虎の巣head

ロマ1のちょっとした話題


 ・居場所数値は頭文字?
 ・現生人類の暦
 ・決戦の舞台とは?
  (1)マルディアスの太陽
  (2)邪神の心象空間
  (3)手柄泥棒
  (4)白黒の理由
  -質疑応答
 ・騎士団領発の主人公
 ・きれいな指輪1
 ・きれいな指輪2
 ・カッパは常識
 ・シリルの綿毛
 ・WSC版のシェラハ
 ・邪神と戦う理由
 ・マルディアスの星
 ・神々の警告
  (1)最終試練の入り口
  (2)カクラム砂漠の入り口
  (3)女装してエスタミルから出ようとする
 ・異世界の人
 ・道徳的アライメント

■居場所数値は頭文字?

 ロマ1の主要登場人物の居場所は0~Fの居場所数値で管理されている。
 居場所数値は一般的には、Fが「主人公」、Eが「仲間にいる」、Dが「死亡」、Cが「放浪中」である。
 Dが「死亡」を意味することから、死亡のDと言えばdeadとかdiedといった単語を連想するけど、他の3つについても何か適切な単語はあるのだろうか?
 ということで、とりあえず考えてみたのが、
  C:Changing(移動中)
  D:Dead(死亡)
  E:Enrollment(加入)
  F:First(一人目)
 #CのChangingは「変化中」・・・「(場所を)変化中」だから「移動中」という意訳です。

 英単語に詳しい方で、より適切な単語の候補がありましたら、教えていただけるとありがたいです。

■現生人類の暦

 ロマ1の文献(大事典、大全集)ではマルディアス歴を表すためにBS、ASが用いられている。
 基礎知識編によると「サルーインが封印された」時が「紀元」なので、BSは「紀元以前」、ASは「紀元以降」を表すために用いられていることになる。
 ところで、BS、ASとは何の略なのか?
 ロマ1の文献にはその記載はおそらく無い。

 私たちが用いている西暦のBC、ADの表記で、BCが「Before Christ」を意味することから、
  BS→Before Saruin(サルが封印される前)
  AS→After Saruin(サルが封印された後)
 とする説があるようであるが(もしくはミンサガ文献でそう記載されているかもしれないが)、この区分けはサルの封印前後なので、
  BS→Before Sealing(封印前)
  AS→After Sealed(封印後)
 の略と考えたほうが適切なようには思う。

■決戦の舞台とは?

 サルーインとの最終決戦の際には、サルーインが「では、私の復活の舞台へ!」と声を発することで場面がグチャグチャドロドロから天空のような壮大な場所に転換する。
 ・・・のだが、この場面転換した決戦の舞台とはどこなのか?
 見た目通り空の上なのか?
 しかしながら、サルを退治した時はイスマスの地下から爆発が起こっていたように見える。
 となると、サル戦はやはりイスマスの地下で、決戦の舞台とは漫画「呪術廻戦」で言うところの「領域展開」(自分に有利な空間を作る)をサル様が使ったということなのだろうか?
 もしくは、見た目通りイスマスの上空で戦っていて、サル様が巻き添えで「消滅せよ!」ってやったら、サル様がブラックホールみたいになって、そこに大地の破片が吸い込まれていく演出だったのだろうか?
 

(1)マルディアスの太陽

 決戦の舞台では夕方から夜、そして夜から朝に徐々に変化していくけれど、背景の太陽っぽいものが沈んだり昇ったりするわけではなく、太陽っぽいものの光り具合が変わっている。
 太陽が沈んだり昇ったりするのは世界が球体で自転しているからなので、古代神話論で述べたようにマルディアスが(現状で)球体ではないとすると、もしかしたらマルディアスの太陽は決戦の舞台で見られるように常に上空に存在していて、光り具合が変動することで昼夜を生じさせているのかもしれない。

(2)邪神の心象空間

 ・(1)で述べたようにマルディアスの太陽は常に上空に存在しているので、決戦の舞台の太陽もそのような振る舞いをする。
 ・決戦の舞台は雲から柱が突き出ているので、おそらく古代神話論で述べた天界(新しい神々のいる場所)の風景だと思われる。
 ・決戦の舞台ではサル様の状態と連動して太陽の明暗が変化する。
 以上3点より、決戦の舞台はおそらく新しい神々のいる天界を模した(イメージした)サルーインの心象空間が具現化されたもの・・・即ち「領域展開」的空間だと推察する。
 つまり、決戦の舞台はサルーインがエロールら新しい神々に打ち勝つことをイメージした空間で、決戦の舞台効果によって毎ターン完全回復している段階では「効かぬ!効かぬ!無駄!無駄!」と勝利を確信して邪神の力(闇)がエロールら新しい神々(太陽)を覆っていくのであるが、邪神の力は完全には回復していなかったために6ターン目までで完全回復効果が失われてしまい、ダメージが蓄えられてくると「あれれ・・・おかしいぞ・・・」と動揺して弱気になってしまい、それに伴って闇も振り払われて太陽(エロール)の光に塗りつぶされてしまう・・・というわけである。
 言い換えれば、決戦の舞台はサル様の心の状況を如実に表したメタファーにもなっているのである。

(3)手柄泥棒

 グレイのエンディングでエロールの化身である詩人ハオラーンが以下のように雄弁に歌う。
 「・・・空は黒く覆われ、やがて闇になった・・・だが、その闇は輝く太陽に振り払われた・・・おお、雄々しき○人の勇者は、こうして恐るべきサルーインに打ち勝ったー」
 闇になった。→輝く太陽が闇を振り払った。→勇者たちは邪神を倒した。
 この歌い方だと太陽のおかげで主人公たちが邪神を倒すことができたみたいではないか!!
 エロール(太陽神)君さぁ、自分の手柄にしないでよ。

(4)白黒の理由

 決戦の舞台の背景は最終的には白黒になる。
 これはただの設定ミスか何かと思っていたが、白黒は明るくなる最終段階・・・つまり、明るく成りきった段階なので(映画等で見る原爆シーンのように)太陽っぽいものが強烈に光ったために辺りが光に埋め尽くされて真っ白になり、物陰だけ黒くなった・・・というように見えなくもない。
 とすると、背景が白黒になってもサル様や主人公たちの姿が陰で黒くならないのには違和感があるので・・・陰にしてみた。
 #完全に白黒だと思っていたけど、よく見ると白黒になっても雲のところはうっすらと雲が見えるので、サル様や主人公たちもうっすらにした(不透明度95%)。
 

質疑応答:

 2024/04/14(日) にさくらさんから一言メッセージにいただいたコメントに対して、同日BBSにて返信した内容(No.6952)を以下に記す。
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 決戦の舞台とは?を拝見してちょっと思ったのですが、ミンサガのサルーイン戦でも柱が出てきます。
 しかもサルーインを攻撃すると徐々に柱が壊れていきます。
 何ターンかするとサルーインは剣の雨という技を使い柱を自ら全壊し次のターンにまた柱を召喚?します。
 柱が多いときはこちらからのダメージが低く柱を壊していくと与えるダメージが増えます。
 ロマサガとミンサガは別ゲームですが、この柱ってロマサガでも何か意味があるのかな~と思ってしまいました。
 最終のドロドロした舞台は実は真サルーインステータスの舞台で、上空+柱の舞台はノーマルサルーインステータスの舞台とか?
 人間如きに本気で戦うのは忍びないとか考えてハンデのつもりで舞台を変えたのかな?とか妄想しました。
 あと、柱が右に4本、左に2本みえるので足して6本の柱を破壊するまではサルーインにダメージが通らない。
 6本を6ターンと置き換えて、あの有名なサルーインのHPの謎と結びつけてみました。
 どう考えても柱はサルーインに隠れて8本、またはそれ以上あるだろうし、ミンサガの柱も後付で考えられた技やシステムだろうし、深く考えるだけ野暮 だと分かってますがついつい妄想してしまいます。
 妄想ついでに昔からの疑問ですが、何故あんなにわかりにくいサルーインのHPにしたんでしょうね?
 ラスボスに相応しい強さを演出したいならシンプルにHPを高く設定したら良いと思うのですが、655◯◯みたいな数字の制限があるからでしょうか?
 何はともあれ長文失礼しましま。
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 (i)柱にも意味があるのか?
 システム上は何も影響は無いということについては結論づけられますが、あの空間が何なのかは分からないので、あの空間と柱に何か関係があるかについては現状何とも言えません。妄想からスタートして何かそれを裏付けられるようなものが見つかれば最高ですね。

 (ii)柱の本数
 お察しの通り、サル様をどかして視認できるのは8本です。
 

 (iii)サルのHPシステム
 システムから察すれば、レベル15の技を使い切って味方パーティーが追い込まれたような状況で勝利するというカタルシスの演出が主目的で、結果としてHP上限65535(16進で FF FF)以上の高HPも実現しているといった感じだと思います。なお、高HPの表現としては、ドラクエ2(FC)でシドー(最大HP255)がベホマを使ったり、FF4(SFC)でゼロムス(最大HP65535)が特定の現在HPを下回るとサイレントで全回復したりといったシステムがロマ1以前から取り入れられています。

 (iv)失礼しましま
 かわいい。

■騎士団領発の主人公

 フロンティア   →バーバラ
 クジャラート   →ジャミル
 ローザリア    →アルベルト
 ローザリア北部  →アイシャ
 バファル     →クローディア
 騎士団領     →×
 バルハラント   →シフ
 アロン島&サンゴ海→ホーク
 リガウ島     →グレイ

 世界各地から8人の主人公の冒険が始まるのであるが、よくよく考えてみると騎士団領発の主人公がいない。
 ポジション的にはラファエルかもしれないけれど、アルと立場が若干被るし、物語的には途中で投獄されて動けなくなるからNG。
 それならば、騎士団領のイベントにガッツリ絡んで、ある程度若い人物となると・・・ラファエルとコンスタンツの友人ポジションだろうか?
 仮にそうだとしたら、「かつては仲良し3人組だったのに、そのうちの2人がくっついて気まずくなってしまう」というある意味ロマンシングな主人公になりそうではあるが・・・ドロドロな恋愛ストーリーはNGで不採用になったのかもしれません。

■きれいな指輪1

 ファラ「そんなことないよ!ジャミルは必ず戻ってくるよ。きれいな指輪でも持っていつもみたいに・・・。」
 これはジャミルエンディングのファラの台詞である。
 「きれいな指輪」?・・・ロマ1のアイテムには「きれいな"腕輪"」はあるけど"指輪"は無い。
 

 そんな「きれいな指輪」であるが・・・ロマ2では没アイテムとして、ロマ3では王家の指輪絡みで正式に存在するようです。
 参考:GCGX「ロマ2のアクセサリー」GCGX「ロマ3の王家の指輪」
 
出典:(左)ロマンシングサガ2, スクウェア. (右)ロマンシングサガ3, スクウェア.

 つまり、
  ロマ1:アイテムとして存在せず、台詞の中だけ。
  ロマ2:アイテムとして存在するが、通常入手不可。
  ロマ3:アイテムとして存在して、通常入手可能。
 というように1段階ずつ存在がレベルアップしているわけである。

■きれいな指輪2

 アイスソードやレフハンドソードといった象徴的な武器の名称が印象的であるが、
  高い指輪、普通の指輪、普通の腕輪、普通のネックレス、綺麗な腕輪
 といった材質や効果を無視した名称もロマ1の印象深い点である。

 そして、ロマ3で「綺麗な指輪」が実は「王家の指輪」であるように、ロマ1の「綺麗な腕輪」は大事典によれば宝飾工カルロ・アバルトがマルディアスの神々をモチーフにして作った7アイテムの一つ(ニーサがモチーフ)という設定としては貴重なもの。相場は100金だけど。
 きっと「綺麗な"指輪"」も神々モチーフ7アイテムの一つなんでしょうね。

■カッパは常識

 ホーク「俺はキャプテンホーク!・・・とは言っても、今じゃ船も無くして陸に上がったカッパみたいなもんさ!」
 主人公「カッパか、はっ!」
 パブでのホークとのこのやり取り・・・マルディアスではカッパという存在が、既知の生物としてなのか、未確認生物としてなのか、妖怪的な存在としてなのかは分からないけど一般に周知されているってことになる。
 イスマス兵士の「警備は万全です。コボルド一匹通しはしません!」では「"ねずみ"一匹通さない」ではなくゲーム内に登場する"コボルド"を用いていることと併せても、マルディアスではカッパは常識の範疇なんでしょうね。
 

 参考:ルーツでなるほど慣用句辞典
 >陸に上がった河童(おかにあがったかっぱ)
 >専門の、また、得意の領分の外に出て、まったく無力になってしまった人をさしていう言葉。
 >〔語源〕水中にすむ河童は、そこでは能力を十分に発揮できるが、陸に上がると力がなくなるということから。

■シリルの綿毛

 悪魔系のシリリーファズ・・・大事典によると「魔法怪物類・悪魔系・ジン属 邪気が実体化したモンスターで、実体化するには邪気の濃度が薄いらしく、足りない部分は幽体のままになっている。」というモンスターで、イメージ通りのモンスターだと思う。
 けれど、このモンスターには関連書籍では語られていない過去のエピソードがある・・・と私は思っている。
 

 シリリーファズ・・・英語で書くと「Sirily Fuzz」(大事典)。
 fuzzは綿毛(のようなもの)という意味であり、Sirilyは造語で、ロマ1を知る者ならば察すると思いますがSiril-yで「シリルの」という形容詞になっているのである。
 つまり、シリリーファズとは「シリルの綿毛」という意味になるのである。
 

 シリルは森、植物の神であり、迷いの森の大きな木(樫の木)である。
 そして、樫の木には白い綿毛のような害虫が発生するようである。
 参考:カシグネの白い綿の消毒

 思うに、シリル教の教義で「火は森を焼き」(大事典)と言われているように、シリリーファズっていうのは過去に迷いの森で大発生し、シリルや迷いの森を焼くためにシリルにまとわりついていたのではないだろうか。
 それがまさに樫の木に発生する害虫のように迷惑な存在だったので、それが転じて「シリルの綿毛」・・・「シリリーファズ」とシリル教の神官から呼ばれるようになり、それが呼称として世界中に広まったのだと推察する。

■WSC版のシェラハ

 運命石論3においてWSC版の話題を取り上げたついでに、虎の巣のモンスター表に即したシェラハの能力値を示しておく。
HP
40000/40000 180 30 63 97 53 80 39 40 120 4 - - -
- - - - - - -
装備:ドレイン9
水:40/40/177(渦潮、油地獄、ウォーターガン、癒しの水)
風:40/40/85(吹雪、ライトニング、ウインドバリア、アイスジャベリン)
闇:40/40/65(ダークウェブ、影縛り)
気:40/40/0(無し)
幻:40/40/72(雷幻術、幻霧術)

 ・SFC版の初期HP減少システムが発動していたらHPは「39688/40000」となっていたはず。
 ・虎の巣定義の魔力を計算するとシェラハの魔力は95になる。SFC版ではミニオン、デス、サルーインの魔力はそれぞれ102、118、122なので、3邪神で最低どころかミニオンよりも低くなってしまっている。かつて、3邪神で魔力が最も高いと言われていたシェラハであるが、安易に(ファンへの媚びで)登場させたために・・・いや、1000年間封印されていたために本調子では戦えなかったようである。
 ・SFC版で「ドレイン」を使用するのはレブナントだけだったので、WSC版でデビューしたシェラハはレブナント枠を狙っていたのかもしれない。ただ、SFC版とWSC版のどちらも「ドレイン」のダメージは火の法力依存なので、彼女が火術を習得していればもっと吸収の脅威が強まっていたとは思う。
 ・技使用回数99/99の設定はあるが、仮に武器の技を使用できたていたとしても現在使用回数は減少しないようである。
 ・意外にも気術の法力も有しているが、術法習得値が0のため使える術法が無い。
 ・敵の習得術法のシステムがSFC版と違い、味方と同じになっている。仮にSFC版と同じだった場合には以下の術法を習得していた。
  水:40/40/177(渦潮、毒消しの水、力の水、癒しの水)
  風:40/40/85(吹雪、風エレメンタル、ウインドバリア)
  闇:40/40/65(ダークウェブ、ブラックファイア、ホラー、ダークネス)
  気:40/40/0(無し)
  幻:40/40/72(雷幻術、幻霧術、睡夢術、火幻術)

■邪神と戦う理由

 特定のイベントに関与した場合にはエロールやニーサ、フラーマから邪神討伐の運命について聞かされるので、それが主人公にとっての邪神討伐の動機になるのであるが、そういったイベントに関与しなかった場合に「主人公が邪神討伐に赴く動機は何なのか?」と疑問を持つ人もいるようである。
 

 しかしながら、これはそんなに難しい話ではない。
 と言うのは、都会育ちの方だとあまり馴染みが無いかもしれないが、田舎では今でも日常の中で害獣・害虫駆除は当たり前に行われているのである。
 例えば、散歩をしていて農機具小屋の軒下にでっかい蜂の巣を見つけたら、自分を含めて誰かが被害にあってはいけないので自発的に駆除をするわけである。
 つまり、特定のイベントに関与していない主人公のロマ1の物語とは、
 ・散歩をしていて害獣・害虫(モンスター)が襲ってきたから退治を繰り返していたら戦闘力が高くなった。
 ・散歩をしていたら危険そうな蜂の巣(邪神)を見つけたので駆除をしたら未然に事故(邪神復活)を防ぐことができた。
 という「散歩をしていたら世界を救っていた」という物語になるわけである。

■マルディアスの星

 スターファイア、スターライトウォール、スターライトウェブ、スターソード。
 このように光の術法には「スター」という言葉のつくものがいくつかあるけれど、「光」の神エロールは太陽神なのだから、どうして「太陽」ではなく「星」なのだろうか?
 ・・・と疑問に思ったのであるが大事典に「光の神エロールの力は、昼は太陽、夜は星の光として地上に降り注がれている。」と説明してあった。
 

 なるほど、確かに夜空の星々も太陽と同じ「恒星」なのだから納得!!
 ・・・・・。
 いやいやいや、太陽は恒星の一つであって、その他の星々(恒星)までエロールの管轄っていうのは途方もなさすぎない?
 #例えるならば、日本の首相が全世界の国家元首を管轄・管理もしくは兼任しているような話のように思う。

 このように、私たちの世界の宇宙を前提で考えると↑のような疑問が出てきてしまうけれど、古代神話論で述べたようにマルディアスがシミュレーションの世界だと考えれば、マルディアスの世界は限られた範囲しか造られていないわけなので、当然マルディアスに宇宙や他の星々なんてものは存在しない(造られていない)。
 故に、おそらくマルディアスの夜の星っていうのは、あくまで天上に散りばめられているエロール管理の夜間照明のようなものなのでしょう。
 #太陽と星々はエロール管理、銀の月はエリス管理、赤い月はアムト管理である。

■神々の警告

 ロマ1では冒険中にどこからともなく神々の警告が聞こえてくることがある。

(1)最終試練の入り口

 「この試練は最後までやり遂げるか、それとも死か、どちらかしかない!それでも敢えてやるのか?」
  →「やっぱ、ちょっと待って」or「もちろん!やるぜ!!」

 この言葉は当然、最終試練で待つエロールの声であろう。
 中に入って敵を倒すことができずに進行不能になる(システム面としては、敵を倒せない状態でセーブしてしまうと詰む)状況を避けることを意図した警告となっている。
 

(2)カクラム砂漠の入り口

 「この先はカクラム砂漠!危険ですがそれでも進みますか?」
  →「止めとく」or「進む」

 この言葉は当然、管轄地域的にニーサの声であろう。
 「砂漠は危険」とは言うものの実際に危険度が高まるのかと言うと、ロマ2やロマ3のようにHPが半減するとか特定の強敵が出現するといったことはない。
 むしろ「流砂が楽しい!」というアミューズメントパーク感すらある。
 #システム面としては「主人公がアイシャの場合には詰む可能性がある」という危険性はあるので、アイシャで警告を無視して突っ込んで詰んでしまった場合には自己責任・自業自得と言えなくもない。
 

 この警告は何度でも聞くことができることから察すると、この声はおそらく「いらっしゃいませ」というお店入店時の自動音声システムのようなもので、外の世界の人であるニーサ(古代神話論を参照)に管轄地域に誰かが来たことを知らせるための機能なのであろう。(「土」のトパーズを渡す際には一声をかけたい!)
 #故に、地図からカクラム砂漠に入る場合にはこの台詞は表示されないが、実際にはスキップされているだけで、どの入り口でも聞こえていると思われる。

 また、どこからともなく声が聞こえてくるわけなので「不思議な名所」となっていてもおかしくないと思うが、実際にはそういう噂を聞くことはない。
 おそらく、マルディアスの住人がこの自動音声を聞いても「不思議な現象とは思わない」ようにニーサによってプログラムされているのであろう。

(3)女装してエスタミルから出ようとする

 「警告!!女装のままエスタミルから出ない!!」

 女装をしている状態で南エスタミルや北エスタミルの出口から出ようとしたり、北エスタミルの船着場からブルエーレやミルザブールに行こうとしたりすると、どこからともなく警告が発せられて、主人公の意思とは関係なく完全に脱出を阻止されてしまう。
 
 超常的な力で脱出できないわけなので、魔法や神々の力、もしくはプログラムの力によるものだと思われる。
 となると、この警告の主をある程度限定できることになるので、候補者として以下の4名を挙げてみた。
 ・アムトの神官アグネス:エスタミルで永眠しているが、死してなお声を聞けるし、聖杯の場所移動という物理的な奇跡を未だに起こせる。(ミニオン論4)
 ・愛の神アムト:エスタミルにはアムト神殿もあるし、女装は「愛」の多様性の範疇なのかもしれない。
 ・海の神ウコム:エスタミルを含む内海一帯を管轄しており、Jビーストを近寄らせない力(ミニオン論4)と類似した力を使えば脱出の阻止など容易であろう。
 ・古代神時代のプログラム:運命石の運命干渉効果(運命石論3)によってエスタミルに閉じ込められる設定が発動している?

 しかしながら、現時点ではまだ定めきれないので、その目的「どうして女装したままエスタミルから出てはいけないのか?」について検討してみる。
 警告されて、強制的に阻止されるということは、女装したままエスタミルを出ることは危険ということである。
 例えば、「女装したままエスタミルから出ると粉微塵に弾け飛ぶ」というプログラムでもしてあるのだろうか?
 いや、さすがにそんなマニアックでニッチなプログラムを古代神(昔の外の人)や現在の管理者エロールがしているとは考え難い。

 では、そういうプログラム的な話ではないのならば、文化的な理由ということだろうか?
 つまり「女装」に文化的な問題があるということである。
 クジャラートの方々(アフマドやハルーン)から想起される特定の文化圏における信仰では「女装は禁忌」であり、現在でも逮捕や処罰が行われたというニュースを見ることができる。
 エスタミルでも同様だったとしたら・・・ジャミルにボコられた奴隷商人は「降参。従います。協力します。」という気持ちでジャミルを女装させてくれたわけではなく、「よくもやってくれたな。女装して捕まってしまえ!」という真意があったのだろうか。
 しかしながら、エスタミルで女装をすることが危険ならば脱出することは問題無いはず。
 

 ・・・ということは、逆で、エスタミルが女装に寛容で、それ以外の地域は女装に厳しいということだろうか?
 実は大全集のクジャラートの解説に「信仰は、都市部ではウコム、アムトなど自由を認めるおおらかな神の人気が高いが、一部にマラル湖の水竜を崇める風習も残っている。」という記述があるのである。
 従って、おそらくエスタミルはマルディアスの中でも異例な「愛や性の多様性を認めているLGBT寛容地域」なのである。
 実際、ミルザブールの男は南エスタミルに移住して女装を楽しんでいるようですし。
 

 エスタミルで女装が許容されているのならば、「女装して町から出ようとすると不思議な声が聞こえる」という噂があってもいいようなものであるが、そういった噂を耳にすることはない。
 (2)で述べたニーサについては、ニーサは「外の世界の人(管理者)」なのでプログラムそのものをいじれるが、中の登場人物であるアグネス、アムトやウコムにはそういったことをすることはできない。
 それでも噂を聞かないのは、おそらくエスタミルにおける女装はある程度裕福な人の趣味であり、そういった人は教養もあるので、女装してエスタミルから出たら迫害を受けるということを知っていたので、そもそも女装したまま町を出るということをしなかったのである。
 一方で、ジャミルは貧民街育ちでまともな教育を受けておらず、女装したまま他所に行ったら迫害を受ける(場合によっては逮捕・処罰される)ことを知らなかったので町から出ようとしてしまったというわけである。

 ということで、女装時の警告の真相としては「女装に寛容な地域はエスタミルだけだということを知らずにジャミルが町から出ようとしてしまったのを見て、アムトもしくはウコムが神の力で警告して止めてくれている」ということなのではないでしょうか。
 #おそらくアグネスは聖杯のことで手一杯なので、女装問題にまで手を広げられない。

■異世界の人

 大事典にはカヤキス(kayakis)について次のように説明されている。
タラール語で「カーイ(kay)」が”黒い”、「アキス(akis)」が”異世界の人悪魔”の意味。
 「アキス(akis)」が”異世界の人、悪魔”の意味というのは意味深である。
 つまり、アキスの意味として「悪魔」だけではなく、わざわざ第一義に「異世界の人」なんて書かれているのである。
 

 以前はこの説明を見ても「タラール族の人々にとって村の外の人は異世界の人なんだろう。」くらいにしか思っていなかったのであるが、古代神話論を執筆した今、改めてこの説明を読んでみると別の可能性が想起される。
 即ち、マルディアスの人々にとっての異世界の人というのは・・・マルディアスと言うシミュレーション世界の外の世界の人(古代神の中の人)のことなのではないだろうか。
 おそらく古代神時代を生きていたタラール族の祖先の人たちは、古代神たちが自分たちとは異質な存在・・・「異世界からマルディアスに干渉している人」であると認識していて、彼らを「アキス(異世界の人)」と呼んでいたのであろう。

■道徳的アライメント

 道徳的アライメントとは、キャラクターの属性を「倫理的」な軸と「道徳的」な軸の2軸によって特徴づけるものである。
 「倫理的」な軸は「ルールを遵守するか?、軽視するか?」の軸であり、遵守するほど「秩序」寄りになり、軽視するほど「混沌」寄りになる。
 また、「道徳的」な軸は「利他的か?、利己的か?」の軸であり、利他的なほど「善」寄りになり、利己的なほど「悪」寄りになる。
 そこで、HITSTAT「道徳的アライメント」で示されている9つのタイプを参考にして、ロマ1の登場人物を分類してみた。
秩序 中立 混沌
【秩序-善】
ミルザの騎士道精神を目指しているような方々:
ミルザ、テオドール、ラファエル、
ルドルフ、アルベルト、ガラハド
  
【中立-善】
博愛精神の溢れているような方々:
マリア、ディアナ、クローディア、
フラーマ、ソフィア、コンスタンツ
シルベン、アグネス
  
【混沌-善】
反体制的英雄のような方々:
シルバー、シフ、ブラウ
 
中立 【秩序-中立】
ルールが大事で積極的には自ら動かないような方々:
ハインリヒ、最近の騎士たち、地底人、
エロール、ジャン、モニカ、ネビル、
パトリック、フェル6世、カール3世
  
【中立-中立】
世の中のことには基本関わりません!のような方々:
巨人族、オウル、タラール族、
アイシャ、デス、シェリル、四天王
  
【混沌-中立】
自分の手の届く範囲で精一杯生きているような方々:
ジャミル、ダウド、グレイ、ミリアム、
ホーク、ゲラハ、バーバラ、エルマン、
ファラ、ファラの母、ナタリー
   
【秩序-悪】
配下を操って暗躍しているような方々:
ナイトハルト、コルネリオ、マチルダ、
アフマド、ミニオンズ
  
【中立-悪】
自分の欲望のために自ら悪さをしているような方々:
ブッチャー、ハルーン、ウェイ=クビン
ヴァンパイア
  
【混沌-悪】
全てを破壊するのだー!!の方々:
サルーイン、ジュエルビースト
 
 注1:【混沌-善】のシルバーは、「シルバー論」で述べた「帝国の支配からの解放の英雄」という推察に基づいている。
 注2:エロールは本来は【秩序-善】であるが、「運命石論3」で述べたように「世界を守ること(利他的)と一旦リセットすること(利己的)の間で葛藤している」という推察に基づいて【秩序-中立】に位置づけた。

 ちなみに虎の巣管理者はIDRlabs.com「道徳的アライメント」で自分を診断してみたところ【秩序-中立】だった。
 秩序にして中立の人は通常、名誉、秩序、規則、伝統などの倫理的概念を強く信じており、従う個人の規範を遵守する傾向があります。秩序にして中立の人は、法律が強力に施行され、グループの社会秩序が維持されることを好みます。このため、彼らは伝統や歴史的先例を高く評価する傾向があります。
 この辺の文言は虎の巣の運営にもにじみ出ているように思う。