虎の巣head

ミニオン論Ⅲ -ストライフによる東部方面侵略作戦-

(2021年12月28日「1.幻影ストライフ消滅までの経緯」を発表)
(2022年01月09日「2.ストライフとマックスのムーンストーン獲得計画」を発表)
(2022年02月06日「3.コルネリオとマチルダのバファル帝国皇位獲得計画」を発表、2022年02月10日パトリックの処遇を修正)

 はじめに
 1.幻影ストライフ消滅までの経緯
  (1)幻影ストライフの冒険
  (2)幻影ストライフVSブルードラゴン(L)
  (3)ストライフリベンジ
  (4)ミニオンの面目躍如
 2.ストライフとマックスのムーンストーン獲得計画
  (1)司教補マックス、その外法の道
  (2)司教補マックス、呪い探究の道
   (i)土のファンダムの呪い
   (ii)バックベアードの「呪いの眼」
   (iii)邪術による呪い
  (3)二つの月の神殿とムーンストーン
  (4)2人の結末
 3.コルネリオとマチルダのバファル帝国皇位獲得計画
  (1)真の黒幕コルネリオとマチルダ
  (2)コルネリオとブッチャーの結託
  (3)バファル帝国における一連の事件の真相
   (i)皇女暗殺未遂事件
   (ii)第一次ゴールドマイン襲撃事件
   (iii)財務大臣横領疑惑事件
   (iv)メルビル通り魔事件
   (v)バファル帝国親衛隊員行方不明事件
   (vi)皇帝の奇病事件
   (vii)ジェルトン襲撃事件
   (viii)第二次ゴールドマイン襲撃事件
   (ix)メルビル海賊襲撃事件
   (x)メルビルモンスター軍団襲撃事件
 おわりに
はじめに:
 サルーインのミニオンの一人、「闘争」のストライフ。
 彼が侵略を担当するのはマルディアスの東部方面・・・即ち、バファルとアロン島、リガウ島である。
 本稿では、ストライフによる東部方面侵略作戦の語られぬ背景について言及する。
1.幻影ストライフ消滅までの経緯
(1)幻影ストライフの冒険
 ミニオン論Ⅰにおいて、ミニオンはロマ2の七英雄、ロマ3の四魔貴族に相当する存在であり、ミニオンの本体はラストダンジョンにいて、その幻影が外界で活動していること述べた。
 しかしながら、ロマ1の物語開始時からエロール神殿地下のサルーイン秘密神殿にいるストライフは幻影ではなく本体であるから、ストライフの幻影は物語開始時以前に既に消滅してしまっているようなのである。
 ではストライフの幻影はどうして消滅してしまったのであろうか?

 ロマ1の物語が開始する以前、邪神サルーインから染み出したストライフは自分の担当地域である東部方面に眠るデステニィストーン「気のムーンストーン」を獲得するために、幻影体でアロン島に上陸していた。
 そして、鬱蒼と茂るジャングルを抜けてムーンストーンがあるという二つの月の神殿にたどり着いた。
 ところが、その入り口は固く閉ざされていてびくともしない。
 自慢の火術も頑強な石壁には全く役に立たない。

 イライラする気持ちを抑え、神殿に入る手がかりはないかと周囲を探索すると、幸か不幸か大自然に隠された洞窟を発見した。
 キャプテンシルバーの財宝の洞窟である。
 その洞窟を奥に進んでいくと、巨竜ブルードラゴン(L)がストライフの前に立ちふさがった。
 「お前の後ろの宝は何だ?」
 ストライフの問いかけに対してブルードラゴン(L)は威嚇で返す。
 

 ブルードラゴン(L)はかつて海賊の英雄キャプテンシルバーが助けた幼竜の成長した姿である(大事典、用語辞典「シルバー」)。
 シルバーへの恩義から彼の死後も彼の財宝を守り続けているのであろう。
 #ドラゴン系の(S)と(L)は別種であり、(S)が成長すると(L)になるわけではない。(S)が小竜族、(L)が巨竜族である(大事典、勇の章、モンスター図鑑)。また、ブルードラゴン(S)については「デスによって造り上げられたモンスターなので、彼の命令は絶対に聞くが、他の者の命令はサルーインであっても聞かない。」と解説されている(大事典、勇の章、モンスター図鑑)。従って、(S)がストライフに問いかけられていたとしも(L)と同様の態度をとったであろう。そして、おそらく(S)は(L)に付き従って財宝を守っているのだと思われる。

 神殿に入れずにイライラしていたところに、ブルードラゴン(L)が反抗的な態度をとったことで、血気盛んなストライフはもはや我慢の限界であった。
 「愚かな。燃やし尽くしてくれるわ!」
 幻影ストライフとブルードラゴン(L)の戦いが始まった。
(2)幻影ストライフVSブルードラゴン(L)
 まず、ストライフのステータスは以下の通りである。
HP
7301/7373 84 84 84 84 84 84 84 0 84 4 - - -
- - - - - - × - - - -
1:通常攻撃14
火:50/50/41(ファイアウォール、ファイアボール、セルフバーニング)

 次に、ブルードラゴン(L)のステータスは以下の通りである。
HP
9736/9812 68 102 68 68 68 68 68 0 68 4 - × -
- - - - - - - - - - - - - -
1:稲妻14(稲妻(全))
2:牙14(毒牙、麻痺牙)
風:70/70/0(なし)

 ストライフの攻撃方法の中で最大火力なのはファイアウォールで約500~600のダメージを与えるが、6回しか使用できない。そして、直接攻撃は約150のダメージを与える。
 一方のブルードラゴンLはほぼ稲妻を使用し、約300のダメージを与える。
 

 なかなか接戦になりそうな感じである・・・と思われたが、実際に戦わせてみると結果はブルードラゴンLの完勝であった。
 ストライフは最初はファイアウォールで押せるものの、それが尽きたら火力不足となり、ブルードラゴン(L)の体力を削りきる前に塵も積もればの稲妻ダメージで敗北を喫してしまうのである。
 「おおー、信じられぬー!」
 決め台詞とともにストライフの幻影は消滅した。

 このように、気のムーンストーンには近づけなかったものの、意図せずして風のオパールに近づくことができたストライフであったが、ブルードラゴン(L)の守る宝箱の中にオパールがあることを知ることもなく、ブルードラゴン(L)の猛攻の前に幻影を消滅させられたのであった。
(3)ストライフリベンジ
 本稿における幻影ストライフの消滅の経緯についての推察は以上であるが、上述の結果により「サルーインのミニオンともあろう者が竜一匹に後れを取って情けない!」という印象をもしかしたら与えてしまったかもしれない。
 しかし、そう判断するのは待っていただきたい。
 というのは、シルバーの洞窟の地相は「水」属性なので火術使いのストライフにとってはハンディキャップを背負わされた戦いだったからである。
 ・・・ということで、仮に地相が「無」属性の場所で戦っていたらストライフはブルードラゴン(L)に勝てていたのか?
 汚名挽回の戦いをしてみた。
 火力が上がりファイアウォールのダメージが約600~700になった・・・ものの、まだ勝てない。

 もうなりふり構ってはいられません。勝てばよかろうなのだー!
 ・・・ということで、ストライフはブルードラゴン(L)にどうしても勝ちたいので、火術がいっそう燃え上がる地相が「火」属性の場所でリベンジ!
 火力がさらに上がってファイアウォールのダメージが約700~800になった・・・にもかかわらず、勝てない。
 最も有利な状況で戦ってみても、ストライフの敗北時にブルードラゴン(L)のHP残量はおよそ1700あるので、全然僅差ではなく、全く勝てる見込みが無い。

 戦法を変えて、12回使えるセルフバーニングに賭けてみるという手もあるが、ブルードラゴン(L)はほぼほぼ稲妻ばかり使うので、この戦法は現実的に厳しいと思われる。
 結局のところ、残念ながらストライフではブルードラゴン(L)にどうやっても勝てないのでした。
(4)ミニオンの面目躍如
 では、仮にシルバーの洞窟に訪れたミニオンがストライフではなく、ヘイトやワイルだったらどうなっていたのか?
 ヘイトやワイルならばブルードラゴン(L)を倒すことができるのか?

 まず、ヘイトのステータスは以下の通りである。
HP
7301/7373 84 84 84 84 84 84 84 0 84 4 - - -
- - - - - - × - - - -
1:通常攻撃14
闇:50/50/61(ブラックスフィア、ブラックファイア、ホラー、ダークネス)

 結果としては、ブルードラゴン(L)をブラックスフィアで気絶させて難なく勝利!
 #ホラーでパニックさせても攻撃がこちらに来てしまうので、ホラーではダメ。
 

 次に、ワイルのステータスは以下の通りである。
HP
7301/7373 84 84 84 84 84 84 84 0 84 4 - - -
- - - - - - × - - - -
1:通常攻撃14
邪:50/50/127(アニメート、イーブルスピリット、アゴニィ、ポイズンガス)

 結果としては、ブルードラゴン(L)をポイズンガスで毒にしてもよし、イーブルスピリットで憑依状態にして稲妻自爆させてもよしで難なく勝利!
 

 以上のように、東部方面の担当がストライフではなくヘイトやワイルだったならば、風のオパールはおそらくサルーイン側の手に渡っていたことでしょう。
2.ストライフとマックスのムーンストーン獲得計画
 シルバーの洞窟でブルードラゴン(L)によって幻影を消滅させられたストライフ。
 幻影を失ったからといって侵略作戦を中断するわけにはいかず、本体で外界での活動を開始した。
 そして、二つの月の神殿の入り方を求めて、バファル帝国の首都メルビルの地下下水に潜伏するサルーイン教団と接触した。
 しかしながら、サルーイン教団の者達は誰も二つの月の神殿への入り方は分からなかった。

 そんな中、一人の神官が考えを述べた。
 「ストライフ様、神殿の入り方は分かりませんが、ムーンストーンが必要ならば誰かに持って来させてはいかがでしょうか?」
 彼の名はマックス・・・・エロール教団の司教補である(大事典、時織人)。

(1)司教補マックス、その外法の道
 さて、ムーンストーン獲得計画について話を進める前に、まずはマックスという存在について整理しておく。
 マックスという名前はゲーム内では登場せず、いくつかの文献にだけ登場し、その存在については次のように記述されている。
 ・「メルビルのエロール教の神官でソフィアの部下。実はサルーイン教団と通じており、エロール教団乗っ取りを図る。」(大全集)
 ・「メルビルのエロールの神官。地位としては司教補。つまり、ソフィアのすぐ下。しかし実際はサルーインの信徒である。エロール神殿の地下でミニオンと一緒におり、サイクロプスとともに襲ってくる。」(大事典)
 ・フェル6世の解説に「直接皇帝に呪いをかけた司教補マックスを処刑した。」(時織人)
 つまり、サルーイン教の地下神殿にいる赤いサルーインの神官がマックスである。
 

 マックスについてまず第一に明らかにしておきたいことは、彼はいつからサルーイン教団の信徒なのかということである。
 つまり、もともとサルーイン教団の信徒でエロール教団を乗っ取るためにエロール教団に潜入したのか?、それとももともとエロール教団であったが後に何らかの理由によりサルーイン教団に入信したのか?ということである。
 これについてはどちらの場合もありえるかもしれない。

 前者の場合は、マックスは漫画「ワンピース」におけるヴェルゴさんのような存在となる。
 #ヴェルゴはドンキホーテ海賊団の幹部でありながら、その生い立ちを隠して海軍に潜入し、内部で暗躍しながら十数年かけて中将の位まで昇りつめた人物である。
 この場合のマックスの生い立ちや境遇に思いを馳せると、いろいろとドラマティックな妄想が捗るのですが、実際のところの可能性は低いように思う。
 と言うのも、現状のサルーイン教団の活動はというと、
 ・「平和教団の名を偽って一般市民に近づき、いつの間にか洗脳してしまう。」(大事典、輝の章)というキャッチセールス的な勧誘活動。
 ・「依頼を受けて、呪殺を請け負う。」(大事典、輝の章)という恨み屋本舗的な復讐代行業。
 ・誘拐してきた一般人をサルーインに生贄として捧げることによる自己鍛錬活動。
 といった短期的な活動ばかりであり、エロール教団を乗っ取る・・・即ち、司教・神官長の地位にまでに昇りつめるという十年単位の時間がかかるであろう長期的な計画を実行しているとは到底思えないからである。
 

 また、マックスは司教補の地位まで昇りつめているので、当然光術に長けていたのであろうが、ロマ1の物語開始時には闇術・邪術を習得した状態でサルーイン教団の地下神殿にいる。
 つまり、物語開始時には司教・神官長の地位を諦めてしまっているのである。
 諦めてしまった理由は、神官長ソフィアのレベルが別格過ぎて、自分ではどうしても敵わないと悟ったからであろうが、司教補になるほどまでの長い年月をかけたのにもかかわらず、それが実現できそうにないとなったらすんなりと諦めて「今日はバファル帝国最期の日!」と全てを破壊して終わりにしようとするのは、かけた時間に反してあまりにも行き当たりばったり過ぎる計画と言わざるを得ない。
 従って、さすがにそんな計画を行っていたとは考え難いように思うのである。
 #人間は闇術・邪術を習得できないが、赤魔法使いは光術や気術も習得できるので、邪悪な存在が光術・気術を習得できないという制限はないようである。従って、マックスが既に人間をやめた状態であったとしても光術の習得はできる。

 一方で後者の場合は、マックスはロマ1論の「ウェイ=クビン論」で述べたウェイ=クビンと似たような境遇の存在となる。
 優秀なマックスはエロール教団のエリート街道を進んでいた。
 しかしながら、先達であるソフィアの才能は別格であり、自分がどう足掻こうともその領域に達することはできそうになかった。
 そのような現実を突きつけられながらも、司教補の地位では満足できず、何としても司教(神官長)の座を手にしたい。
 そんなマックスの野望を感知する者がいた。
 サルーインのミニオンである。
 #「ミニオン論Ⅱ」で述べたように、ミニオンは権力があり、かつ野望を持っている人物を利用する。
 こうしてマックスは自身の野望「エロール教団の司教(神官長)の地位を得る」(即ち、エロール教団をソフィアから乗っ取る)という野望の成就のためにミニオンと結託したのである。
 #ウェイ=クビンはフラーマを超えるためにサルーイン教団の力は必要ないと判断したが(ウェイ=クビン論)、マックスはソフィアを超えるためにサルーイン教団の力を受け入れることにした。

 このような経緯だとすると、大事典のモンスター図鑑に記載されているマックスと思われる者についての記載と食い違いが生じる。
 大事典における赤色のサルーインの神官(マックスのモンスター時の姿)の解説には次のように書かれている。
 「サルーインを信仰すれば、永遠の命を授けられるという言い伝えを信じ、密かに崇めている者たち。」(サルーインのしもべ)
 ・・・永遠の命を求めてサルーインを信仰していると記述されているのである。
 しかし、仮にエロール教団のマックスが永遠の命を求めてサルーイン教団に所属したのなら、サルーイン教団での活動に励めばいいだけのことであり、エロール教団を乗っ取りを目論む動機には何もつながらないように思う。
 それに、上記の解説は「サルーインのしもべ」についてのものであるが、マックスとの戦いにおいて彼は「サルーインの神官」の名を冠しているのである。
 よって、本稿では大事典の「サルーインのしもべ」の解説はマックスのものではないという立場を取るとともに、マックスがサルーイン教の信徒になったのは永遠の命を求めたからなのではなく、上述した野望の成就のためという立場を取る。

 なお、大事典における「サルーインのしもべ」の解説は、敵として登場するモンスターというよりは一般的なサルーイン教団の信徒についてのものだと考えたほうが妥当のように思う。
 というのは、まずサルーイン教団の正式名称は「サルーインの下僕粛清教団」(大事典、輝の章)であり、信徒は皆サルーインの下僕(しもべ)である。
 加えて、大事典の「サルーインのしもべ」(赤色の法衣)については「しもべたちは自らの血や生気をサルーインに献上しているので、骸骨のような姿をしている。」と説明されているのに対して、「サルーインの神官」(緑色の法衣)については「身も心もサルーインに捧げてしまったため、骨だけの生物となってしまった。自分にはもうサルーインに捧げる物がなくなったため、若い娘をさらって生き血を石像に塗るのだ。」と説明されているように、明らかに「サルーインのしもべ」(赤色の法衣)がさらに悪化したものが「サルーインの神官」(緑色の法衣)なのである。
 よって、サルーインの神官の域にまで達していない信徒が「サルーインのしもべ」なのだと考えられるのである。
 そして、マックスが赤色の法衣なのに「サルーインの神官」であるのは、彼が生贄の儀式をやる段階までには至っていないものの、別格の能力を持っていたためにその地位を与えられたからでしょう。
 
(2)司教補マックス、呪い探究の道
 自分の野望の成就のためにミニオンと結託したマックスはストライフに提案をした。
 「ストライフ様、神殿の入り方は分かりませんが、ムーンストーンが必要ならば誰かに持って来させてはいかがでしょうか?」
 続けて言う。
 「『呪いを解くにはムーンストーンが必要』という言い伝えがあります。ですから、重要な人物・・・例えば、バファル皇帝に呪いをかけたならば、その呪いを解くために誰かがムーンストーンをその神殿から持ち出して来てくれるのではないでしょうか?」
 マルディアスの人々にとってデステニィストーンはおとぎ話に出てくる存在であり、それが本当に存在すると思っている者は多くはない。
 しかしながら、マックスはその実在をミニオンから聞かされていたので上記のように提案したのである。
 おそらくムーンストーンの効果についてもおとぎ話として伝わっていたのでしょう。
 #例えば、玉手箱と言えば「開けると中から煙が噴き出してきて、それにより老化する」効果があるといったように。
 こうしてストライフはその提案を採用し、作戦の進行をマックスに任せたのであった。

 さて、皇帝にかけられた呪いとはどのようなものであったのだろうか?
 サルーイン教団は「依頼を受けて、呪殺を請け負う。」(大事典、輝の章)という復讐代行業務を行っているので、そこで用いられている呪いを皇帝にもかけた・・・と思っている方もいるかもしれないが、本当にそうだろうか?

 物語初期にメルビルにおいて起こる北の道具屋の変死事件では、犯人であると疑われた南の道具屋は次のように語る。
 「冗談じゃねえぜ。いくら俺でもそこまでは。おっと、そう言えば黒いローブを着た奴が恨みのある相手がいれば呪い殺してやるとか何とか言って金をせびりにきたなー。」
 北の道具屋の変死はどうやらサルーイン教団の呪いが原因のようである。
 そして、その呪いの症状はどのようなものであったのかと言うと、その症状について北の道具屋の娘は次のように語る。
 「朝、お父さんがあんまり遅いので寝室に見に行くともう虫の息でした。ただ、地下から黒いものが…と言っていました。隣に寝ていた母さんは何も気がつかなかったらしくて…。そのショックで病気になって…。私…ううっ…私、どうしたら…いいんでしょう…。」
 #南の道具屋は自分は事件に関係ないと言っていますが、北の道具屋は亡くなっているので、おそらく金を払っているのでしょう。
 

 一方で、物語中期に発生する「皇帝の奇病」イベントでは、皇帝の症状についてネビルとソフィアは次のように語る。
 ネビル「皇帝陛下の病が思わしくないのだ。しかも原因がはっきりしない。」「体から力が吸い取られていくような感じなのだ。」
 ソフィア「皇帝陛下の病が思わしくありません。原因がはっきりしないのです。」「体の力を吸い取られていくような感じがするそうです。これは病気ではなくて何者かの呪いかも…。」
 

 双方を比較すると、明らかに呪いの症状が異なっているのである。
 つまり、変死事件の呪いは一晩で命を奪う強力なもので、かつ黒いものが視覚的に確認できる呪いである一方で、皇帝の奇病の呪いは長期に渡って徐々に体力を奪うもので、かつ黒いものは確認できない呪いなのである。
 この違いは、呪いの強度の違いによるものではなく、呪いの種類がそもそも違うからではないだろうか?

 皇帝を呪う作戦の進行を任されたマックスであったが、サルーイン教団の用いる呪いはマックスの望むものではなかった。
 つまり、そんな強力な呪いをかけて皇帝を殺してしまっては、ムーンストーンを持ってこさせるという本来の目的が達成できないのである。
 必要なのは皇帝が長期に渡って苦しむ呪いであり、それによって誰かにムーンストーンを持ってこさせなければならない。
 こうしてマックスの呪い研究が始まったのである。

(i)土のファンダムの呪い
 呪い研究を始めたマックスは土のファンダム採集に明け暮れていた。
 というのは、マルディアスには土のファンダムについて次のような言い伝えがあるからである。
 「人間が時々家を建てようとして地面を掘ると、土のファンダムがいることがある。掘り当ててしまった者たちは、直ちに動物の生贄を捧げ、土を埋めないと呪いにかかって全員死ぬと言われている。」(大事典、輝の章)
 マックスは頑張って土のファンダムを捕獲したのであるが、よくよく考えたら「皇帝陛下が直々に穴掘りをするようなことはない!」ということに気づき、土のファンダムを利用する方法は断念することにした。
 なお、捕まえた土のファンダムは後にストライフと結託したコルネリオ&マチルダに譲り渡したので、ローバーン城でペットとして飼われることになったという。
 

(ii)バックベアードの「呪いの眼」
 土のファンダム利用を断念したマックスは、バックベアード採集とポイズンローズ採集に明け暮れていた。
 これらのモンスターは特殊攻撃「呪いの眼」を使用することができるのである。
 しかしながら、被験者を呪いの眼によって状態異常「呪い」にしても、これといった変化が全く見られない。
 #本稿を執筆している2022年の段階でも、未だに状態異常「呪い」の効果は確認できておらず、その真価は不明である。
 「どうしてだろう?」とサルーイン教団の蔵書を読んでいると、バックベアードについての気になる解説が目に飛び込んできた。
 「巨人や悪魔の死体から、眼球だけが飛び出して、意志を持ったモンスターで、サイクロプスの目玉は特に能力が高いと言われている。」(大事典、輝の章)
 これまでに捕獲したバックベアードはきっと弱い魔物の目玉から生まれたものなのだろう。
 サイクロプスの目玉からバックベアードを製造したら、きっと「呪いの眼」も効果を発揮するはず!
 そう確信し、マックスはストライフにサイクロプスの調達をお願いした。
 ムーンストーン獲得のためならば…と、ストライフはサイクロプスを連れて来た。
 しかしながら、その愛らしい瞳で見つめてくるサイクロプスを手にかけることはとてもできなかった。
 こうしてストライフとマックスの新しい家族が一人増えたのである。
 

(iii)邪術による呪い
 なかなか理想の呪い開発が上手くいかないマックスが次に目をつけたのは邪術であった。
 邪術に「邪気を発して生命力を吸い取る。」(大事典、輝の章)効果のあるライフドレインという術法がある。
 この術法を改良すれば上手い具合に皇帝を弱らせることができるのではないか?
 このひらめきにより、マックスはストライフに邪術ライフドレインを使用できる者の調達をお願いした。
 しかしながら、実はロマ1の敵でライフドレインを使用可能なものは一匹(一人)として存在しないのである。
 唯一ライフドレインを使用することができるのは赤魔法使いのみである。
 ストライフは自分が赤魔法使い化すればライフドレインを使用可能なことを知っていたが、実験材料にされるのは嫌だったので、使用可能なものはいないとマックスに告げた。
 そして、計画を進めるために代わりに連れて来たのがスフィンクスであった。

 さて、皇帝の症状についてネビルやソフィアが「力が吸い取られていくような感じ」と言うので、「吸い取られる」ならばライフドレインと考えてしまいがちであるが、決して「命が吸い取られるような」とは言っていない。
 あくまで「力」が吸い取られているような感じなのである。
 つまり、皇帝の症状はライフドレイン的な命の吸い取りではなくて、「力が出ない」的な弱体化なのである。

 マックスはストライフの連れて来たスフィンクスを共同研究者とし、スフィンクスの使用可能な邪術ウイークネスに着目した。
 ウイークネスは「憎悪のパワーを集中して、相手に強力な呪いをかける。生気を打ち消して、腕力や防御力など全ての能力を著しく低下させる。」(大事典、輝の章)という術法であり、実戦においては全てのステータス(腕力、体力、器用さ、素早さ、知力、精神、愛、魅力)を減少させる効果がある。
 この術法を改良して上手い塩梅に調整すれば、いい感じに皇帝を弱体化できるはず。
HP
5739/5795 56 75 56 56 56 56 56 0 51 68 - - ×
- - - - - - - - - - - - - - -
装備:なし
風:56/56/53(ブラッドフローズ、エレメンタル、ウインドバリア)
邪:56/56/63(ウイークネス、イーブルスピリット、アゴニィ、ポイズンガス)
幻:56/0/29(幻影魅力術、睡夢術、火幻術)

 スフィンクスとともにウイークネスの改良を試みる日々を続けたマックスであったが、なかなか理想とする形にならなかった。
 「力が足りない。」
 マックスはエロール教団で感じたソフィアという大きな壁のように、呪い研究においても大きな壁にぶち当たっていた。
 「邪術を真に研究するためには、私自身が邪術の道に突き進むしかない!」
 マックスは覚悟を決め、ストライフに願い出た。
 「ストライフ様、どうか私に力をお与えください。」
 こうしてマックスはモンスター化したのである(赤色の法衣のサルーインの神官になった)。
 #マックスが一般のサルーインの神官(緑色の法衣)や屈強なタルミッタ兵よりも強力な能力値を持つのは邪悪な力によるものだろう。
 #これまではおそらくちょくちょくとエロール神殿にも顔を出していたが、これ以降は出勤していないと思われる。その結果、ソフィアに「側近に不審な動きが見られた」(大事典、輝の章)と言われるに至ったのであろう。

 ストライフに力を与えられたことにより、闇術と邪術を習得し、自分でもウイークネスを使用することができるようになったため、マックスの呪い研究は革新的な進行を見せた。
 そして、一つの結論にたどり着く。
 呪いの強度を上手い具合に調整するためには、対象の身体とつながりのあるもの・・・例えば、本人の髪の毛が必要であると。
HP
766/773 30 30 30 30 30 30 30 0 30 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:ガーラルフレイル11(スタンニングブロウ、ダブルヒット、三力破)
闇:50/50/63(ブラックスフィア、ブラックファイア、ホラー、ダークネス)
邪:50/50/63(ウイークネス、イーブルスピリット、アゴニィ、ポイズンガス)

 マックスからの要請を受け、ストライフはバファル皇帝の髪の毛を入手するための適任者をミニオンセンサーで探した。
 その結果、選ばれたのはバファル皇帝フェル6世の妹マチルダ(ローバーン公コルネリオの妻)であった。
 マチルダはストライフと結託し、難なくフェル6世の髪の毛を入手した。
 そして、それはマックスのもとに届けられた。
 こうしてバファル皇帝にかける呪いは完成したのであった。
(3)二つの月の神殿とムーンストーン
 呪いを完成させたマックスはメルビル図書館に訪れていた。
 そして、蔵書の中に埋もれてしまっていた一冊の本を目立つように配架し直した。
 それが「呪いを打ち消すにはムーンストーンが必要である。」と記載されている本である。
 「(皇帝が呪いにかかったとなれば)これで誰かがムーンストーンを神殿から持ち出してくれるはず。」
 マックスによる皇帝を呪ってムーンストーンを獲得計画の下準備が整ったのであった。

 さて、後々この本の情報をもとにロマ1の主人公達はムーンストーンを獲得することになるのであるが、果たして主人公達以外がムーンストーンを獲得することはできたのであろうか?
 本節ではこの点について言及したい。

 ムーンストーンは二つの月の神殿に安置されているのであるが、神殿に入るための方法は古文書に記録されている。
 古文書は「ゲッコ族が文明を築いたころより伝わっている文書。いまでは使用するものがいなくなった古代語で書かれている。」(大事典、輝の章)ので、二つの月の神殿はサルーインが封印される以前に既に建造されていたということになる。
 #ゲッコ族はサルーインに創られた種族なので、封印後に建造されたということはありえない。
 

 そして、古文書には二つの月の神殿に入るためにはアムトのシンボルとエリスのシンボルが必要であると記述されている。
 赤い月の女神アムトは闇の女王シェラハの魔力を抑えるためにエロールによって生み出されたわけだから、二つの月の神殿が建造されたのは、デスとシェラハが降参して、サルーインが孤軍奮闘していた頃ということになる。
 おそらくその頃、デスとシェラハを退けたアムトとエリスの二つの月の力を讃える目的で当時の人達によって二つの月の神殿は建造されたのでしょう。
 #なぜジャングルに建造されたのか?動物を創造したエリスにちなんで獣の多いジャングルが選ばれたのかとも考えたが、それだとアムトは関係なくなる。仮説ではあるが、ジョジョの奇妙な冒険第6部で語られていたように、地球ではケープ・カナベラルがロケットの発射に適しているのと似たような理由かもしれない。つまり、ケープ・カナベラルもマルディアスのジャングル(アロン島)も赤道の近くであり、二つの月の女神達が降臨した際に再び月に一番戻りやすい場所として選ばれたのかもしれない。

 そして、神殿に入るために必要なアムトのシンボルであるが、大事典には「バファル帝国の政情不安定による宝石輸出量の減少に影響を受け、現在では生産されていない。」(輝の章)と記述されている。
 つまり、邪神封印戦争の頃だけでなく終戦後もアムトのシンボルは人の手によってそれなりの数が生産されていたことになる。

 また、エリスのシンボルについては、大事典に「昔は闇から身を守るためのおまじないとして、誰でもエリスのシンボルを首から下げていたが、現在ではほとんど見られなくなってしまった。」(輝の章)と記述されている一方で「選ばれた者にのみ所有を許される貴重な品である。」(輝の章)とも記述されている。
 この二つの記述は矛盾するように見えるが、おそらくかつてはエリスのシンボルをみんな持っていたが、今ではほとんど失われてしまっていて、現存する物を入手できるのは選ばれた者のみ(具体的には、シリルに選ばれた者のみ)ということなのであろう。
 #エリスのシンボルは「サーベルタイガーの牙で作られていて、表面には信仰を表す古代神文字が刻まれている。」(大事典、輝の章)ものであるが、在庫が限られた状況をみると、その製造方法は後世に伝わっていないようである。

 これらの記述から、邪神封印戦争が終結した直後の頃には、アムトのシンボルもエリスのシンボルも世の中にそれなりの数が出まわっていたということになる。
 #実際、ゲーム内においてもアムトのシンボルとエリスのシンボルは複数個(無尽蔵に)入手可能である。
 

 そして、二つの月の神殿に安置されているムーンストーンであるが、これについては大事典に「ミルザの死後はエリスとアムトの信者によって神殿にまつられている。」(輝の章)と記述されているので、邪神封印戦争終結後にはすぐさま二つの月の神殿に安置されることになったようである。
 #二つの月の神殿にムーンストーンが安置されることになった理由は、エリスとアムトが司る系統は両者とも光、気、幻であるが(基礎知識編)、光のダイヤモンドはシェラハ封印に使われ、幻のアメジストはエロールが所有することになったため(大事典)、残ったのは気のムーンストーンだけだったからであろう。

 さて、そうなると・・・である。
 当時の世の中には、アムトのシンボルとエリスのシンボルはそれなりの数が世の中に流通していたのである。
 果たして、二つのシンボルを手に入れて、それらを神殿のくぼみにはめ込んだら誰でも神殿に入ることができたのであろうか?
 ・・・断定はできないが、おそらく入ることができなかったのではないだろうか。
 実際、アムトの神官は「どんな事情かは存じませんが、あなたがアムトとエリスに祝福されているならば、そこに入ることもできるでしょう。」と二つの月の神殿に入るためにはアムトとエリスの祝福も必要であると語った上で、アムトのシンボルを託してくれる。
 また、ムーンストーンを届けた主人公に対してソフィアが語る「あなたは神に愛されているのね。」とは、主人公が入る資格(アムトとエリスの祝福)を得ていたことを示唆しているだろう。
 #従って、ストライフやマックスがアムトのシンボルとエリスのシンボルを入手していたとしても、おそらく二つの月の神殿に侵入することはできなかったと思われる。
 

 そして、邪神封印戦争が終結しても、サルーイン教団は密やかに活動を続け、彼らによる呪いが横行していたのかもしれない。
 そんな時にはエリスとアムトを崇拝する者によってムーンストーンは神殿から持ち出され、呪いの除去に用いられたのであろう。
 その逸話がおとぎ話やメルビル図書館にある「呪いを打ち消すにはムーンストーンが必要である。」と記述された蔵書として後世に伝わることになったのである。
 #上述の呪い除去のために神殿の入り口を開けた際に内部にモンスターが侵入してしまって今に至っているのであろう。
(4)2人の結末
 マックスの完成させた呪いがバファル皇帝に対して発動された。
 その結果、「皇帝陛下、病に倒る!」。
 バファル皇帝の様態の悪化がバファル帝国中に報じられた。

 さて、この「皇帝の奇病」イベントについてもいくつか整理しておきたい。
 第一の問い・・・極めて重要な問いであるが、「冒険者がムーンストーンを用いて皇帝の呪いを解除したにもかかわらず、どうしてストライフはそれを奪おうとしてこなかったのか?」ということである。
 そもそも皇帝に呪いをかけたのはムーンストーンを入手することが目的だったはずである。
 ストライフが侵入できなかった二つの月の神殿からムーンストーンが持ち出されたのにもかかわらず、どうしてストライフは動かなかったのか?

 皇帝の解呪に立ち会ったのは、冒険者、ソフィア、ネビルだけであったのだが、ムーンストーンが略奪される可能性を考えて、このメンバーで解呪の方法については口外しないと約束した、もしくは嘘の方法・・・例えば「迷いの森の魔女の秘薬を用いた」と口裏を合わせたのかもしれない。
 しかしながら、そうだとしても解呪の後の復帰披露の場において皇帝の解呪に冒険者が関わっていることは(ストライフと結託している)コルネリオとマチルダにも伝わっているわけだから、その情報はストライフにも伝わっているはずである。
 どんな方法で解呪したのかは分からなくても、ムーンストーンを用いた可能性が少なからずあるのだから、ストライフは冒険者に接触しなければならなかったはずである。
 しかし実際には、ストライフは何もしてこなかった。何故なのか?
 

 おそらく、原因としては、皇帝の髪の毛を入手するためにマチルダと結託したことで想定外の誤算が生じたからだと考える。
 詳細については第3章で述べるが、結託した際の取り引きにおいてコルネリオとマチルダはストライフにバファル帝国転覆計画を持ち掛けたのである。
 それはストライフにとっては嬉しい誤算・・・本能を刺激する誤算であった。
 その大規模な紛争を予感させる壮大な計画にストライフの司る「闘争」の本能が刺激され、もはや抑えきれなくなってしまったのである。
 バファル帝国転覆計画のことで頭がいっぱいになってしまったストライフは、本来の目的であるムーンストーンの獲得は二の次になってしまい、結果としてコルネリオとマチルダから皇帝復帰の報を受けても冒険者に接触することはなかったのである。

 ストライフが動かないなら、マックスが代わりに動けばいいではないか!と思うかもしれない。
 しかしながら、マックスは「動けなかった」のかもしれないのである。
 それが「皇帝の奇病」に関する第ニの問いに関わってくる。

 第二の問いは「マックスと対峙した際に、どうして彼は『今日はバファル帝国最期の日!』と叫んだのか?」ということである。
 メルビルのエロール神殿の地下・・・サルーイン教団の地下神殿でストライフとマックスと対峙した際に、二人は叫ぶ。
 ストライフ「その者達を殺せ!サルーイン様の復活を阻もうとする奴だ。必ずしとめろ!!」
 マックス「今日はバファル帝国最期の日!そしておまえ達にも最期の日だ!!」
 

 この二人の台詞・・・物語後半のメルビルにおける「モンスター軍団襲来」イベント時には違和感を感じないかもしれない。
 しかしながら、物語序盤に滝登りを用いて二人に会いに行っても全く同じ台詞を叫ぶのである。
 物語序盤なので冒険者達がサルーイン復活の妨げになり得ることを何もしていない段階においてでも同じ台詞なのである。
 それだけではない。
 そもそもマックスの野望は、エロール教団の司教の座を手に入れること(エロール教団の乗っ取り)であって、バファル帝国の滅亡ではない。
 それなのに何故マックスはバファル帝国を滅ぼすと宣誓しているのだろうか?

 おそらく、ロマ1の物語の開始時点で既にマックスは自我を失ってしまっていたのである。
 ストライフと結託し、マックスは皇帝を呪う計画を進めた。
 その過程でストライフから邪悪な力を与えてもらうことにより、理想の呪いを完成させた。
 しかしながら、ストライフから与えられた力の代償はあまりに大きかった。

 次の二つはマックス(赤色の法衣)と一般のサルーイン教団の神官(緑色の法衣)のステータスである。
HP
766/773 30 30 30 30 30 30 30 0 30 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:ガーラルフレイル11(スタンニングブロウ、ダブルヒット、三力破)
闇:50/50/63(ブラックスフィア、ブラックファイア、ホラー、ダークネス)
邪:50/50/63(ウイークネス、イーブルスピリット、アゴニィ、ポイズンガス)

HP
90/90 9 9 9 9 9 9 9 0 9 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:レイピア3(睡魔剣)
闇:10/10/1(影縛り)
邪:10/10/1(ポイズンガス)

 圧倒的にマックスのステータスのほうが強力なのであるが、それほど強大な邪悪な力を注ぎ込まれたことにより、マックスの肉体と精神は徐々に邪気に蝕まれていったのであった。
 こうしてロマ1の物語開始時には既に呪いを完成させていたものの、ストライフ由来の「闘争」の本能に侵食されて自我を失い、もはやストライフの合図で動く戦闘マシーンのような状態になってしまっていたのである。
 即ち、ストライフの「その者達を殺せ!~」という台詞は戦闘マシーンと化したマックスの起動の合図であり、マックスの「今日はバファル帝国最期の日!~」とい台詞はバファル帝国転覆計画にワクワクドキドキしているストライフ由来の「闘争」本能の表れなのである。

 物語開始時に既にマックスが廃人化していたのならば、時織人のバファル皇帝の解説に記述されている「直接皇帝に呪いをかけた司教補マックスを処刑した。」という一文と矛盾するのではないか?と思うかもしれない。
 つまり、マックスが廃人化していたのならば、皇帝に呪いをかけることはできないのではないか?…と。
 それが次の「皇帝の奇病」に関する第三の問いに関わってくる。

 第三の問いは「皇帝の奇病はどうして放っておいても自然治癒したのか?」ということである。
 戦闘回数240回の時間経過で発生する「皇帝の奇病」イベントであるが、放置しておくと戦闘回数624回の時間経過によって自然に解決してしまう。
 その場合、二つの月の神殿の入り口は閉じたままだし、もちろん神殿の中にムーンストーンが安置されたままなので、誰かがムーンストーンを持ち出して皇帝の呪いを解除したわけではない。
 ではどうして皇帝の呪いは自然に解除されたのだろうか?

 その理由は、バファル皇帝の強靭な肉体が呪いに打ち勝った・・・というわけでは決してなく、おそらくコルネリオとマチルダが呪いを解除するように要請したからである。
 マックスの開発した呪いは、ウイークネスを元にしたものであり、その呪い自体で皇帝の命を奪うようなものではなかった。
 しかしながら、皇帝のあらゆる能力が減退した結果、免疫力の低下によるウイルス由来の体調不良も併発してしまい、それが日に日に悪化していったのである。
 コルネリオとマチルダは次期バファル皇帝の座を狙っているものの、皇女クローディアの生存が発覚している状況において現皇帝を亡きものにしても、後継争いで面倒になることは明らかである。
 従って、自分達に次期皇帝の座が回ってくるような状況が整うまでは現皇帝に生きていてもらったほうが都合がよかったため、皇帝への呪いを止めさせたのである。

 では、皇帝に呪いをかけていたのは誰か?
 先に述べた通り、物語の開始時点ではマックスは廃人化しているので、そのようなことを行うことはもはやできない。
 では、皇帝に呪いをかけた実行犯は誰か?
 皇帝への呪いを開発したのはマックスだけではない・・・そう、呪いの実行犯は研究協力者のスフィンクスである。
 #もともと邪術ウイークネスを使用でき、かつ能力値もマックス以上であるため、スフィンクスにとってはマックスの開発した呪いを用いることは容易であった。
 実際、滝登りを用いて物語初期に地下神殿でマックスを討伐したしても、「皇帝の奇病」イベントの発生を阻止することはできない。
 これは呪いの実行犯がマックスではない証拠であり、スフィンクスが別のところ・・・おそらくローバーン城において「・・・にサルーインの黒き呪いを・・・」と呪いの儀式をやっていたのであろう。
 #ミニオンは「サルーイン様」と呼ぶが、一般のサルーインの神官(緑色の法衣)は「サルーイン」と「様」をつけずに呼ぶ。スフィンクスもサルーイン直属ではないので、「様」をつけずに呪いの文言を唱えていたのであろう。
 

 コルネリオとマチルダから皇帝を呪うことを止めるようにいわれたものの、スフィンクスは皇帝を呪うことを止めたくなかったかもしれない。
 しかしながら、上司のストライフがコルネリオとマチルダの計画に心を奪われてしまい、「二人の言うことを聞きなさい!」と命令されていたために、仕方なく皇帝への呪いを解除した。
 このような経緯で皇帝の奇病は自然治癒したわけである。

 その後、物語後期のメルビルにおける「モンスター軍団襲来」イベントにおいて、「ここで仲良く死ね!」と喜々としてスフィンクスは皇帝の命を奪いに来る。
 本来、自分の呪いの儀式で命を奪うはずだったのに、(ムーンストーンによる解除、またはコルネリオとマチルダによるストップで)邪魔された鬱憤を晴らすために!
 

 全てが終わって、バファル帝国における争乱を目の当たりにして満足したストライフは笑顔でラストダンジョンに帰宅する。
 一方、廃人と化したマックスはメルビル警備隊らによって拘束された。
 マックスはもはや意思疎通のできる状態ではなかったが、地下神殿から出てきた呪い研究の書類等や、マックスが闇術・邪術使いになっていたことが証拠となり、「皇帝に呪いをかけた実行犯はマックスである」と断定された。
 こうして時織人に記述された「直接皇帝に呪いをかけた司教補マックスを処刑した。」という結末を迎えたのであった。
3.コルネリオとマチルダのバファル帝国皇位獲得計画
(1)真の黒幕コルネリオとマチルダ
 第2章で述べたように、マックスからの要請を受け、ストライフはバファル帝国皇帝フェル6世の髪の毛を入手するための適任者をミニオンセンサーで探した。
 その結果、選ばれたのは皇帝フェル6世の妹マチルダ(ローバーン公コルネリオの妻)であった。
 

 ローバーン公妃マチルダとは一体どのような人物なのか?
 「前バファル皇帝フェル5世の末娘で、フェル6世の腹違いの妹。」(大事典)
 ・・・先帝フェル5世の血を引く人物である。

 「政略結婚でローバーン公へ嫁ぐ。」(大事典)
 政略結婚と聞くとローバーン公がバファル帝国においてより強大な権力を得るためのもの・・・というように思うかもしれないが、実際のところは衰えつつあったバファル帝国の国力を保持するために皇帝側がローバーン公との繋がりを確固たるものにするためのものだったのであろう。
 というのも、ローバーン公は「巨大勢力ローザリアに唯一対抗できる力を持つ、バファル帝国最前線の町ローバーンを治めている。」(大事典)と説明されていたり、ゲーム内においても強力な海軍を有していることを誇っていたりと、その保持する軍事力はかなりのものであることが伺える。
 国力が衰えつつあるバファル帝国において、もしもローバーン公が反旗を翻したら・・・ただでは済まないのは明らかである。
 #実際、過去には北バファル領を治めていたライマン家が独立を宣言し、ローザリア王国が誕生している。
 それ故に、そのような事態を事前に防ぐことを意図した政略結婚だったと考えられるのである。

 「現在皇位継承順位1位。」(大事典)
 「フェル6世が病床にある今、彼女が皇位を継ぐのも遠くないと思われていた。」(時織人)
 誤解している方もいるかもしれないが、ローバーン公コルネリオは自分が皇帝になることを画策しているわけではない。
 妻のマチルダが皇帝になることで、実質的にコルネリオもバファル帝国の最高権力者になるのである。

 「美しい容姿の女性だが、権力に執着し自らが皇帝になろうと画策する。」(大全集)
 「自らが帝国の皇位に就くことを密やかに画策しており、日夜裏工作に専念している。外見は美しいが、本当の姿は冷酷な権威主義者である。」(大事典)
 このようにマチルダは自らがバファル帝国の皇帝になるという大きな野望を持っているのである。
 従って、ローバーン公妃であり、かつ自らが皇帝になるという野望を持っているマチルダは、「権力があり、かつ野望を持っている人物」というミニオンが利用する人物の条件(「ミニオン論Ⅱ」を参照)を満たしているだけでなく、現皇帝の実の妹であるから、皇帝に接近しても不自然ではないので、皇帝の髪の毛を入手するという大任の遂行に適任だったのである。

 ストライフはマチルダの前に現れて取り引きを持ち掛けた。
 「バファル帝国の皇帝の座を差し上げましょう。その代わり、私にも力を貸していただきたい。」
 マチルダはその話に興味を示した。
 そして、その場に夫コルネリオを呼び、二人は相談する。
 しばらく話し合った後に二人はストライフに話しかける。
 「お互いの目的のために協力しましょう。」
 「皇帝の髪の毛は私が持ってまいりましょう。」
 「その代わり、あなたにお願いしたいことがある。それは、・・・」
 二人は壮大なバファル帝国転覆計画へのストライフの協力を要請した。
 第2章で述べたように、その計画はストライフの本来の目的をどうでもよくさせてしまうほどの本能を刺激するものであった。

 このような経緯で、コルネリオとマチルダによるストライフ一派を巻き込んだバファル帝国皇位獲得計画が開始されたのであった。
(2)コルネリオとブッチャーの結託
 バファル帝国皇位獲得計画を目論むコルネリオとマチルダであるが、この計画はストライフに取り引きを持ち掛けられたことで初めて考えられたのであろうか?
 いや、おそらくはバファル帝国皇位獲得計画はもともと決行予定のものとして二人は計画を進めていたのであろう。
 そして、ストライフから取り引きを持ち掛けられた際に二人は相談し、ストライフ一派による暗躍も取り込んだ計画にバージョンアップさせたのである。

 では、二人がもともと計画していたバファル帝国皇位獲得計画とはどのようなものであったのか?
 その計画の鍵となるのがサンゴ海の海賊団、ブッチャー党であった。
 「パイレーツコーストを根城にしている海賊たちは、主にサンゴ海を航行するバファル帝国の船や、悪徳商人たちから金を巻き上げる、いわば穏健派であった。」(大全集)
 穏健派の海賊とはどういうことなのかというと、それはゲーム内でのホークとブッチャーのやりとりから分かる。
 ブッチャー「海賊は舐められちゃおしめえだ!襲った船の奴らは必ず皆殺しにするんだ!」
  ホーク 「そんなことをしたら誰もサンゴ海を行き来しなくなるぞ!そうしたら俺たちゃ終わりだ!」
 ブッチャー「そうなったら海岸の町を襲えばいいんだよ!」 
  ホーク 「町の連中と戦争する気か?馬鹿馬鹿しい。」
 このように穏健派の海賊は「海上が仕事場」で、「襲う相手を選び」、「お宝はいただくが命は奪わない」という信条で海賊稼業をやっている者達である。
 そんな中で登場したイレギュラーな海賊が「己の利益のためならどんなに悪逆非道なことでも平気で行う、卑劣で血も涙もない男」(時織人)ブッチャーなのである。
 ブッチャーはサンゴ海を中心に略奪を繰り広げ、略奪の悪どさと残忍な嗜好で、サンゴ海を通るすべての船乗りから恐れられていた。(基礎知識編)
 

 そんなある日、ブッチャー率いるブッチャー党はバファル帝国海軍艦隊に遭遇し、窮地に追い込まれていた。
 さすがのブッチャーも多勢に無勢で帝国海軍に捕らえられ、自身の最期を覚悟した時だった。
 「海賊ブッチャー。お前の夢は何だ?」
 そう語りかけたのは帝国海軍を率いるローバーン公コルネリオだった。
 「全世界の海賊を支配しようとする、サディスティックな野心家」(大事典)であるブッチャーは自身の死期を悟って叫んだ。
 「海賊王に・・・俺はなる!!!」ドン!
 そんなブッチャーにコルネリオは続けて言う。
 「ここで死ぬか、その夢を叶えるか、どちらがいい?」
 思わぬ問いかけの意味を理解できないブッチャーは拘束されたままでコルネリオの部屋に連行された。
 そして、人払いをして二人きりになったところでコルネリオはブッチャーに言う。
 「お前の夢に協力してやる。その代わり、私のために働け!」
 コルネリオはバファル帝国皇位獲得計画への協力をブッチャーに要請した。
 このような経緯でコルネリオはブッチャーと結託したのであった。
 こうしてブッチャーは「バファル帝国(コルネリオ派)と手を組み、陰で皇帝フェル6世失脚を支援する。」(大全集)ことになったのである。

 ブッチャーは開放され、帝国海軍はバファル帝国への帰路に就く。
 その船上でコルネリオの側近の海軍兵の一人が恐縮しながらコルネリオに尋ねた。
 「コルネリオ様、海賊と手を組むのはさすがにまずいのでは・・・」
 それに対してコルネリオは淡々と答える。
 「この場で海賊団を一つ潰したところで高々知れている。海賊同士で争わせて自滅させ、最後に残った奴らを潰せば終わりだろ?」

 ローバーン公コルネリオ。
 「小さいころから頭が切れ、エリートコースを歩む。」(大事典)
 「極めて自己中心的考えを持つ野心家」(大事典)
 「帝国の実権を握ろうと画策する」(大全集)
 ブッチャーとの交渉はコルネリオとマチルダの皇位獲得計画の一部であり、この時点で計画の下準備は進んでいたのである。
 つまり、最終的には海賊達にメルビルを襲撃させ、現皇帝の命を奪わせる。
 そして、メルビルを襲撃した海賊達をコルネリオ率いる帝国海軍によって一掃すれば、コルネリオは国を救った英雄となり、その妻であるマチルダは国民の歓迎ムードの中で次期皇帝の座に就くことができるのである。

 その計画のために、ブッチャーに夢を見させて欺いたのである。
 その計画のために、海賊と手を組んだのは海賊を殲滅するためであると直属の帝国海軍の兵士達を欺いたのである。
 そして、その計画を盤石のものにするためにストライフとの交渉に応じ、ストライフを利用することも計画に組み込んだのであった。
 コルネリオのことを警戒するバファル帝国法務大臣兼親衛隊長のネビルが彼のことを「ローバーン公は抜け目ない方だ。」と称するように、コルネリオの言動と計画には死角が無かった。
 

 その後、ブッチャーはコルネリオの手を借りて、帝国海軍による海賊仲間のホークの始末を企てる。
 さらに、仕込みの茶髪男に「ホークが内通者である」と偽りの証言をさせることで、ホークをパイレーツコーストから追放することに成功する。
 こうしてブッチャーはパイレーツコーストの支配者になったのであった。
 

 コルネリオとブッチャーの馴れ初めについては以上であるが、ブッチャーの野望に関わる余談としてゲッコ族の密売についても触れておきたい。
 アロン島のウェイプで発生する「ゲッコ族解放」イベント・・・ウェイプの武器屋がジャングルから誘拐してきたゲッコ族を密売しようとしているの阻止するイベントである。
 阻止する際に海賊との戦闘になるので、この事件に海賊が関わっていることは明らかであるが、ホークが主人公の場合にはホークが「てめえらブッチャーの手下だな。トカゲを売って儲けようとは奴の考えそうなことだぜ!覚悟しろい!!」と叫ぶので、この事件の黒幕がブッチャーであると分かる。

 さて、このゲッコ族密売であるが、よくよく考えてみると疑問が沸いてくる。
 つまり、売られたゲッコ族は果たしてどこに行っているのだろうか?
 ゲッコ族が売買されているにしては、世界中でゲッコ族を目にする機会はあまりに限られているのである。
 #少なくとも、ゲーム内において売買されたゲッコ族を目にする機会は一度もない。
 冒険者が立ち入ることのできないような場所・・・例えば、未開の地で開拓作業を強いられていたり、貴族の愛玩動物とされていたりするのだろうか?
 もしくは、食用!?
 ・・・可能性はいろいろ考えられるが、実のところはおそらくまだゲッコ族の密売は常態化していない・・・もっと言えば、まだ1匹も売られていないのではないだろうか?
 というのは、未使用ではあるが「武器屋の親父が新顔になったよ。」という台詞があるので、この台詞を根拠にすれば、ブッチャーの息のかかった人物に武器屋の親父が変わったのはつい最近のことだということになる。
 また、この事件についてゲッコ族の一匹は「なきゃまは南きゃら来た連中に連れていきゃれた!」というが、この台詞もつい最近に起こった事件について語っているようにも聞こえる。
 つまり、常態化しているならば「なきゃまはいつも南きゃら来た連中に連れていきゃれている!誰もきゃえってきていない。」のように、台詞も相応のものになるのではないだろうか。
 このような理由からゲッコ族密売はまだ準備段階であり、冒険者の介入により攫ってきたゲッコ族が売られる前にこの悪事は阻止されることになったと推察する。
 

 では、どうしてブッチャーはゲッコ族密売という新規事業に着手したのだろうか?
 ブッチャーは自分とは反りが合わず、自分の思い通りにならないホークを排除しようと画策していた。(基礎知識編、時織人)
 従って、間違いなくブッチャーにとってホークは気になる存在であった。
 では、どうしてブッチャーはホークのことがそんなに気になるのだろうか?
 おそらくではあるが、ブッチャーはホークに対して憧れや羨ましさ、嫉妬心のような感情があったのだと推察する。
 海賊としてのホークが眩しすぎて、その姿を見ると自分は劣等感に苛まれてしまう。
 それ故にホークを排除して、自分が一番の海賊であるという安心感を得たかったのであろう。

 ロマ1の文献にはブッチャーがホークに対してそのような感情を抱いていたという記述は無い。
 ところが、ゲーム内ではブッチャーがホークを羨ましく思っていたと捉えられる描写があるのである。
 下図の左はホーク初期にパイレーツコーストで目にすることができるブッチャーの船「シーデビル」で、右は物語後期の「モンスター軍団襲来」イベントでメルビルにブッチャーが襲撃した際の船である。
 

 ・・・このように、ブッチャーの船の外装がレイディラック号になっているのである。
 #情報元:http://mio.skr.jp/cgi-bin/sagambsf3nm/dr.cgi?key=87の8.(wani!氏のコメント)
 これはつまり、ブッチャーは密やかにホークに憧れていたため、ホークを排除した後に、自分の船をホークの愛船レイディラック号を模した外装に改装したわけである。
 始末したと思っていたホークが「ブッチャー、決着つけてやるぜ!!」と乗り込んできたときに、「ホーク!てめえこそヘド吐いて死ね!」とブッチャーは強がっていましたが、内心はホークの真似をしたことが本人にばれてしまって、恥ずかしいような、照れるような、焦るような複雑な心境だったことでしょう。
 

 そんなブッチャーなので、実はホークがゲラ=ハを相棒としていることも羨ましく思っていたのである。
 ブッチャーは「ゲラ=ハとはウェイプで出会った」(時織人)とホークが話していたことをしっかりと覚えていて、トカゲ仲間を探しにこっそりとウェイプに赴いた。
 しかし、ウェイプにトカゲは一匹もいなかった。
 そこで、トカゲを探してジャングルを進んでいくと無事にトカゲ達の住処を発見し、トカゲ達を仲間に勧誘する。
 しかしながら、トカゲ達は誰一匹としてその誘いには応じなかった。
 ・・・込み上げてくるホークに対する劣等感・・・ホークにはトカゲ仲間がいるのに、自分にはいない・・・。
 そんな気持ちが転じた結果、何やかんやでブッチャーはゲッコ族密売に着手し、「トカゲなんかいらない!」という気持ちになることでホークに対する劣等感を払拭しようとしたのでしょう。
(3)バファル帝国における一連の事件の真相
 ゲーム内においてバファル帝国では数々の事件が発生する。
 それらを時系列順に列記すると以下のようになる。
 ・皇女暗殺未遂事件(「オウルとの死別」における回想)
 ・メルビル北の宿屋の娘失踪事件(「サルーイン秘密神殿」)
 ・メルビル北の道具屋変死事件(「サルーイン秘密神殿」)
 ・第一次ゴールドマイン襲撃事件(「ゴールドマイン襲撃1」)
 ・財務大臣横領疑惑事件(「パトリック失脚計画」)
 ・メルビル通り魔事件(「皇女の護衛1」)
 ・バファル帝国親衛隊員行方不明事件(「ジャン救出作戦」)
 ・皇帝の奇病事件(「皇帝の奇病」)
 ・リガウ島の事件であるが、ジェルトン襲撃事件(「ジェルトン襲撃」)
 ・第二次ゴールドマイン襲撃事件(「ゴールドマイン襲撃2」)
 ・メルビル海賊襲撃事件(「モンスター軍団襲来」)
 ・メルビルモンスター軍団襲撃事件(「モンスター軍団襲来」)
 上記のように全部で12の事件が発生しているが、この中でコルネリオとマチルダが関係していないものはメルビル北の宿屋の娘失踪事件とメルビル北の道具屋変死事件の二つだけで、他の事件には全てコルネリオとマチルダが関わっているのである。
 #メルビル北の宿屋の娘失踪事件とメルビル北の道具屋変死事件はサルーイン教団の通常業務である。
 本節では、コルネリオとマチルダが関わったこれらの事件の真相について言及する。

(i)皇女暗殺未遂事件
 ロマ1の物語の舞台から遡ること22年前、バファル帝国皇帝フェル6世に待望の第一子が産まれた。
 皇女クローディアである。
 #時織人のフェル6世の解説「39歳の時、46代皇帝フェル5世の死去により皇位を継承。(中略)42歳で初めて皇女が生まれ、同時に皇后を亡くす。」

 誰もが皇帝の世継ぎの誕生を喜んだ・・・かと思われたが、それを快く思っていない者もいた。
 フェル6世の妹、マチルダである。
 当時、マチルダが既にコルネリオのもとに嫁いでいたかどうかは定かではないが、次期皇帝の座を狙っていた彼女にとっては、皇位継承順位が1位となった皇女の存在は邪魔以外の何物でもなかったことは確かであろう。
 そこで、マチルダは裏で手を回し、皇女の暗殺を謀ったのである。
 内通者の協力により、暗殺者は堂々と城の中を通って皇女のもとに現れた。
 しかしながら、皇女養育係さんの機転により皇女は既に何者かに連れ去られた後だった。
 こうして皇女の暗殺は未遂に終わったものの、皇女は行方不明となり、マチルダが皇位継承順位1位になったのである。
 #大事典のマチルダの解説「現在皇位継承順位1位。」

 過去にはこのような事件があったわけであるが、そんなに皇位に執着するマチルダがどうして22年もの長い間フェル6世の暗殺を企てなかったのだろうか?
 また、どうして長い間フェル6世の暗殺を企てなかったのに、22年経ってようやくフェル6世を亡き者にすることも含めた皇位獲得計画を実行することになったのであろうか?
 この二つの問いについて推察を進める。

 まず、第一の問いについてであるが、マチルダについて気になる記述がある。
 「皇帝フェル4世の次女」(大全集)
 「バファル皇帝フェル6世の次女であり、~」(大事典)
 この時点で既に父親が矛盾しているのであるが、
 「前バファル皇帝フェル5世の末娘で、フェル6世の腹違いの妹。」(時織人)
 という記述と現皇帝フェル6世がフェル5世の息子であろうことから、マチルダの父親もフェル5世と考えるのが妥当であろう。
 従って、上記の大全集と大事典の記述には誤りがあるということになるが、肝心なのはそこではなく彼女が「次女」ということである。
 ・・・長女はどうした?
 マチルダが現在皇位継承順位1位ということは、おそらく・・・そういうことである。
 故に、皇女暗殺未遂事件に加えて、フェル6世の暗殺まで実行して、皇位継承順位1位だった長女と現皇帝の不審死が続いてしまっては、さすがに皇位継承順位1位のマチルダに疑いの目が向けられてしまっても仕方がないだろう。
 そんな理由により、マチルダはフェル6世には手を出さず、待つことにしたのである。

 次に、第二の問いについてであるが、おそらく皇女生存の可能性に気がついたからであろう。
 皇女暗殺未遂の際に、暗殺者が皇女養育係さんに「おい!皇女はどうした!」と聞き出そうとするも、皇女養育係さんは茫然とただ「行ってしまわれた・・・皇女様は行ってしまわれた・・・」と呟くばかり。
 異変に気付いたバファル帝国親衛隊達の接近を察知した暗殺者は皇女の行方を聞き出すことができぬまま城外に逃亡した。
 こうしてマチルダのもとに皇女の行方が伝わることはなかった。
 

 一方で、バファル帝国親衛隊長ネビルは落ち着きを取り戻した皇女養育係さんから皇女の行方について聞き出していた。
 そして、その真実・・・皇女は迷いの森の魔女に保護された・・・ということは、ごく一部の者(ネビル、皇帝フェル6世、ソフィアあたり)のみの秘匿とされた。

 時は流れ、22年後。
 皇帝フェル6世も高齢となり、体調も思わしくなくなってきていた。
 #時織人のマチルダの解説に「フェル6世が病床にある今、彼女が皇位を継ぐのも遠くないと思われていた。しかし、第一皇女クローディアの生存が確認されたため、皇帝の座に確実に就くべく夫を焚き付けたとも言われている。」とあるので、奇病以前から皇帝の具合は芳しくなかったようである。
 そこで行方不明の皇女の捜索が始まったのである。
 ネビルからの密命を受け、バファル帝国親衛隊のジャンは迷いの森に行方不明の皇女を探しに出かけた。
 その動き(ネビルがジャンに何かを探させていること)は、内通者によりコルネリオとマチルダに伝えられていた。
 それにより、頭の切れるコルネリオは察したのである。
 「まさか・・・皇女か・・・?」
 22年もの長い間我慢してきて、ここで皇女の生存が明らかにされてしまっては全てが水の泡になりかねない。
 もはや待っているわけにはいかない。
 こうしてコルネリオとマチルダはバファル帝国皇位獲得計画を企てたのだった。

 そして、実行犯としてサンゴ海の海賊ブッチャー党に目をつけ、3.(2)で述べたように計画通りにブッチャーと結託した。
 その後、2.(2)で述べたようにムーンストーン獲得を望むストライフの接近があり、コルネリオとマチルダはストライフと結託することで、バファル帝国皇位獲得計画をバージョンアップさせたのである。

 コルネリオとマチルダの計画その1は「皇女の行方を捜すジャンの抹殺」であった。
 皇女が見つからなければ、マチルダの皇位継承順位1位は揺るがない。
 それならば、皇女を探している人物を抹殺して皇女が見つからないようにすればいい・・・という算段である。

 ・・・バファル帝国親衛隊のジャンは迷いの森に行方不明の皇女の捜索に出かけるも、迷いに迷って連日の成果無しが続いていた。
 しかし、その日はいつもと違っていた。
 いつもは大人しい獣しかいなかった迷いの森にモンスター(オーク×2)が待ち伏せしていたのである。
 当然、それらはコルネリオとマチルダの依頼によりストライフ一派によって差し向けられたモンスターなのであった。
 

(ii)第一次ゴールドマイン襲撃事件
 まず、この事件の構造について整理しておく。
 この事件は事前に「サルーイン秘密神殿」イベントを解決することで発生を防ぐことができる。
 また、事件発生中ならば「サルーイン秘密神殿」イベントを解決することでも事件を収束させることができる。
 従って、この事件はコルネリオとマチルダから依頼を受けたストライフがその依頼をサルーイン教団に丸投げして、サルーイン教団がモンスター達を手引きすることによって発生した事件ということになる。
 #依頼主がいなければ事件は起きないし、依頼主がいなくなればその依頼を遂行する必要は無くなる。

 次に、この事件の目的を明らかにする。
 ゴールドマイン・・・「帝国の資金源として知られる皇帝の直轄領」(大事典)である。
 そんな場所をターゲットとしてコルネリオとマチルダの計画その2は実行された。
 では、この計画の目的は何か?
 大全集に「帝国内での勢力争いが激しくなってきた昨今、ゴールドマインの金も有力諸侯にねらわれている。」という記述があるので、コルネリオ達も金を狙ったのであろうか?
 おそらくそうではないだろう。
 なぜなら、大全集に「現在、バファル帝国の勢力は、首都メルビルに鎮座する皇帝フェル6世そしてローバーンを治めるコルネリオ公爵とに二分されている。」と説明されているように、既にコルネリオは十分な力を持っているため皇位獲得計画を決行するにあたって特に今以上の資産が必要なわけではないし、マチルダが皇位を継承すれば自ずとゴールドマインは自分達のものになるわけだから、現段階で端金程度の金を奪う必要は全くないのである。

 では、ゴールドマイン襲撃の目的は何か?
 それはバファル帝国財務大臣パトリックの失脚である。
 パトリック・・・関連文献にはその人物像について解説されていないが、明らかなことはメルビルの一等地に邸宅を構えているということである。
 
 それを妬む者達からは「財務大臣は横領しているのではないか?」という噂がもともとあったのかもしれない。
 コルネリオはそんなパトリックの裕福さに着目して、失脚に追い込もうとしたのである。
 その意図は・・・おそらくパトリックが親皇帝派(フェル6世派)だったため、マチルダの皇位継承の邪魔をする可能性のある人物として排除するためのものであったのだろう。
 モンスター達に強奪されたゴールドマインの金塊がパトリック邸から発見されれば、パトリックが金塊を横領したということだけでなく、モンスター達とのつながりがあるということも疑われることになる。
 そうなれば、パトリックは財務大臣を更迭されるだけでなく、極刑に処される可能性すらあるだろう。
 この事件はそんな目論見によりコルネリオとマチルダがストライフに依頼することによって引き起こされた事件なのであった。

 なお、襲撃された金庫の前には通常時には「ここは皇帝陛下の金庫だ!」と言うバファル帝国兵が守っているが、襲撃時には「・・・やられた・・・」と言う一般人が倒れている。
 おそらく、コルネリオが守衛のスケジュールを予め把握しており、計画の成功率を上げるために警備が手薄になったタイミングを見計らって襲撃させたのであろう。
 

(iii)財務大臣横領疑惑事件
 (ii)で述べたコルネリオとマチルダの計画その2の続きである。
 この事件も(ii)の第一次ゴールドマイン襲撃事件と同様に事前に「サルーイン秘密神殿」イベントを解決することで発生を防ぐことができるし、事件発生中に「サルーイン秘密神殿」イベントを解決することでも収束させることができるので、事件の構造は第一次ゴールドマイン襲撃事件と全く同じである。
 即ち、この事件はコルネリオとマチルダから依頼を受けたストライフがその依頼をサルーイン教団に丸投げして、モンスター達がゴールドマインから略奪してきた金塊をサルーイン教団が回収して、その回収した金塊をパトリックの屋敷に運び込むように盗賊達に依頼したことによって発生した事件ということになる。

 さて、この事件の実行犯である「民家に忍び込み、金目の品物を盗み、金を貰えればどんな汚い仕事もする連中」(大事典)である強盗であるが、「たいていの者の外見は肥えていて醜く、欲の深そうな顔をしている」(大事典)という人間離れした外見とは裏腹に以下のように能力値は極めて脆弱である。
HP
25/25 3 3 3 3 3 3 3 0 3 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:レイピア1
術法:なし
 比較のために「商人なので戦闘能力はほとんどなく、~」(大事典)と解説される一般人代表の商船員を以下に示すが、そんな商船員よりも基礎能力値が低いのである。
HP
20/20 4 4 4 4 4 4 4 0 4 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:パンチ0
術法:なし

 どうして強盗達はこのように醜く脆弱になってしまっているのだろうか?
 おそらくそれは邪気の影響である。
 彼らはもともと普通の人間であったが、人間を捨ててしまったサルーイン教団の神官達の放出する邪気に接触しすぎてしまった。
 その結果、邪気は「生命を打ち消し滅ぼそうとする」(大事典)作用があり、人間にとっては毒でしかないため、彼らの身体を蝕んで脆弱にしてしまったのであろう。
 しかしながら、邪気には温厚な動物をモンスター化させる効果も確認されている(インパラ、カークリノラース、キャンサー等)。
 盗賊達の容姿からは牙の発達を確認できるので、彼らは邪気に毒されながらもそれに順応して徐々にモンスター化しているようである。
 もしかしたら、さらに邪気に順応することで強力な力を得たモンスターに変貌する可能性もあるのである。

 そんな人間でなくなりつつある盗賊達であるが「パトリック様のお屋敷の周りを怪しい奴らがうろついていたんだ。」という証言もあるので、事前調査を怠らない(もしかしたら運び入れのリハーサルもしている)プロフェッショナルの流儀は持ち合わせているようである。
 

 そんな盗賊達によってゴールドマインの金塊はパトリック邸に運びこまれた。
 #冒険者が盗賊達の邪魔をして阻止した場合も、既に一部はパトリック邸に運び込まれている。
 「パトリック!金塊横領の容疑で逮捕する!!」と帝国兵達がパトリック邸に突入してきた。
 もちろん、帝国兵達の突入はコルネリオの指示によるものであった。
 そして、「誰かが私を陥れるために・・・」、「だから、これは陰謀だと言っとろうが。もし私がやったのなら金などさっさと別の物に鋳つぶして証拠を消しておるわい。」と身の潔白を訴えるパトリック。
 それを遮って「だが、こちらの方々は盗賊があなたの屋敷から盗みだすところを捕らえたと。」と、コルネリオはパトリックを追い詰めていった。
 
 結果として、パトリックは皇帝から謹慎処分を言い渡されることとなった。

(iv)メルビル通り魔事件
 この事件も上記(ii)(iii)と同様に「サルーイン秘密神殿」イベントの解決に依存しているので、事件の構造は(ii)(iii)と全く同じである。
 #ただし、「サルーイン秘密神殿」イベントを事前に解決していたとしても、サルーイン秘密神殿を復活させた場合にはそれに伴い暗殺者も再出する。
 即ち、この事件はコルネリオとマチルダから依頼を受けたストライフがその依頼をサルーイン教団に丸投げして、サルーイン教団が暗殺者を手引きすることによって発生した事件ということになる。

 (i)で述べたコルネリオとマチルダの計画その1「皇女の行方を捜すジャンの抹殺」は失敗に終わった。
 そして、その事件以降のジャンの行動はそれ以前とは変わり、今まで捜索に出かけていた迷いの森へ向かわなくなっていた。
 #また、以前からメルビルでは「なんでも迷いの森の魔女に育てられた娘がいるそうじゃないか。」という噂も流れていた。おそらく迷いの森に迷い込んだ旅人がクローディアに助けられたことに基づいた噂であろう。
 
 コルネリオはジャンの行動の変化から察したのである・・・行方不明の皇女が発見されたということを。
 「第一皇女クローディアの生存が確認されたため、皇帝の座に確実に就くべく夫を焚き付けたとも言われている。」(時織人)と解説されているように、マチルダはコルネリオに皇女を抹殺するように指示を出す。
 こうして、当初の計画には含まれていなかったが、皇女の生存が発覚したために急遽「皇女暗殺」の依頼がコルネリオからストライフになされたのである。

 さて、この事件の実行犯を担当したのは「ケチな盗賊が人殺しの報酬の多さに味を占めて成り果てた姿」(大事典)の暗殺者である。
 上記のように暗殺者は「ケチな盗賊」のジョブチェンジ形態と説明されているが、暗殺者の容姿は以下のものであり、(iii)の事件を担当した「盗賊」とはあまりにかけ離れていてジョブチェンジでは説明し難い。
HP
58/58 5 5 5 5 5 5 5 0 5 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:レイピア1
術法:なし
 一方で、以下は帝国兵のステータスである。
HP
58/58 5 5 5 5 5 5 5 0 5 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:レイピア1
術法:なし
 暗殺者と帝国兵・・・鎧の色は違うけれどステータスを全く同じである。
 従って、おそらく暗殺者とはサルーイン教信者の帝国兵(内通者)であり、サルーイン教団の神官の依頼により副業として暗殺を請け負ったのだと推察する。

 なお、暗殺者は副業として暗殺業に従事しているものの、冒険者に討伐されても(画面切り替えで)何度でも諦めないで皇女の命を奪おうとするプロフェッショナルの流儀を持ち合わせているようである。
 

(v)バファル帝国親衛隊員行方不明事件
 バファル帝国においていくつもの不審な事件が立て続けに起こっていた。
 「サルーインの地下神殿を壊滅させた今回の働き誠に見事であった。最近の事件は全てあやつらの仕業であった!」という皇帝の台詞における「最近の事件」が指すのはあくまでサルーイン教団が行っていた呪殺請負と生贄誘拐のことであり、ジャン襲撃、ゴールドマイン襲撃、パトリックに対する横領偽装、皇女暗殺未遂の真相は未だ不明のままであった。
 ジャン襲撃、ゴールドマイン襲撃に至ってはモンスターも関わっており、バファル帝国親衛隊長ネビルは困惑していた。
 後にネビルはコルネリオについて次のように語っている。
 「あの方には良からぬ噂が多いのだ。」
 一連の事件とコルネリオの良からぬ噂、それらを統合して導き出された答えは、「・・・まさか・・・ローバーン公は・・・モンスター共とも・・・つながっているのか・・・?」というものであった。
 こうして、ネビルの密命により部下のジャンがコルネリオの身辺調査に赴いた。
 しかしながら、ジャンはコルネリオの配下に拘束され、ローバーン城の牢獄に拘留されてしまったのである。
 

 なお、事前にマックスを討伐した場合には、この事件自体が発生しない。
 おそらく、コルネリオはストライフを介して依頼をした際に、一連の事件の首謀者がマックスであるかのように偽装するようにストライフに提案していたのである。
 それにより、事前にマックスが討伐された場合には、地下神殿にあった偽装された書類等が証拠となり、一連の事件の首謀者がマックスであると断定されたため、コルネリオへ疑いが向けられることは無くなり、ジャンが身辺調査に赴くことも無くなったというわけである。
 #マックスを復活させた場合には「やっぱりコルネリオが怪しいぞ!」となり、ジャンは身辺調査に赴くことになる。

 さて、ジャンがローバーンに赴いたのはコルネリオの身辺調査の為であるが、逆にコルネリオはどうしてジャンを生け捕りにしたのであろうか?
 ジャンが皇女を捜索している際には迷いの森でモンスターに襲撃させたように、邪魔ならば速やかに抹殺してしまうということも十分に考えられるはずであるが、生け捕りにされているのである。
 おそらく、その意図はパトリック失脚の場合と同様で、親皇帝派(フェル6世派)のバファル帝国法務大臣兼親衛隊長ネビルの失脚に利用できると判断としたのである。
 つまり、ネビルの部下がわざわざ侵入してくれているのだから「ネビルに命を狙われた!」という疑惑をかける等、状況に応じて利用することができるとコルネリオとマチルダは考えたのである。
 しかしながら、ジャンの生け捕りはコルネリオとマチルダの計画には入っていなかったことなので、具体的な利用法は決まっておらず、とりあえず牢獄に拘留しておくことになった。
 牢獄への入り口の警備はストライフから派遣された人間に変身できるバルバル×2が担当し、その先の通路には落とし穴を設置することで、侵入も脱出も容易ではない・・・はずだったが、やはり急遽の対応だったため鉄壁ではなく、結末としてはジャンの脱出を許してしまうのであった。
 
 
 ジャンの行方不明事件については以上であるが、ローバーンでの出来事つながりでローバーン城の牢獄に捕らわれている賊の人についても触れておきたい。
 この人に関する情報はゲーム内でも関連文献にも一切無いが、外見からすると(サンゴ海の)海賊、(金塊を運び込む)盗賊、(皇女を狙う)暗殺者のいずれかであると考えられる。
 盗賊と暗殺者についてはコルネリオがストライフを介してサルーイン教団が派遣した者達であるからコルネリオとの直接の接点は無いが、海賊はサンゴ海遠征でコルネリオと直接の接点があることから、海賊の可能性が最も高いと思われる。
 そこで本稿では、この賊の人をコルネリオがサンゴ海に遠征した際に捕まえてきた海賊であると推察する。
 

 では、この賊の人が海賊だとするとどうして生け捕りにされているのか?
 ブッチャーを従わせるための人質か?
 ・・・とも考えたが、「卑劣で血も涙もない男」(時織人)ブッチャーには人質は意味をなさないだろう。
 では何故生かされているのかと言うと、おそらく情報収集のためではないだろうか。
 3.(2)で述べたコルネリオがブッチャーと結託をする際にも、おそらく事前にこの賊の人を尋問して海賊達の状況を聞き出した上で標的をブッチャーに定めていたのであろう。
 そして、この賊の人は既にコルネリオに調教されているため、必要に応じてサンゴ海に潜伏させ、海賊達の情報を収集させるために生かされているのである。
 言い換えれば、2.(2)で述べたローバーン城の牢獄の無機質系(土のファンダム)がコルネリオとマチルダのペットであるのと同様に、この賊の人もコルネリオの狗(いぬ)、つまりペットなのである。

(vi)皇帝の奇病事件
 2章で述べたように、皇帝の奇病事件はストライフがムーンストーンを獲得するためにマックスに呪いを開発させ、その開発された呪いをマックスの共同研究者であるスフィンクスがローバーン城で発動することで引き起こされた事件である。
 冒険者がムーンストーンを用いて皇帝の呪いを解くことでも解決するが、時間経過によりコルネリオがスフィンクスに呪いを止めさせることでも収束する。

 皇帝が呪いから回復した際にコルネリオは皇帝に進言する。
 「近年、海賊による被害が激増しております。このままではサンゴ海の貿易は廃れてしまいます。何卒、我が帝国海軍に海賊討伐をお命じください!海賊の間に仲間割れがあるとも聞きます。今こそがチャンスです!」
 こうしてコルネリオは帝国海軍を率いてサンゴ海への遠征に出発したのである。
 有識者(ネビルやソフィア)はこのコルネリオの行動を「近年では海賊の増えてしまった海域の治安回復の大義名分を掲げつつ、領土拡張の野望を抱いている。」(大事典)というコルネリオの野心に基づくものだと考えていたのかもしれない。
 しかしながら、コルネリオの真意はそうではなく、コルネリオとマチルダの計画その3「コルネリオ率いる軍隊がメルビルの救援に間に合わなかったことの口実作り」である。
 コルネリオとマチルダの計画の最終段階においてメルビルはストライフの差し向けたモンスター軍団によって襲撃される。
 それにより現皇帝フェル6世には命を失ってもらわなければならない。
 その際、コルネリオ率いる軍隊が救援できるにもかかわらずそれをしなかったのならば、マチルダが次期皇帝になるのに支障が出るのは明らかである。
 そこで、現皇帝の死亡から円滑にマチルダが次期皇帝になるために、コルネリオは帝国海軍を率いてサンゴ海に遠征し、メルビルへの救援ができなかったことの理由作りをしたのであった。
 

(vii)ジェルトン襲撃事件
 バファル皇帝フェル6世が奇病に侵されている頃、リガウ島の町ジェルトンはモンスターに襲撃される。
 この襲撃についてトマエ火山に住むフレイムタイラントは次のように語る。
 「ここに棲むモンスターには2種類あるのだ。俺の部下とそうでないのとだ!同じモンスター同士、奴らが何をしても気にしないようにしているだけだ。・・・が、どうもサルーインの手下が奴らを唆しているようなのだ。」
 

 この事件の背後にも実はコルネリオとマチルダがいると推察する。
 即ち、この事件はコルネリオとマチルダの計画その4「現皇帝の逃げ道を無くす」の一部なのである。
 つまり、コルネリオとマチルダの計画の最終段階においてメルビルはストライフの差し向けたモンスター軍団によって襲撃されるが、現皇帝に逃げられてしまっては皇位獲得計画も水の泡になりかねないので、メルビルからの退路を経つことにしたのである。
 より具体的には、ジェルトンをモンスターに襲撃させることでリガウ島への退路を断ち、次に述べる第二次ゴールドマイン襲撃事件においてバファル西部方面への退路を断ち、そしてサンゴ海、アロン島方面の海路についてはコルネリオ率いる帝国海軍の誤射で片づけるという算段である。
 
 この計画もコルネリオとマチルダからストライフに依頼されたものであるが、他の事件の背景から察すると、おそらくこの事件もストライフ自身がトマエ火山まで直接行ったのではなく、ストライフから丸投げされたサルーイン教団がトマエ火山まで出張し、モンスター達を煽動したのだと考えられる。

(viii)第二次ゴールドマイン襲撃事件
 メルビルにおける「モンスター軍団襲来」イベントに先立って発生する事件であり、この事件の背後にもコルネリオとマチルダがいる。
 即ち、この事件はコルネリオとマチルダの計画その5「メルビルにおける戦力削減」である。
 つまり、この事件を収束させるためには帝国軍は出撃せざるをえず、そうなればメルビルを防衛する戦力は削減されるので、コルネリオとマチルダの計画の最終段階であるメルビルのモンスター軍団襲撃の成功率を上げることにつながるのである。
 実際、メルビル警備隊が「ゴールドマインにモンスターが出現した!帝国軍の主力はサンゴ海の海賊退治でいない!2線級の部隊がゴールドマインに向かったが、モンスターを制圧できるだろうか?」と言うように、帝国軍はゴールドマインに出撃することになった。
 

 また、(vii)で述べたようにこの事件にはメルビルからバファル西部方面への退路を断つという目的もあった。
 上で示したメルビル警備隊の台詞によれば帝国軍がゴールドマインに向かったとのことであるが、事件発生中に帝国軍兵士をゴールドマインにおいて見ることは一度もない。
 その理由は、ゴールドマインに来た帝国軍が2線級の部隊だったためモンスター達に押し戻されたからということもあるだろうが、西部方面への退路を断つことが目的のため、ゴールドマイン周辺にも広くモンスターが溢れており、帝国軍はそれらと対峙していたという理由もあるだろう。

 なお、この襲撃事件の現場責任者は坑道の最奥に潜伏しているゴールドドラゴンSであるが、彼は事件発生中であっても時間経過とともに姿を消してしまう。
 これは何故だろうか?
 その手がかりが大事典のゴールドドラゴンSの解説に次のように記述されている。
 「サルーインにデステニィストーンを献上すれば、巨竜を凌ぐ力を授けられる約束をしているため、人の手にある「火」のルビーをしきりに狙っている。」
 この解説から推察すると、第二次ゴールドマイン襲撃事件(戦闘回数720回の時間経過)が発生したものの、騎士団領で「テオドール豹変」イベント(時間経過800回の時間経過)が発生したために、ゴールドドラゴンSは自分のお目当ての火のルビーを他のモンスターよりも先に入手するという目的のために職場放棄して騎士団領に向かったのではないだろうか(時間経過816回の時間経過)。
 しかしながら、そうだとしても職場放棄をしたゴールドドラゴンSを騎士団領で目にすることはない。
 おそらく、内海(イナーシー)を横断する際にウコムに見つかってしまい、嵐に巻き込まれて海の藻屑になったのでしょう。
 

(ix)メルビル海賊襲撃事件
 コルネリオとマチルダの計画における当初の最終段階であったが、ストライフとの結託によって最終段階の前段階として設定され直した事件である。
 即ち、この事件はコルネリオとマチルダの計画その6「メルビルにおける戦力削減の追い打ち」である。
 つまり、第二次ゴールドマイン襲撃への対応で帝国軍が出撃して手薄になっているメルビルを海賊に襲撃させることで、メルビルに残っている帝国軍の兵力をさらに削ぐことを意図したものである。

 ところで、当初はこの事件がコルネリオ達の計画の最終段階であったのであるが、コルネリオは海賊達を利用することで本当に上手くいくと思っていたのであろうか?
 つまり、コルネリオ率いる帝国海軍に敗北する程度の戦力であるブッチャー党にメルビルを襲撃させたとしても、返り討ちにあうのが目に見えているのではないだろうか?
 その点については、コルネリオに協力を申し出られた際にブッチャーも当然懸念していた。

 時はコルネリオとブッチャーの結託の場面にまで遡る。
 「お前の夢に協力してやる。その代わり、私のために働け!」
 コルネリオはバファル帝国皇位獲得計画への協力をブッチャーに要請した。
 その提案に対してブッチャーは不安を吐露する。
 「あんた達に負けた俺達がメルビルに攻め込んだとしても、帝国軍を打ち倒せるとは到底思えねぇ・・・」
 そんなブッチャーにコルネリオは怪しい薬を差し出した。
 「これでお前達は強くなれる。」

 ブッチャー党の海賊達と対峙したことがある方はその脅威をご存知であろうが、襲撃時のブッチャー党の海賊達は異様に強い。
 例えば、ホーク開始時に対峙する下っ端海賊のステータスは以下の通りである。
HP
50/50 6 6 6 6 6 6 6 0 6 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:エストック1
術法:なし
 それに対して、襲撃時の下っ端海賊のステータスは以下のように強化されている。
HP
433/436 20 20 20 20 20 20 20 0 20 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:エストック9(睡魔剣、円舞剣)
術法:なし
 そして、襲撃時の上級海賊は以下のようにさらに恐ろしいステータスを誇っている。
HP
1263/1272 34 34 34 34 34 34 34 0 34 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:ヴェルニーレイピア12(睡魔剣、円舞剣、麻痺突き)
術法:なし
 ブッチャーも上級海賊程度のステータスである。
HP
1263/1272 34 39 34 34 34 31 31 0 28 4 - - -
- - - - - - - - - - - - - - - -
1:ガーラルアクス12(トマホーク、円月斬、十文字斬)
術法:なし

 この強化にはミニオンが関わっていると考える方もいるかもしれない。
 と言うのも、ブッチャーは「権力があり、かつ野望を持つ人物」というミニオンが利用する人物の条件を満たしているので、ミニオンに目をつけられていてもおかしくない人物だからである。
 しかしながら、実際にはミニオンからのブッチャーへの接触は無かったと考える。
 なぜなら、ロマ1の物語においてミニオンがブッチャーを利用するメリットは何も無いし、強化された海賊達は邪気に侵されているようには見えないからである(邪気に侵されていたら、サルーインの神官やハルーンのように相応の異常が見られるはずである)。

 では、どうして襲撃時の海賊達が強いのかと言ったら、その真相はおそらくコルネリオの用意したドーピング薬である。
 #良からぬ噂が多いコルネリオなので、裏で怪しい薬の開発をさせていてもおかしくないだろう。
 怪しいドーピング薬の筋力増強作用やら覚醒作用やらにより海賊達を強化した上でメルビルを襲撃させることが、当初のコルネリオの計画だったのである。
 この薬の存在が決め手となり、ブッチャーはコルネリオの提案を受け入れ、結託するに至ったのであった。

 そして時は流れ、遂にブッチャー党のメルビル襲撃の時が訪れた。
 事前にコルネリオの用意した薬を飲んでパリピ状態になったブッチャー党はメルビルに上陸し、進撃を開始した。
 ・・・が、異変に気付く。
 メルビルに大量のモンスター達が溢れ始めたのである。
 ブッチャーは察して叫んだ。
 「あの野郎、ハメやがったなー!!!撤退だー!!!」
 こうしてブッチャー党はメルビルの城に攻め入るまでには至らず、メルビルを後にするのであった。

 コルネリオに騙されたことを悟ったブッチャーはコルネリオに対して復讐を誓った。
 「あの野郎、許さねぇ!お前の薬の力で、お前の命を奪ってやるわー!」
 そんなブッチャー達の前にコルネリオ率いる帝国海軍が現れる。
 「丁度いい、やってやらぁ!!!」
 と叫んだものの、何故か身体の力が抜けていく。
 ブッチャーだけでなく、他の海賊達もバタバタと倒れていく。

 ローバーン公コルネリオ・・・彼をよく知る人物は彼を「抜け目ない方」(ゲーム内のネビルの台詞)と称する。
 コルネリオがブッチャーに渡した怪しいドーピング薬を用いれば、強大な力を得ることができる。
 ただし、その効果は一時的なもので、効果が切れれば取り返しのつかない副作用が現れるのであった。
 ブッチャー党を強化してメルビルの城を攻め落とさせたとしても、その後にブッチャー党を殲滅できなかったら意味が無い。
 そんな事後のことまで見通した上で、コルネリオは怪しいドーピング薬をブッチャーに渡したのであった。
 

 帝国海軍の攻撃が始まり、ブッチャー党は為す術もなく打ち倒された。
 「コルネリオーーーーーーーー!」
 ブッチャーにハメられたホークの如くに、ブッチャーの断末魔がサンゴ海に響き渡った・・・。
 #と、美しい最期を描いてみましたが、ブッチャーは冥府に登場するフラグがあるにもかかわらず、(今のところ)何をやっても冥府に登場することはないので、何やかんやで生き延びているようである。
 

 なお、メルビル下水道には海賊達のアジトがある。
 コルネリオとブッチャーの結託後に、コルネリオに部屋を提供されて、海賊達が潜伏したのであろう。
 「お前達を生かして帰しちゃ、帝国軍がいない間にメルビルを襲う計画が台無しだ!悪いが死んでもらうぜ!」という台詞が聞けるので、ブッチャー達の襲撃の準備に従事していたと思われる。
 そんな彼らであるが「モンスター軍団襲来」イベントが解決しても延々と活動をし続ける。
 アジトのボスに至っては、全てが片付いてブッチャー達が撤退しているにもかかわらず上記の台詞を話し続ける。
 おそらく怪しい薬の副作用で記憶障害になっているのであろう。
 #詳細については、本サイトの「永遠のボス海賊」を参照。
 

(x)メルビルモンスター軍団襲撃事件
 コルネリオとマチルダのバファル帝国皇位獲得計画の最終段階である。
 その一番の目的は勿論、現バファル帝国皇帝フェル6世の抹殺である。
 そして、フェル6世の死亡を確認したら、この計画の一連の事件に関与したストライフやスフィンクスを含むモンスター軍団、マックスを含むサルーイン教団、そして海賊ブッチャー党をコルネリオ率いる帝国海軍によって殲滅して、メルビルで起きた紛争を終結させる。
 それによりコルネリオは救国の英雄となり、その妻マチルダの時期皇位獲得は確実なものとなる。
 コルネリオとマチルダがストライフに結託を申し出られた際に思い描いた皇位獲得計画は以上のようなものであった。

 今までの一連の事件については実行犯達との関与の疑いを避けるために表立って行動するようなことなど無かったコルネリオとマチルダであったが、計画の最終段階であるこの事件については現皇帝の最期を見届けようとメルビルの城に見学に訪れる場合もある。
 2人はストライフと結託しているのでモンスター達に襲われないのは当然のことであろう。
 #その方法については、本サイトの「襲撃時のコル&マチ」を参照。
 

 こうしてコルネリオとマチルダが企てたバファル帝国皇位獲得計画の全ての計画が決行された。
 最終的にはどうなるのかというと、最終時間経過でメルビルの城から主要な方々が消えてしまう。
 ・・・死んでしまったのか?・・・と心配になるが、主要な方々のフラグ数値を見る限りは以下のようになっているようである。
 財務大臣パトリック・・・生存!
 法務大臣兼親衛隊長ネビル・・・生存!
 エロール教団司教ソフィア・・・生存!
 ローバーン公コルネリオ・・・生存!
 コルネリオの妻マチルダ・・・生存!
 海賊王ブッチャー!・・・生存!
 そして、バファル帝国皇帝フェル6世・・・生存!
 ということで、皆さんは元気に逃亡生活を過ごしていらっしゃるようである。

 ・・・あれ?もう一人足りないって?
 すみません、忘れてました。
 バファル帝国親衛隊ジャン・・・死亡!
 ということで、コルネリオとマチルダによる壮大なバファル帝国皇位獲得計画はジャンの殉職によって幕を閉じたのであった。
 #何があったのかは定かではないが、最終時間経過でジャンは死亡扱いになる。
おわりに:
 本稿では「闘争」のストライフによる東部方面侵略作戦の背景について読み解いた。
 ストライフはオパールとムーンストーンを入手し損なうというミニオンとしては極めて重大な失態を犯したという事実は否定できない。
 しかしながら、コルネリオとマチルダによって引き起こされたバファル帝国における大規模な混乱は、ストライフの存在があってのものだという事実も否定できないだろう。
 次稿「ミニオン論Ⅳ」では「策略」のワイルによる西部方面侵略作戦の背景について言及する。