
 しかしながら、ゲーム内で見られるフランコ邸のディアナは物陰に隠れるわけでもなく、門番に丸見えの状態で庭をフラフラしている。
 このような状態が「物陰に潜んで潜入している」とは到底考えられないであろう。
 
 出典:プリンセスピーチ Showtime!,任天堂.

 (b)女を武器にした潜入の可能性
 イメージとしてはルパン3世の峰不二子や暗殺教室のビッチ先生のような潜入で、女を武器にして潜入先の男に取り入るタイプの潜入である。
 この潜入ならば、フランコのお気に入りとして公認されているわけなので、我が物顔でフランコ邸をフラフラ歩き、自由に出入りできたとしても不思議ではない。
 しかしながら、その可能性は限りなく低いであろう。
 なぜなら、ディアナの「我こそはローザリアのバラ騎士にして、イスマス城主ルドルフが娘ディアナ!いざ、参る!」(ゲーム内の台詞)という口上から察することができるように、彼女は気高く高潔な人物だからである。
 そんな性格のディアナが果たして女を武器にしたような手段を用いるのだろうか?
 #そもそも、バラ騎士隊の任務は「宮廷警備や国内の治安維持」(大事典)であり、諜報活動の訓練などしていないと思われる。
 仮に弟救出のために心を殺してそういう手段を用いたのならば、ディアナの性格からして汚れてしまった身体で婚約者のナイトハルトのもとに帰ることなどできるわけもなく、全ての決着をつけた上で自害してしまうのではないだろうか。
 しかし、実際には最終的にナイトハルトのもとに帰っているので、そういう潜入ではなかったのだと思われるのである。
 

 このように、フランコ邸のディアナが潜入中だとは到底考えられないのである。

(3)ディアナ本人なのか?
 フランコ邸にいるディアナが潜入していないのならば、彼女は一体何をしているのか?
 自由に出入りできているのだから軟禁されているわけでもなさそうだし。
 そこで、考えられる可能性は・・・フランコ邸のディアナはそもそもディアナではないのではないか?ということである。
 つまり、見た目はディアナだけど、実際にはディアナではない別人ではないか?ということである。

 その根拠となるのがディアナの出現フラグである。
 先に述べたようにディアナが出現する場所はオービル、ノースポイント、ウェイプ、ブルエーレの4ヶ所であるが、ブルエーレを除いた3ヶ所とブルエーレでは移動時シンボルの設定が異なっているのである。
 つまり、オービル、ノースポイント、ウェイプの3ヶ所についてはパーティーにアルベルトがいない場合に登場して「生き別れの弟を探しているんです。」(ゲーム内の台詞)と話す設定になっているのに対して、ブルエーレのディアナはパーティーにアルベルトがいるかは関係無く、台詞も設定されていないのである。
 

 これだけならば、オービル、ノースポイント、ウェイプはアルベルトとディアナがすれ違いで再会できない演出であり、ブルエーレのディアナはアルベルトがパーティーにいて目の前にディアナがいるにもかかわらず門番に阻まれて再会できない演出になっているだけのように見えるかもしれない(実際に開発者の意図としてはそうだと思われる)。
 しかしながら、仮にブルエーレのディアナがディアナ本人だとすると、おかしなことが起こってしまうのである。
 それは最終時間経過(戦闘回数9999回)においてディアナは内部データとしては「死亡」扱いになってブルエーレからは消えてしまうのであるが、その後のアルベルトのエンディングやオービル、ノースポイント、ウェイプでは何事もなかったように生き返って登場してしまうのである(まさに、ゾンビディアナである)。
   

 このような整合性のつかない状況についても、ブルエーレのディアナがディアナ本人ではないのならば何も問題はないことになる。
 つまり、フランコ邸を歩いているのがディアナ本人ではないのならば、潜入しているわけではないので門番に捕まるわけはないし、門番の向こうにいるディアナ似の人にアルベルトが「姉さーん!」と声をかけたり、馬技でフランコ邸の庭に無理やり乗り込で話しかけたりしても無視されて当たり前だし、最終時間経過で死亡するのはフランコ邸のディアナ似の人であってディアナ本人ではないのでその後にディアナが出てきてもゾンビということにはならないのである。

 では、ブルエーレのディアナ似の人は一体誰なのか?
 思うに、フランコの娘ではないだろうか。
 おそらくディアナとフランコの娘は「貴族の娘」という括りでカテゴリーが同じなので、フランコの娘にもディアナの移動時シンボルが適用されたのであろう。
 ディアナの父ルドルフとミルザブール城主テオドールが「熱い壮年男性騎士」という括りで同じ移動時シンボルになっているようなものである。
 #なお、最終時間経過で死亡するフランコの娘に何があったのかは皆さんの想像にお任せします。
  
2.ディアナ密命説
(1)ディアナについての様々な疑問
 第1章では「ブルエーレにいるディアナが別人ではないか?」という可能性について言及した。
 しかし、ディアナについての謎はそれだけでなく、まだいくつも残されてて、具体的には以下のようなものである。
 (a)崖の上でドラゴン系モンスターに敗北した後にどうやって生き延びたのか?
 (b)生き延びた後に、どうしてまずナイトハルトのもとに帰らずに、アルベルトを探し続けたのか?
 (c)アルベルトを探しているディアナをどうしてローザリア関係者が保護しなかったのか?
 (d)ブルエーレのディアナは別人だとしても、オービル、ノースポイント、ウェイプでいつでもディアナに遭遇できるの不自然ではないのか?
 (e)今まで帰らなかったのに、どうして最終的にはアルベルトのエンディングでナイトハルトのもとに帰っているのか?

 以下では、それぞれ疑問について順に説明・検討する。

 (a)崖の上でドラゴン系モンスターに敗北した後にどうやって生き延びたのか?
 アルベルトのオープニングイベントではディアナがドラゴン系モンスターたちに囲まれた状態で敗北し、「・・・お父さま、お母さま、アルベルト・・・さようなら・・・ナイトハルト・・さ・・・」(ゲーム内の台詞)と呟くところまでが描かれている。
 この状態からどうやってディアナは無事に生還できたのか?という疑問である。
 

 この問いについては、イベント概要「イスマス崩壊」の「虎の威を借る狐」で述べた現象で説明できるだろう。
 つまり、ディアナを襲ったドラゴン系モンスターは見た目がドラゴン系なだけで実際にはL0~L6のトカゲ系編成であり、出現しうるモンスターの種類は
  ・リザードマン ・こうもり ・カークリノラース ・巨大がえる ・バファルタイガー
  ・アナコンダ ・ホーネット ・ゴブリン ・マッドゴーレム
 の9種に限られていたということである。
 従って、これらのモンスターの攻撃ならばディアナの命を奪うまでには至らなかったと考えても問題無いであろう。
 

 故に、「・・・お父さま、お母さま、アルベルト・・・さようなら・・・ナイトハルト・・さ・・・」(ゲーム内の台詞)と呟いた後には、次のような展開があったのだと思われる。
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 ドラゴン系モンスターの攻撃で致命傷を負ったと思ったディアナは別れの言葉を呟いたものの・・・「あれ、死んでいないわ?」と自分の状態に困惑した。
 困惑しながらもディアナは目の前のドラゴン系モンスターに再度立ち向かい、見事に撃退する。
 そして、残った敵の亡骸を見て理解した・・・自分は幻覚を見せられていたのだと。
 偽善のヒポクリシーの偽装魔法でトカゲ系モンスターらがドラゴン系に偽装されていたため、その存在感に圧倒されていたディアナはドラゴン系モンスターからの攻撃を致命傷と思い込んで倒れたものの、実際には格下のトカゲ系モンスターの攻撃だったために実際のダメージはそれほどでも無かったのである。

 見た目がドラゴン系モンスターを退けたディアナは、父親からの命令「二人は城から脱出し、クリスタルシティへ行き、ナイトハルト殿下に救援を求めるのだ!」(ゲーム内の台詞)を遂行するためにイスマス北口を目指してモンスター軍団に応戦するものの、多勢に無勢、最終的には追い詰められてディアナもアルベルトを逃がした崖からダイブしたのであった。
 
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 (b)生き延びた後に、どうしてまずナイトハルトのもとに帰らずに、アルベルトを探し続けたのか?
 アルベルトとナイトハルトの再会時には以下のような会話がなされる。
 アルベルト「・・・姉は?」
 ナイトハルト「・・・分からん・・・遺体は無かった。お前の姿を見た時、ディアナも元気にしているものだと思った・・・。」

 このやりとりによれば、ディアナはナイトハルトのもとに帰らないでアルベルトを探していたことになる。
 しかしながら、それはあまりにも不自然であろう。
 なぜなら、イスマス襲撃の際に「お父さまの命令を忘れたの?必ずナイトハルト様のもとへたどり着くのよ。」(ゲーム内の台詞)と言ってアルベルトを逃がしているのだから、まずはナイトハルトのもとに帰らないとアルベルトが無事にたどり着いたのかどうかも分からないからである。
 

 (c)アルベルトを探しているディアナをどうしてローザリア関係者が保護しなかったのか?
 ディアナは貴族の娘で顔も知られているだろうし、イスマス陥落からの行方不明の報も周知されていたであろう。
 故に、ディアナがナイトハルトのもとに帰らないままでアルベルトを探し続けて、ローザリアのお膝元であるオービルを徘徊していたら、ローザリア王国軍関係者に発見・保護されるのが普通ではないだろうか。
 可能性としては、「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」でゼルダが正体をばれないようにお忍びの服を着て冒険していたように、ロマ3で決意のカタリナが髪を切って姿を変えてロアーヌを後にしたように、(移動時シンボルでは姿は変わっていないけれど)実際には変装していてローザリア関係者にもディアナだとばれなかったということなのだろうか。
 
 出典:(左)ゼルダの伝説 知恵のかりもの,任天堂. (右)ロマンシングサガ3,スクウェア.

 (d)ブルエーレのディアナは別人だとしても、オービル、ノースポイント、ウェイプでいつでもディアナに遭遇できるの不自然ではないのか?
 第1章で指摘したブルエーレのディアナだけではなく、そもそもオービル、ノースポイント、ウェイプでいつでもディアナに遭遇できるのはおかしい・・・という突っ込みをしてみる。
 つまり、マップ上では一瞬で移動しているように見えるのであるが、実際にはそれらの距離は相当離れており、当然移動時間も相当かかるにもかかわらず、オービル、ノースポイント、ウェイプに行く度に弟を捜索中のディアナに遭遇できるなんてことがあり得るわけない!ということである。

 この突っ込みに対する回答として、ディアナが1人だったのならば不可能であるがディアナが複数人いたのならば可能・・・つまり、オービル、ノースポイント、ウェイプに出現するディアナは全て同時に存在している可能性はないだろうか。
 例えば、あのディアナたちは「幻体戦士術」を強化したような「魔法」(ナルトの「影分身の術」的なもの)で作られた分身だったのならば世界各地に同時に存在したとしても不思議ではない。
 仮にそうならば、ブルエーレにいるディアナも分身の一体で、移動時シンボルの設定が違うのは「軟禁されているから他とは違うだけ」という可能性もありえることになる。

 しかしながら、ロマ1のゲーム内の性能から考えると幻体戦士術では幻体を1体しか作れないし、幻体を出しているときに本体が別行動をできるのかは疑わしい。
 また、ロマ1論の「クローディア去就論」で述べたように「魔法」は一部の特別な人物しか使用できないものであるから、幻体を複数作ることのできる「魔法」をディアナが使用できるとは到底思えない。
 よって、「影分身の術」的なものでディアナが世界各地に同時に出現しているわけでもないと考えるのが妥当であろう。

 では、オービル、ノースポイント、ウェイプでいつでもディアナに遭遇できるのはどういうことなのか?
 本当にたまたま主人公パーティーの行先とディアナの捜索場所がかぶってしまった・・・「神の巡り合わせ」のようにたまたまかぶり続けてしまっているだけなのであろうか。
 逆にアルベルトがパーティーいるときには「まだその時ではない!」(シリルの未使用台詞)の如く「神の巡り合わせ」で姉弟は再会できないだけなのであろうか。
 

 (e)今まで帰らなかったのに、どうして最終的にはアルベルトのエンディングでナイトハルトのもとに帰っているのか?
 何かしらの理由があってディアナがナイトハルトのもとに帰っていなかったとしても、アルベルトのエンディングではディアナはナイトハルトのもとに帰っている。
 どういう経緯で帰ったのだろうか。
 #なお、時織人ではディアナについて「結局ナイトハルトの元に戻ることはなかった。」と説明されているが、ゲーム内では戻っているので、本稿の立場としては時織人の説明を誤りと見なす。

 このようにディアナについてはゲーム内や関連文献で語られていない謎がまだまだ多く残っているのである。

(2)ナイトハルトの虚偽発言
 何の雑誌なのかは分からないけれど、発売当時の対談記事においてスクエア広報の平田裕介氏が「一応、ディアナはナイトハルトのところへ行ってから、弟のアルベルトを探し回っているみたいですよ。」とコメントしている。
 このコメント自体を根拠にするわけではないけれど、(1)の(b)で指摘したようにディアナがナイトハルトのもとに帰らないでアルベルトを探し続けていたというのは極めて不自然であるから、生き延びたディアナはまずナイトハルトと再会した上で行方不明のアルベルトを探しに行ったと考えるのが妥当であろう。

 では、生き延びたディアナがナイトハルトと再会したのはいつのことなのか?
 キャプテンホークで確認することができるように戦闘回数32回の時間経過(アルベルトがバルハラントに漂着している)の時点でディアナはオービル、ノースポイント、ウェイプに姿を現しているので、「イスマス崩壊」から「アルベルトがバルハラントに漂着する」までの期間にディアナはナイトハルトと再会していることになる。
 加えて、アルベルトのエンディングにおいてディアナは次のように話している。
 「あの子が生きていると耳にしてから世界中を探して歩いたのに、いつもすれ違いで・・・」(ゲーム内の台詞)
 この台詞も考慮すると、ディアナは戦闘回数32回の時間経過の時点でアルベルトの生存の噂を聞いていたわけだし、当然その情報はナイトハルトにも伝わっていたことになる。
 

 故に、ディアナがイスマスから逃れてナイトハルトのもとに辿り着くまでの経緯は次のようなものであったのだと思われる。
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 崖からダイブしたディアナは先に逃がしたアルベルトを探しながら川沿いを南下していた。
 その間に、激流に流されたアルベルトはローバーンのモニカに救出されてブルエーレに逃れ、一足先に船でバファルから脱出していた。
 一足遅れでブルエーレに到着したディアナは町で聞き込みをし、アルベルトによく似た人物が船で出港したという話を聞いて、弟の無事に安堵する。
 そして、アルベルトがナイトハルトのもとに向かったと考えて、ディアナも船でローザリアに戻り、ナイトハルトのもとに帰った。
 ところが、ナイトハルトと再会したものの、先に向かったはずのアルベルトはまだ来ていないという。
 #皆さんのご存じの通り、アルベルトはイナーシーの嵐に巻き込まれてバルハラントに漂着していた。
 アルベルトの身を案じたディアナは弟捜索に旅立つのであった。
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 このような経緯でディアナが弟捜索の旅に出発していたとすると、ナイトハルトがアルベルトに話した「・・・分からん・・・遺体は無かった。」というディアナについての台詞は嘘だったということになる。
 従って、「どうしてナイトハルトはアルベルトにディアナの生存を隠すような嘘をついたのか?」という新たな疑問が生じるのである。
 

(3)ディアナの決意とナイトハルトの思惑
 ナイトハルトがアルベルトにディアナの生存を隠すような嘘をついたということは、そこに何かしらの意図があったということである。
 どういう意図によってナイトハルトの虚偽発言に繋がったのか?
 その背景にはディアナの決意があったのではないだろうか。

(i)ディアナの決意
 クリスタルシティーに帰還したディアナからこれまでの経緯の報告を受けたナイトハルトはディアナに全てを伝えて詫びた。
 ディアナの両親が亡くなっていたこと、アルベルトはまだ到着していないこと、そして今回のイスマス襲撃の原因はおそらく自分であったことを。(ナイトハルトが首謀者ヒポクリシーを欺いた結果がイスマスの襲撃につながってしまった。ミニオン論5を参照。)
 その話を聞いて、ディアナはナイトハルトに進言した。
 「アクアマリンを狙っている人物は今回の襲撃でそれを手に入れられなかったのだから、私か弟が今は持っていると疑い、追ってくるはずです。父と母の仇、私たちに討ち取らせてください。」
 ディアナからの進言を受け、ナイトハルトは考えた。
 ナイトハルトは「気が強く、活発で正義感が強い」(基礎知識編)ディアナの性格を知っていたので彼女を止めることはできないと分かっていた。
 それならば・・・ナイトハルトはディアナに「アルベルトとともにイスマス襲撃の首謀者を討伐せよ!」という密命を言い渡したのであった。
 #なお、ルドルフとマリアによってヒポクリシーは既に倒されているが、消滅しているため(ミニオン論5)、ナイトハルトもディアナもその事実を知らない。

(ii)ナイトハルトの思惑
 ディアナからの進言を受け入れてナイトハルトはディアナに密命を与えた。
 しかしながら、その裏にはナイトハルトの思惑があったのである。
 自らの野望の達成に関わって、本件でナイトハルトがすべきことは以下の4つである。
 ・陥落したイスマスにバファルが侵攻してきたら、それを機にバファルに侵攻すること。(クローディア去就論を参照)
 ・さらなる被害を防ぐためにイスマス襲撃の首謀者を討伐すること。
 ・イスマス襲撃の首謀者が狙っているアクアマリンを確保・隠匿すること。
 ・自分の妻になるディアナを守ること。

 「本当は自分のそばでディアナを守りたいが、彼女を止めることなどできない。・・・それならば、彼女のやりたいようにさせながら守るしかない。」
 「彼女の言うように首謀者が彼女やアルベルトを狙ってくる可能性は高い。・・・それならば、アルベルトを囮にしておびき出した方が早いか。」
 こうした思惑からナイトハルトはディアナに密命を与えたのである。
 念のためにディアナには変装させ、警護のためのバラ騎士数人も同行させたのであった。

 一方のアルベルトについては首謀者をおびき出すための囮に使うことにした。
 当然危険が伴うため、アルベルトとディアナが接触することを避けるために、敢えてアルベルトには虚偽発言をしたのである。
 #ディアナの生存を伝えたら、クリスタルシティーに留まって再会しようとするかもしれない。
 ナイトハルトがアルベルトにアクアマリンを取りに行かせた背景には、ナイトハルトのこういった思惑があったわけである。
 

(4)生き別れの弟を探すディアナたち
 ナイトハルトはディアナに密命を与えただけでなく、ディアナの同胞のバラ騎士隊にも密命を与えていた。

(i)オービル、ノースポイント、ウェイプに配置されたバラ騎士仲間
 オービル、ノースポイント、ウェイプに配置されたバラ騎士はアクアマリンを狙う首謀者をおびき出すためにディアナに扮していたので、移動時シンボルが女戦士ではなくディアナになっていた。
  
 彼女らは首謀者に襲撃される可能性があるわけなので、バラ騎士隊の中でも特に武力に長けた精鋭だと思われる。
 #敵国でディアナの格好はさすがにまずいのでローザリア内とウェイプにのみ配置された。なぜウェイプにも配置されたのかと言うと怪しい人物の目撃情報があったからであるが、実際にはそれはイスマス襲撃の首謀者ヒポクリシーではなくオパール狙いでアロン島に上陸したストライフであった(ミニオン論3、5を参照)。
 彼女らが「生き別れの弟を探しているんです。」と言うのは、ディアナを意識した設定なだけで実際には探しておらず、真の目的は首謀者をおびき出すことであった。
 従って、アルベルトに出会ってしまうとアルベルトに「その恰好は・・・姉さんの・・・」と怪しまれてしまうため、意図的にアルベルトを避けていたので、アルベルトがパーティーにいる場合には彼女らには出会えないのである。
 

(ii)その他のバラ騎士仲間
 ゲーム内では(i)で述べたディアナに扮したバラ騎士の姿しか目にしないが、実際にはローザリア王国内だけでなく、世界中に散って一般人に紛れて情報収集をしていたバラ騎士たちもいたであろう。
 彼女らの主な任務は、世界各地に散って首謀者に繋がる情報収集をすること、首謀者が狙ってくる可能性のある弟君を尾行・観察すること、そしてディアナとアルベルトを接触させないことであった。
 即ち、弟捜索の旅に出たディアナがアルベルトと再会できずに「あの子が生きていると耳にしてから世界中を探して歩いたのに、いつもすれ違いで・・・」(ゲーム内の台詞)となってしまったのは、たまたま運が悪かったとか、神のいたずらとかそういうものではなく、ナイトハルトの命令によりバラ騎士隊によって意図的に二人が再会できないようにされていたからなのであった。
 #二人の距離が近づいたときには一方に声をかけて足止めをする等。

(5)ディアナのエピローグ
 アルベルトのエンディングにおいてディアナは以下のように呟いている。
 「あの子が生きていると耳にしてから世界中を探して歩いたのに、いつもすれ違いで・・・
  こうやって殿下のもとで待っていれば必ず会えると・・・
  あの子はイスマスに戻り、そして・・・
  私には会うべき人も戻るべき場所も無くなってしまいました・・・」
 この台詞を加味して、ディアナの密命の結末は次のような展開であったと推察する。
 
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 「アルベルトの捜索」及び「イスマス襲撃の首謀者の討伐」という目的のために世界中を旅していたディアナであったが、(4)で述べたナイトハルトの思惑によりアルベルトと再会することはできず、また先述したようにヒポクリシーは既に消滅しているため首謀者に会うこともできないままでいた。
 あまりの出遭えなさにディアナは作戦を変更して、一旦ナイトハルトのもとに帰って、アルベルトがクリスタルシティの立ち寄るのを待つことにした。
 それはちょうどアルベルトら冒険者一行が邪神討伐のためにラストダンジョンに侵入した頃であった。
 ・・・
 その後、アルベルトらは見事に邪神討伐を成し遂げるものの、邪神と道連れにイスマス一帯の崩壊に巻き込まれてしまったのである。
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 このような展開を経て、上記のエンディングでのディアナの台詞につながったと考えれば何も問題はないであろう。
 しかしながら、これが真相だとするとディアナは既に消滅している首謀者ヒポクリシーをずっと追い続け、最終的には冒険者らの邪神討伐により任務終了となってしまうわけなので、何か報われないような気持ちが残らないわけでもない。
 そこで、さらに次のようなディアナの決着エンドについても推察してみた。
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 イスマス襲撃の際にルドルフとマリアの決死の攻撃によって消滅したヒポクリシーであったが、もともと邪神から染みだした邪気が結集して生まれた存在だったために、四散して活動は全くできなくなっていても、その存在は未だ崩壊したイスマス城内で生き長らえ、復活の機会を伺っていた。
 ・・・
 時は流れて、冒険者らの活躍によって邪神は討伐され、邪神の自爆によりイスマス一帯は崩壊・水没した。
 その際、濃厚な邪気で塗れたラストダンジョンが崩落したことで、壊滅したイスマス城内にも濃厚な邪気が流れ込んできた。
 その濃厚な邪気を吸収してヒポクリシーは身体を再生させた。
 「サルーイン様が・・・くそっ、私が必ず・・・!!!」
 ・・・と決意を固めるヒポクリシーであったが、そんな彼の前に二つの影が・・・イスマスの異変を聞いて駆け付けたナイトハルトとディアナであった。
 ナイトハルト「そいつだ。間違いない。」
 ディアナ「・・・やっと会えましたね。我こそはローザリアのバラ騎士にして、イスマス城主ルドルフが娘ディアナ!いざ、参る!」
 ・・・
 こうしてディアナは自らの手で父と母の無念を晴らしたのであった。
 
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 このような展開を経て、エンディングでのディアナの呟きにつながるわけである。

(6)本章のまとめ
 本章では(1)で挙げたディアナに関する謎について検討し、その真相について言及した。
 即ち、
 (a)ディアナがイスマス襲撃で生き延びられたのは、ドラゴン系モンスターが実際には雑魚トカゲ編成だったから。
 (b)ディアナがナイトハルトのもとに帰らずにアルベルトを探しているように見えたのは、ナイトハルトがアルベルトに嘘をついていたから。
 (b')ナイトハルトがアルベルトにディアナが行方不明だと嘘をついたのは、ディアナの身を案じて、囮として利用するアルベルトと接触させたくなかったから。
 (c)ディアナが保護されなかったのは、そもそもディアナは行方不明ではなく、ディアナとバラ騎士隊は密命で行動していたから。
 (d)オービル、ノースポイント、ウェイプでいつでもディアナに会えるのは、彼女らはディアナ本人ではなく、ディアナに扮したバラ騎士だったから。
 (e)エンディングでディアナがナイトハルトのもとに帰っていたのは、作戦を変更して一旦クリスタルシティでアルベルトを待つことにしたからであり、さらには首謀者ヒポクリシーとの決着がついたから。
 ということである。
あとがき:
 本稿では、ゲーム内で見られるディアナに関するいくつかの謎について検討した。
 その結果、ゲーム内で冒険者が目にするディアナ・・・即ち、オービル、ノースポイント、ウェイプ、ブルエーレでフラフラしているディアナはいずれもディアナ本人ではないという結論に達した。
 即ち、ゲーム内でディアナ本人に会うことのできた主人公は弟のアルベルトしかいなかったということである。