
古代神話論
(2024年03月03日発表)はじめに
1.マルディアスの神々の存在の真相
(1)西の洞窟B3の世界地図を利用したのは誰か?
(2)古代神についての疑問
(3)世界シミュレーション仮説
(4)古代神戦争の真相
(5)エロールの真相
(6)新しい神々の真相
(7)ニーサの真相
(8)西の洞窟B3の世界地図の真相
(9)マルディアスの真相
(i)マルディアスの全体像
(ii)ロマ1におけるシステムやバグ
2.古代神時代のマルディアスの様相
(1)メルビル、クリスタルシティ、イスマス、オイゲンシュタット、ジャングルにある墓標
(2)カクラム砂漠周辺
(3)凍結湖の城
(4)オールドキャッスル
(5)二つの月の神殿
(i)建造されたのはいつか?
(ii)入り口に細工がなされ、古文書が記されたのはいつか?
(iii)古文書に使われている古代語とは何か?
(iv)ゲッコ族との関係
(v)リザードマン族大移動
(vi)二つの月の神殿に関わる時系列の整理
(6)リガウ島の宝箱
(7)海底トンネル
(8)マラル湖
(9)フロンティアのモンスター
(10)イスマスとラストダンジョン
あとがき
はじめに
これまでに発表したロマ1論においてロマ1の物語・世界の謎について考察を進めてきたのであるが、まだまだ謎は残されている。
例えば、「マルディアスに現存する古代の遺跡とは一体何なのか?」といったことである。
特にバルハラントの西の洞窟B3がマルディアスの世界地図を象られている点は非常に興味深い。

#クリックで拡大できます。
#敵シンボルのいる場所は初期配置として設定されている位置。
この点については、遡るとのりすくBBS過去ログで以下のような予想がなされている。
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榊みや - 00/01/10 06:25:48
西の洞窟地下の地図ですけど、あれはもうオーパーツとしか言えないですね(^_^;)
ちなみに、山脈や、砂漠なども記されていて、石碑がある都市は、
メルビル、クリスタルシティ、イスマス、オイゲンシュタット、それからゴドンゴです。
なぜ、ゴドンゴに石碑があるのかは不明です。(あと、騎士団領側にある水も謎かな?)
それから、サンゴ海らしき所に、入れないスペースがありますが、
これはマスク島でしょうか、それともカント島でしょうか?
あの地図の説明として思いついた面白いことは、あれは、世界を作るときの神さまの設計図だった!
なんてことを思いました。でも、とすると、マルディアスには他に大陸が無いことになりますね。
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私も榊みやさんと同様に西の洞窟B3の世界地図には神様が関わっていると考えている。
理由は単純で、あの地下のフロアとして造られた世界地図を見ることができる(一望できる)のは神様のような超常的な存在しか考えられないからである。
#人間や巨人のような物的存在にとってはあの世界地図は何も意味をなさない。
そこで、本稿では神様が関わっていると思われる西の洞窟B3の世界地図を手掛かりとして、ロマ1のゲーム内や関連文献において語られていないロマ1の世界の神々や古代遺跡の真相について言及したい。
1.マルディアスの神々の存在の真相
(1)西の洞窟B3の世界地図を利用したのは誰か?
では、西の洞窟B3の世界地図をじっくりと見てみましょう。
クリスタルシティやイスマス付近、メルビルやオイゲンシュタット付近に墓標が配置してあります。

現在の状況から察すれば、過去にもそこには都市があったのでしょう。
#住みやすい場所だから、今も昔も同じ場所に人が集まってくる。
・・・そうだとすると気になるのがアロン島のジャングルの位置に設置された墓標である。
順当に考えれば他の4ヵ所と同程度の都市があったと考えられるが、現在のアロン島のジャングルにはそれらと同程度の都市は存在していない。
即ち、アロン島の墓標の位置にあった都市は過去に滅亡してしまったということである。
では、それはいつのことなのだろうか?
ロマ1のオープニングでは次のように過去の記録が語られている。
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まだ人間がこの世に生まれて間もない頃、悪しき三柱の兄弟神がおりました。
長兄のデス、弟のサルーイン、末妹のシェラハ。
彼らは、恐ろしいモンスター達を率いて神々の王エロールと人間達に戦いを挑みました。
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このように現生人類が生まれた頃には既に3邪神が存在し、暴れていたのである。
そのような状況で、生まれて間もないような現生人類が都市を発展させることができたのであろうか?
おそらく現生人類が都市を発展できたのは邪神封印戦争後の平安の時代が訪れて以降のことであろう。
従って、西の洞窟B3の世界地図は現生人類の築いた文明を示しているのではなく、それよりも前の世界の姿・・・即ち、旧人類たちの世界の様相を表していることになるのである。
よって、西の洞窟B3の世界地図を利用していたのは旧人類たちの頃のマルディアスの神々である「古代神」だったと推察される。
補足:マルディアスの過去
ゲーム内では語られていないので現生人類、旧人類、古代神といった用語に困惑する方もいるかもしれないので補足説明をしておく。
マルディアスの神々についての神話が基礎知識編には以下のように記述されている。
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世界はマルダーにより創られた。マルディアスの名はマルダーより取られたものである。
あるとき、マルダーの妻、破壊女神サイヴァが他の神々と戦いを起こした。
サイヴァの力は強く、他の神々と互角であった。戦いは限りなく続いた。
戦いに決着をつけるため、サイヴァは小指の先より一人の神を産んだ。エロールである。
しかし、小指の先は、唯一サイヴァの良心が残っていた場所であった。
そのため、エロールは善そのものの神であった。エロールはサイヴァを滅ぼし、古代神の戦いは終わった。
戦いの末、マルディアスの地は壊滅した。神々はこの地を見捨てて去った。
残ったのがエロールと大地の女神ニーサである。
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上記で述べられていることから分かるように、ロマ1の世界の神様は2種類に分けられる。
エロール、ニーサ、ウコム、シリル、エリス、アムト、そしてデス、サルーイン、シェラハといったゲーム内で名前を目にする神様たち、即ち現在のマルディアスで信仰されている「新しい神々」と、マルディアスを去っていった「古代神」である。
そして、古代神に作られた人類が旧人類であり、新しい神々に作られた人類が現生人類である。
ゲーム内で出会える砂漠の地下の人々やタラール族、巨人の里の巨人たちは旧人類の生き残りである。

(2)古代神についての疑問
西の洞窟B3の世界地図を利用していたのは古代神のようであるが、地中に埋まっている世界地図を見ることができる古代神とは一体どのような存在なのであろうか?
古代神たちは天空にいて、そこから世界地図を透視して見ていたのだろうか?
それならば、世界地図を地下ではなく地上に作れば、わざわざ透視をしなくても済むのではないか?
どうしてわざわざ世界地図を地底に埋没させているのだろうか?
また、(1)で示したマルディアスの神話に基づけば、ロマ1の世界であるマルディアスは古代神マルダーによって創られたのだから、古代神はマルディアスが創られる以前から存在していたことになるが、それならば古代神はもともとはどこに存在していたのだろうか?
そして、古代神戦争の後にマルディアスを去っていったと言うならば、どこに行ってしまったのだろうか?
例えば、ハンター×ハンターでいうところの「暗黒大陸」の如く、マルディアスの周りには広大な世界が広がっていて、古代神たちはそこから来て、そこに去ったということなのだろうか?

出典:富樫義博(2016年6月)「ジャンプコミックス ハンター×ハンター(33)」. 集英社. p.30
このように古代神について考え始めてみると、「古代神とはどのような存在なのか?」という疑問が噴出してくるのである。
(3)世界シミュレーション仮説
神様は人知を超えた超越者であり、そんな神様が世界を創ったと言うならば、神様は何のためにこの世界を創ったのか?
その問いに対する答えの一つとして世界シミュレーション仮説というものがある。
世界シミュレーション仮説とは「私たちの生活している世界は私たちよりも高度な存在によって創られたシミュレーションである」というものである。
もしかしたら、ロマ1のマルディアスとはまさにそれではないだろうか。
つまり、マルディアスとは、マルダーというゲームマスターによって創られた世界シミュレーターの中の世界であり、その世界の環境や生き物(動物や旧人類)を設定して、それがどのように進展していくのかを見守ったり干渉したりすることを楽しむゲームだったのである。
そうだとすると、古代神たちはマルダーの仲間たちであり、プログラムをかまってマルディアスの環境設定に関わったり、アバター(人型に限らず巨竜等様々)を使ってマルディアスに住む動物や旧人類に干渉したりしていたのではないだろうか。
即ち、マルディアスを創った「マルディアスの外の世界(別の次元)に存在する者たち」こそが「古代神」に該当する存在なのである。
彼らはマルディアスのプログラムを操作できる存在・・・人知を超えた超越者なのだから、旧人類から見ればまさに「神」なのである。
ということで、本稿ではマルディアスは別次元の存在(古代神)によって創られたシミュレーションであるという仮説のもとで、さらに考察を進めることにする。
(4)古代神戦争の真相
基礎知識編に記されている古代神戦争についての記述をもう一度見てみましょう。
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世界はマルダーにより創られた。マルディアスの名はマルダーより取られたものである。
あるとき、マルダーの妻、破壊女神サイヴァが他の神々と戦いを起こした。
サイヴァの力は強く、他の神々と互角であった。戦いは限りなく続いた。
戦いに決着をつけるため、サイヴァは小指の先より一人の神を産んだ。エロールである。
しかし、小指の先は、唯一サイヴァの良心が残っていた場所であった。
そのため、エロールは善そのものの神であった。エロールはサイヴァを滅ぼし、古代神の戦いは終わった。
戦いの末、マルディアスの地は壊滅した。神々はこの地を見捨てて去った。
残ったのがエロールと大地の女神ニーサである。
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この逸話だけを見れば古代神戦争の原因は破壊女神サイヴァが謀反を起こして暴れたということなのだから、サイヴァが悪役のように思えることでしょう。
しかしながら、世界シミュレーション仮説を前提とすると別の見方もできるのではないだろうか。
マルディアスの外の世界にいるマルダーは自分で創った世界シミュレーションの世界に没入し、仕事もしないで引き籠ってゲーム廃人の日々を過ごしていた。
マルダーの妻サイヴァはそんなマルダーに「ゲームを止めて仕事をしてよ!」と声をかけるが、マルダーはゲームに没入しすぎていてサイヴァの声が届かない。
そんなマルダーのダメっぷりにサイヴァの我慢は限界を迎えた。
空知英秋氏の「銀魂」、そしてその弟子篠原健太氏の「スケットダンス」において、ゲームに没入した者を目覚めさせるためにゲームの中に入って叩き起こすというエピソードがあったが、サイヴァも仕方なくシミュレーションの中に入ってマルダーを目覚めさせることにしたのである。

出典:篠原健太(2011年9月)「ジャンプコミックス スケットダンス(20)」. 集英社. p.22
外界でプログラムをいじって鬼強化をしたサイヴァのアバター(シミュレーション内のキャラクタ)「破壊女神サイヴァ」は、ゲーム廃人となった旦那マルダーとその仲間たちを目覚めさせるために、ゲーム内でマルダーたちの討伐を開始した。
マルダーとその仲間たちも不正強化されたアバター「破壊女神サイヴァ」に対抗するためにプログラムをいじっていろいろと強化し、サイヴァと対峙したのである。
サイヴァやマルダーたちがプログラムをいじって天変地異級に暴れまわったのだから、マルディアスが壊滅してしまったのは当然の結果であった。
そして、壮絶な戦いの末、最終的にはサイヴァがマルダーとその仲間たちをボッコボコの再起不能にして、無事に世界シミュレーションゲームを引退させることに成功したのである。
それにより、マルダーとその仲間たちはマルディアスの管理やログイン等をできなくなった。
即ち、「神々がマルディアスから去った」のである。
ということで、古代神戦争とは実は「ゲーム廃人になったマルダーとその仲間たちを現実世界に目覚めさせるために良妻サイヴァがゲーム内で行った愛のムチ」だったのではないだろうか。
#「銀魂」に登場する長谷川泰三は「まるでダメなおっさん」・・・略して「マダオ」と呼ばれているが、実のところはマルダーも「まるでダメだー(このおっさん)」を略した結果なのかもしれない。
(5)エロールの真相
(4)において古代神戦争の真相について推察したが、そのエピソードに古代神戦争を終結させたエロールの話は出てきていない。
では、サイヴァの小指の先から産まれたエロールとはどのような存在なのだろうか?
掻い摘んで言えば、エロールは「サイヴァがプログラムして作ったマルディアス自動管理システム」ではないだろうか。
おそらく、当初は「どうぶつの森」的な感覚でサイヴァもアバターでマルディアスを楽しんでいたので、マルディアスという世界シミュレーションの出来具合がすばらしいということは認めていた。
そのため、マルダーたちを社会復帰させることの代償としてマルディアスを壊滅させてしまったことについては罪悪感があった。
それ故に、壊滅したマルディアスに生き残っている人類や動物たちのことをサイヴァは放っておくこがができなかったのである。
そこで、サイヴァが壊滅したマルディアスの復興目的で作りだしたのがエロールであった。
即ち、エロールとはサイヴァが作った「自動で勝手にマルディアスを管理してくれるプログラム」であり、新しいマルディアスの管理者だから「神」なのである。
#サイヴァはもうシミュレーションに関わるつもりはなかったので、エロールを自動管理システムにした。

こうして、サイヴァは後のことを全て自動管理システム「エロール」に託すと、シミュレーションからログアウトした。
後を託されたエロールは中の人(厳密には外の世界の人)のいなくなったサイヴァのアバターを消去して世界の復興に乗り出す。
このような出来事が「エロールの誕生とサイヴァの討伐」という形で神話として後世に語り継がれるようになったわけである。
(6)新しい神々の真相
マルディアスの自動管理を任されたエロールは世界の復興を目指して新しい神々を誕生させた。
海の神ウコム、森の神シリル、獣達の神エリスである。
#後の邪神封印戦争の際に、さらに愛の女神アムトを誕生させた。
これらエロール(とニーサ)によって生み出された神々は、マルディアスの自動管理システムであるエロールによって作られたものであるから、マルディアスの中にいる存在である。
また、サイヴァの屍骸から誕生した3邪神・・・デス、サルーイン、シェラハであるが、サイヴァの屍骸とはサイヴァ(外の世界にいる中の人)がマルディアスで活動する際に使用していたアバターの残骸であるから、それから生まれた3邪神もマルディアスの中にいる存在である。
#3邪神は破壊特化のチート状態であったサイヴァのアバターの残骸(データ)から再構築されて生まれたものであるため、その特質を色濃く継承している。
このようにマルディアスの神々は「古代神」と「新しい神々」で全く別の存在であると考えられるのである。
即ち、古代神とは「マルディアスというシミュレーション世界を創って、マルディアスの外(別次元)からマルディアスを管理・干渉していた存在」であるのに対して、新しい神々とは「マルディアスで生まれて、マルディアスの管理・干渉をしているマルディアスの中にいる存在」なのである。
#主人公たちやマルディアスの住民や動物たち、海や山などもマルディアスの中の存在であるから、新しい神々と同次元の存在である。
(7)ニーサの真相
現在のマルディアスは新しい神々によって自動管理されているシミュレーションであると推察されるのであるが、忘れてはいけないことが一つある。
それは大地の女神ニーサは古代神だということである。
大事典にはニーサについて次のように説明されている。
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ニーサがどうやって生まれたかについては正確な記述がない。おそらく他の古代神達同様、創造神マルダーが生み出したものと思われる。マルダー達古代神と破壊女神サイヴァが戦った時、ニーサもまたその掌から大地の剣を造って勇敢に戦った。やがてサイヴァは敗れ、古代神達は不毛の大地となったマルディアスを見捨てて去っていった。しかしニーサだけは大地に見切りをつける事ができずにマルディアスに残ったと言われる。もっともニーサは大地と一体だったので、マルディアスを去る事ができなかったという説もある。
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このようにニーサは古代神戦争にも参加していた古代神なのである。

それにもかかわらず、ゲーム内において砂漠の地下でニーサの声を聞くことができる。
これは即ち、ニーサの中の人は他の仲間が引退したにもかかわらず、今も一人でマルディアスの外(別次元)からマルディアスの管理・干渉をしているということなのである。
「マルダー達古代神と破壊女神サイヴァが戦った時、ニーサもまたその掌から大地の剣を造って勇敢に戦った」ということなので、かつてはアバターを使用していたようであるが、「しかしニーサだけは、大地に見切りをつける事ができずにマルディアスに残ったと言われている。もっともニーサは大地と一体だったので、マルディアスを去る事ができなかったという説もある。」という記述から察すると、今はもうアバターを使わずに、マルディアスの環境整備・保守といったメンテナンスをしながらマルディアスを見守っているということなのではないだろうか。
そうだとすると、ゲーム内でのニーサの台詞「我が子らよ・・・。サルーインが帰ってきます。それを止めることができなければ世界は再び破滅の危機を迎えます。そのデステニィストーンを持ち、世界に生きる全ての者のチャンピオンとしてサルーインを阻止するのです。あなたにできなければ、できる人を探しなさい。」における「世界に生きる全ての者のチャンピオン」というマルディアスの世界観と合致しているのか?と思ってしまうこの表現も、外の世界の人が発していると考えれば、ありえるように思えるのではないでしょうか。
(8)西の洞窟B3の世界地図の真相
最後に、出発点となった疑問に戻ってみましょう。
結局のところ、西の洞窟B3の世界地図とは一体何だったのか?
それは(1)で述べたように古代神たち・・・マルディアスの外の世界にいる別の次元の存在たちが利用したものであることから察するに、マルディアスの世界の状況を把握するためのミニマップだったのではないだろうか。
つまり、 マルディアスとは別の次元の存在たちが、モニターからマルディアスの様子を眺める際に、その画面の端に表示されている簡易地図である。
#マリオカートで例えるならば、画面端に表示されているコース全体の状況が表示されたミニマップみたいなものである。

出典:マリオカート8デラックス, 任天堂.
ミニマップとは外の世界にいる人が眺めているモニター上に表示されるものであるから、マルディアスに存在する物体とは次元の異なる存在である。
それ故に、外の世界にいる人の都合に応じて・・・つまり、モニター上の見やすい位置になるように空中だろうが、地中だろうが、海中だろうがマルディアスの物理的対象に影響されずに配置することができるし、それを外の世界にいる人はマルディアスの物理的対象の影響を受けることなく見ることができるのである。
では、どうして別次元の存在のようなミニマップが現在は西の洞窟B3に具現化して存在しているのか?
それはおそらく外の世界の人がミニマップを西の洞窟B3あたりに配置しているときに丁度サイヴァの乱(古代神戦争)が発生し、サイヴァや他の古代神たちがチートプラグラムを使って暴れまくった結果、ミニマップ表示システムにエラーが発生して、ミニマップが具現化してそこに取り残されてしまったからではないだろうか。
(9)マルディアスの真相
おまけとして、マルディアスの神様の話とは逸れますが、世界シミュレーション仮説を前提とした場合にマルディアスの世界についてどのようなことが言えそうなのかを述べておく。
(i)マルディアスの全体像
のりすくBBSにおいて、マルディアスは平板であるという予想がされている。
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榊みや - 00/01/10 06:25:48
ちなみに、私は世界は平板である説を上げてみたいと思います。
#なんで緯度によって気候が違うかって? それは、平板でも傾いているんでしょう(^_^;)
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これに対して、マルディアスは星(球体)の一部だという予想もされている。
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陽月 - 00/01/11 12:36:00
あれはマルディアスの地図であって、この星の全図ではないと思います
わたしはしつこく球体説を推していくつもりです
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世界シミュレーション仮説の立場からすると、マルダーが創ったマルディアスはあくまで私たちが知っている範囲(世界地図で示されている範囲、西の洞窟B3で示されている範囲)だけということになるであろう。
つまり、世界の端に行ったらそれ以上は存在せず、switchゼルダのように人知の及ばない制御システムの働きによって「これ以上、先には進めない」みたいになってしまうのである。
#その先にも世界が広がっているように見えるが、見えるだけにすぎず、実際にはその先の世界は作られていない。
マルディアスの世界が発展していって、必要になったらその都度新たに世界を拡張していく可能性はあったであろうが、現時点では限られたあの範囲だけが世界の全てなのであろう。

出典:(左)ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム, 任天堂. (右)オクトパストラベラーズ, スクウェアエニックス.
(ii)ロマ1におけるシステムやバグ
ロマ1の世界には私たちの知識、私たちの世界の理では具体的にどう解釈・説明していいのか分からない現象がいくつもある。
例えばシステムの話ならば、
・どうしてパーティーの最大所持金は9999金なのか?
アイシャが9999金、ジャミルが9999金持てるならば、2人で19998金持ててもいいのではないか?
・どうして武器を装備から外してしまうと覚えた技をスッカラカンに忘れてしまうのか?
また、例えばバグの話ならば、
・どうして隼キャンセルで先制攻撃できるのか?
・どうして馬技や滝登りや一時消しやレイディバグといったバグ技が発生するのか?
こういった事象はロマ1をプレイしている者から見ると、ロマ1製作者側が取り入れたシステム、不十分なデバッグによるものだと思ってしまうかもしれない。
しかし、世界シミュレーション仮説の立場からすると、これらはロマ1製作者の作ったものやミスではなく、マルディアスを創った古代神(外の世界にいる人)たちがマルディアスの世界に組み込んだシステムや意図せぬ不具合と見なすことができるのである。
従って、マルディアスは古代神(外の世界にいる人)たちのルールで創られた世界であるから、私たちの世界の知識や理で全てを上手く説明できないのは、ある意味当たり前のことなのかもしれない。
2.古代神時代のマルディアスの様相
1.において西の洞窟B3の世界地図は古代神(外の世界の人)がマルディアスの世界の状況を把握するために利用していたミニマップであると推察した。
そして、それは古代神戦争の終結に伴い、外の世界の人がマルディアスのシミュレーションを引退させられたために、地図の更新も途絶えてしまったのであろう。
それならば、西の洞窟B3の世界地図は古代神時代のマルディアスの世界の様相を今に伝える貴重な資料ということになる。
ということで、本章では西の洞窟B3の世界地図をもとにして、古代神時代のマルディアスの様相について推察してみましょう。
(1)メルビル、クリスタルシティ、イスマス、オイゲンシュタット、ジャングルにある墓標
1.(1)で述べたように、これらの場所には古代神時代に発展した旧人類たちの都市があったのだと思われる。
しかしながら、古代神戦争に巻き込まれて早々に壊滅してしまったため、ミニマップでは墓標シンボルが配置されているのであろう。

(2)カクラム砂漠周辺
(1)において当時5ヵ所の旧人類の都市が壊滅したことを指摘したが、おそらくミニマップ管理者が関わっている時点ではまだもう1ヵ所だけ都市が残っていたのだと思われる。
それは現在で言うところの「カクラム砂漠周辺」である。

西の洞窟B3の世界地図における「カクラム砂漠」の位置には壺や樽が配置されているのであるが、これはおそらく当時のカクラム砂漠周辺にあった都市が「マルディアスの台所」のような役割の場所であり、様々な物資の宝庫だったからであろう。
当然、当時は砂漠ではなく温暖な気候で、ミニマップによるとガレサステップも広大な湖だったのでカクラム砂漠周辺は肥沃な土地だったのだと思われる。
しかしながら、古代神戦争によってミニマップ管理者も引退させられた後に、マルディアスの環境制御システムにエラーが生じて、その付近の気温が急激に上昇し、都市は崩壊してしまった。
そして、さらに砂漠化が進行することで、都市の残骸は全て砂漠に沈んでしまって今に至るわけである。
砂漠の地下のタラール村で見られる古代遺跡は、その都市にあった建築物の一部であろう。
#砂漠の地下でニーサに声を聞くことができるということは、砂漠に沈んだ都市はニーサに縁のあった都市だったと思われる。しかしながら、現在何も手を加えていないということは、ニーサは古代神戦争での壊滅を受け入れて、その後のシミュレーションの進展を見守っているということだろう。

(3)凍結湖の城
(2)において砂漠の地下に古代神時代の建築物があることを述べたが、同じ造りの建築物を他でも2ヶ所で見ることができる。
一つは凍結湖の城である。

凍結湖の城は西の洞窟B3の世界地図では「上り階段」で表現されている。
このことから推察すると、凍結湖の城は古代神時代には地上と天界を繋ぐ場所だったのではないだろうか。
天界というのは文字通り空の上にあったのか、もしくは別の空間にあったのかは分からないが、古代神のアバター等がいた場所である。
#基礎知識編で「エロールはミルザを天界に引き上げ~」と述べられている場所であり、その場所は新しい神々にも利用されているようである。
凍結湖の城には「神様の像」と「竜の像」が設置されているが、それらは古代神のアバターを象ったものであろう。

凍結湖の城にはもともとは地上と天界を繋ぐ道があったと思われるが、現在はそういったものは見当たらない。
ロマ1論「ミニオン論2」において「もともとは温暖だったバルハラントがデスに攻められた」と推察したが、それはデスが天界に攻め入るために凍結湖の城を制圧したということであり、デスによる天界への襲撃を恐れたエロールが凍結湖の城にあった地上と天界を繋ぐ道を切断したのかもしれない。
(4)オールドキャッスル
古代神時代の建築物の残り一つはオールドキャッスルである。

ところが、西の洞窟B3の世界地図を見てみると・・・オールドキャッスルに該当しそうなシンボルは存在しないのである。
これはどういうことなのか言うと・・・このミニマップが使用されていた当時にはまだオールドキャッスルは存在しなかったということである。
つまり、オールドキャッスルは古代神戦争の後に建造されたものなのである。
現存している古代神時代の建築物は古代神が直接作ったものではなく、古代神に知識を与えられた旧人類(巨人族)が作ったものであろう。
おそらく、古代神戦争で世界が壊滅し、古代神が姿を見せなくなってしまった際に、残された巨人族が神の遺物を奉るために作った神殿がオールドキャッスルなのである。
#巨人族について「神々の城、オールドキャッスルの財宝を守っており、困難な道のりを乗り越えて巨人の里を訪れた勇者に有償でそれらの財宝を譲ってくれる。」(大全集)と述べられている。
そして、その巨人族はもともとは(2)で述べたカクラム砂漠周辺にあった都市に住んでいたのだと思われるが、そこが急激な環境変化によって崩壊してしまったため、オールドキャッスルのそばに新たな居住地(巨人の里)を作ったのであろう。

(5)二つの月の神殿
ロマ1論「ミニオン論3」において「デスとシェラハを退けたアムトとエリスの二つの月の力を讃える目的で当時の人達によって二つの月の神殿は建造されたのでしょう。」と推察したのであるが、1.(1)で述べたように現生人類が生まれた頃には既に3邪神が暴れていたので、邪神封印戦争時代に現生人類が高度な文明を発展させることはできなかったと思われる。
例えば、OPや小林画伯のイラストではミルザが鎧等を装備しているが、当時の文明ではああいった装備を作る技術すらも無かったであろう。
#ミルザの装備については基礎知識編に「神々の武器と鎧をみにつけ」というようにエロールから授けられたことが明示されている。

従って、邪神封印戦争の頃の人々にはまだ二つの月の神殿を建造できるほどの建築技術は無かったと思われるので、二つの月の神殿の経緯について再検討することにする。
(i)建造されたのはいつか?
まず、西の洞窟B3の世界地図を見てみるとアロン島に宝箱が配置されている。

この場所は丁度ジャングル内の二つの月の神殿のあたりであろう。
このことから、二つの月の神殿はもともとは旧人類(ジャングルの場所にあった都市の人々)が造ったもので、おそらく何かしらの貴重な財宝が安置されていたのだと推察される。
もちろん、その財宝というのはデステニィストーンの一つ「気」のムーンストーンではない。
#古代神の時代にはまだデステニィストーンは存在していない。
(ii)入り口に細工がなされ、古文書が記されたのはいつか?
二つの月の神殿に入る方法が記された古文書については大事典に「ゲッコ族が文明を築いたころより伝わっている文書。いまでは使用するものがいなくなった古代語で書かれている。」と説明されている。
ゲッコ族はサルーインに創られた種族なのだから、二つの月の神殿の入り口に細工がなされ、その入り方について古文書に記されたのはサルーインが封印される以前ということになる。
古文書が書かれたのはサルーインが封印される以前であり、古文書が古代語で書かれているということから、古代神の時代に細工がなされたと考える人もいるかもしれないが、それはない。
なぜなら、古文書には「二つの月の神殿に入るためにはエリスのシンボルとアムトのシンボルが必要」ということが書かれているが、エリスとアムトは新しい神々であるから、古代神の時代にはまだ存在しないのである。
従って、二つの月の神殿の入り口に細工がなされ、その入り方について記されたのはアムトが生まれてからサルーインが封印されるまでの期間ということになる。

それならば、新たな疑問が生じてくる。
それは「そもそもどうして二つの月の神殿の入り口に細工がなされたのか?」ということである。
現在の二つの月の神殿にはムーンストーンが奉られていることから、ムーンストーンを守るために入り口に細工がしてあると思っていたのであるが、細工がなされたのはサルーインの封印前なので、まだムーンストーンは二つの月の神殿には無いのである。
「邪神を討伐できたら何か飾ろう!」という目的で予め入り口に細工をしたというのは到底ありえないでしょう。
では、どういう目的で入り口に細工をしたのかというと、おそらく二つの月の神殿に立てこもるためであったと思われる。
先に述べた通り、当時の現生人類の文明はまだ十分に発展していなかったから、頑丈な石造りの二つの月の神殿は当時の人間が邪神一派の猛攻から身を守るにはかなり優れた建築物だったと思われるのである。
当時の人々は、エリスとアムトの力で邪神デス、シェラハの力が抑え込まれるのを目の当たりにして、自分たちの隠れ家も守ってほしいとエリスとアムトに願った。
その結果、その願いがエリスとアムトに聞き入れられ、二つの月の神殿の入り口に二つの月の女神によって細工がなされたのである。
#それ以来、二つの月の神殿は「二つの月の神殿」と呼ばれるようになった。
(iii)古文書に使われている古代語とは何か?
では、大事典の古文書の説明に書かれていた「古代語で書かれている」とはどういうことなのだろうか?
この点については、古代語が文字通り古代神時代の文字である可能性もあるが、そうではない可能性もある。
まず、古文書が古代神時代の文字で書かれたという場合については、おそらく現生人類の文明の発展のためにエロールが言語・文字を授けたのであるが、それが旧人類の用いていたものだったということである。
また、古文書が古代神時代の文字で書かれていない場合については、現生人類が自分たちで生み出した原始的な言語・文字で書かれていたということである。
私たちでも1000年以上前の言語を読むのは困難であり、読解には専門的な知識が必要であるから、1000年以上前の言語ならば十分に「古代語」と表現しても問題ないであろう。

(iv)ゲッコ族との関係
では、どうして古文書がゲッコ族に伝わっているのだろうか?
妄想ではあるが、ゲッコ族と関わりのあるトカゲ系のリザードマンについて大事典に「ゲッコ族と共にサルーインに造り上げられたモンスターだが、知能を与えられなかった種族。人間と大きさと知力以外の能力はほとんど同じだが、生命力が低い。そのため、繁殖力が非常に高い。また、知能をサルーインから授かったゲッコ族を逆恨みし、対抗意識を持っている。」と解説されていることを加味して、次のようなエピソードがあったのではないだろうか。
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時は邪神封印戦争の頃、邪神によって生み出されたモンスターたちの襲撃に人間(現生人類)たちは怯える毎日を過ごしていた。
そんな人間の一群がモンスターの恐怖から逃れるために海を渡ってアロン島に辿り着いた。
しかしながら、その島もすでに邪神一派が創り出したモンスターで溢れていた。
人間たちはジャングルを逃げ回った末に、石造りの神殿に辿り着き、そこを拠点としてモンスターと対峙することとなった。
圧倒的な数の暴力で迫ってくるモンスター達との戦いに人間たちが疲れ切った頃、夜空に銀色と赤色の二つの月が輝いた。
その輝きにより邪悪なモンスター(主にゾンビ系や骸骨系、悪魔系等)は消滅したり、弱体化したりした。
それにより神殿に逃げ込んだ人間たちは一時、難を逃れることができたのだった。
#この時、エリスとアムトの力によってデスとシェラハが弱体化させられていて、しばらくしてエロール一派に降参することになる。
しかしながら、邪悪なモンスターが減っても、ジャングルには動植物系のモンスターがまだまだたくさんいた。
無尽蔵に湧いてくるモンスター軍との戦いの日々をもう終わらせてほしいと願う人間たちは、もう一度奇跡を起こしてほしいと二つの月に祈った。
すると、その想いは二つの月の女神に届き、石造りの神殿の入り口には二つの月の女神の加護により細工がなされたのであった。
これにより、人間たちは常に入り口で戦い続ける必要が無くなり、安全が確保された状態で休息をとることができるようになったのである。
そして、その入り口の開閉の仕方は、神による奇跡のエピソードとともに書物に記されたのであった。
一方のモンスター軍、特にジャングルに大量に棲んでいたリザードマン族は石造りの神殿に立てこもった人間たちにイライラしていた。
時折、食糧調達の目的等で外に出てくる人間を襲うことしかできなかったからである。
その一方で、リザードマン族とともにジャングルに棲んでいたゲッコ族たちは悩んでいた。
ゲッコ族は創造神としてサルーインを崇拝している(大事典)が故に、「サルーイン様からいただいた命を人間との戦いで無駄に失ってしまうことこそ、サルーイン様への反逆行為ではないか?」と同族が犠牲になる戦いの日々を通して思い至っていたのである。

そんなある日、リザードマン族が人間たちの一向を襲撃して、戦利品の食糧を貪り喜んでいるところにゲッコ族の一人が遭遇した。
そして、リザードマン族が目もくれなかった落ちている書物を拾いあげた。
ゲッコ族はこれまでにも人間たちとの戦いで、人間の書いたものを目にしていたために、人間の文字をある程度は読めるまでになっていたのである。
それ故に、そのゲッコ族はその書物を読んで驚いた。
なぜなら、その書物には封じられた石造りの神殿の入り方が記されていたからである!!
ゲッコ族たちは密やかに話し合った。
神殿の入り口を開けてしまったら、また不毛な戦いの日々に戻り、命を無駄にしてしまうことになる。
それならば、書物は隠匿したほうがいいだろう。
いっそのこと、自分たちもこの戦いから撤退したほうが命を無駄にしないだろう。
よし、命を大事に!
こうしてゲッコ族は神殿の入り方の記された書物とともに自分たちの巣(後に「シルバーの洞窟」と呼ばれる場所)に撤退した。
#ロマ1論「シルバー論」において、シルバーの洞窟はもともとはゲッコ族の住処だったと推察している。
そして、もう戦いに巻き込まれないために、二つの月の神殿の入り口の仕組みに倣って、簡単な仕掛けでゲッコ族の巣の入口への道を閉ざしたのであった。
戦場からいなくなったゲッコ族にリザードマン族は怒ったが、リザードマンの知能では閉ざされたゲッコ族の住処への道を開けることはできず、知能を持つゲッコ族に恨みの炎を燃やすようになったのである。
#主人公たちならば知識が無くてもサラっと開けられる簡単な仕掛けなのだが、リザードマンには無理だった。

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こうしてゲッコ族は自分たちの巣でゲッコ族独自の文明を発展させていくことになり、隠匿した書物は後に「古文書」と呼ばれるようになるのである。
#隠遁生活の中で人間の古代語を読む機会は失われたし、人間も古代語を使わなくなったので、古文書を読むことのできるゲッコ族もいなくなった。
(v)リザードマン族大移動
(iv)でゲッコ族と古文書、そしてリザードマン族の過去についての推察を述べた。
その推察ではゲッコ族とリザードマン族が棲んでいたアロン島に人間が逃げ込んだ後のエピソードを述べたのであるが、それは「ゲッコ族がアロン島の先住民族」(大全集)であり、「リザードマン族はゲッコ族とともに造られ、ゲッコ族のことを逆恨みしている」(大事典)という文献の情報を前提としている。
ところが・・・現在のアロン島に生息している敵シンボルを見てみると・・・何とトカゲ系は1匹もいないのである。
ジャングルにも洞窟にも二つの月の神殿にもどこにもいないのである。
では、アロン島にトカゲ系シンボルがいないのだから、リザードマン族が大量に棲んでいたという上記の推察は誤っているのだろうか?
確かに、現在のアロン島にはトカゲ系シンボルは存在しない。
しかしながら、それは過去にもいなかったということを意味するわけではない。
つまり、過去には大量にいたが、今はいなくなっただけなのである。
ロマ1論「シルバー論」において、シルバーの洞窟はもともとゲッコ族の住処であったが、水棲生物系の「海の悪魔」が無尽蔵に湧いて出るために住めなくなって現在のゲッコ族の村の場所に移住したということを述べた。
これにより、ゲッコ族とリザードマン族とのいざこざが再燃してしまう。
即ち、ゲッコ族がシルバーの洞窟に住んでいたときには入り口の仕掛けのおかげでリザードマン族が侵入してくることはなかったが、そこから出て移住したためにリザードマン族に見つかり、逆恨みの嫌がらせを受けるようになってしまったのである。
そんな時に、人間(バファル帝国)によるゲッコ族狩り(奴隷売買)も始まってしまった。
#リザードマン族は知能が低かったので奴隷としての商品価値は無かった。
バファル帝国によるアロン島の支配は長く続いたが、シルバーの反乱を契機としてアロン島は独立を勝ち取る。
その後、死期を悟ったシルバーはゲッコ族に頼んでゲッコ族の元住処(シルバーの洞窟)を連れの幼竜(ブルードラゴン(L))の新しい住処にすることの許しを得た。
#シルバーとゲッコ族のエピソードについては「シルバー論」を参照してください。
さて、その後である。
人間によるゲッコ族狩りは収まったものの、ゲッコ族に対するリザードマン族からの嫌がらせは相変わらず続いていた。
困り果てたゲッコ族、数の暴力で調子に乗っているリザードマン族・・・そんな彼らの前にあいつがやってきた!
そう、成長したブルードラゴン(L)である。
かつて、幼いながらも幼竜はシルバーがゲッコ族に頼んで安息の地(シルバーの洞窟)を手に入れたことを理解していた。
それ故に、幼竜はゲッコ族のことをシルバーの恩人と捉えていたのである。
自分の大好きなシルバーの恩人であるゲッコ族が嫌がらせを受け続けている・・・これは見過ごすわけにはいきますまい!!

ブルードラゴン(L)による刺激的な報復はアロン島中に轟いた。
恐怖のどん族に落とされたリザードマン族はアロン島から尻尾を巻いて・・・、いや尻尾を自切して去っていったのである。
#大事典の「とかげ戦士」の解説には「リザードマンと異なり、尻尾が生えている種族」と記載されている。しかしながら、もしかしたらもともとはリザードマン族にも尻尾があったが、この一件の恐怖がリザードマン族に遺伝子レベルで刻み付けられたために尻尾の再生能力が退化してしまったのかもしれない。

こうしてリザードマン族はアロン島から大量脱出してほとんどいなくなり、現在では虫系編成L1と獣系編成L4のお供として見かける程度にまで減少したのでした。
#そして、この一件でゲッコ族がリザードマン族から逆恨みされる理由が一つ増えたのである。
(vi)二つの月の神殿に関わる時系列の整理
以上の推察をまとめると、二つの月の神殿に関わる事柄の時系列は以下のようになる。
時代 | 事柄 |
古代神時代 | |
・古代神時代に貴重な財宝を安置するために旧人類によって石造りの神殿が建造される。 | |
・古代神戦争によってマルディアスが崩壊し、古代神たちが去る。 | |
新しい神々の時代 黎明期 | |
・エロールを中心とした新しい神々の時代が始まる。 ・3邪神も誕生する。 | |
・現生人類が誕生する。 ・アロン島にゲッコ族やリザードマン族が誕生する。 | |
邪神封印戦争 | |
・3邪神が暴れ始める。邪神封印戦争の始まり。 ・現生人類の一部がアロン島に渡り、ジャングルの中にあった石造りの神殿に逃げ込む。 | |
・赤い月の女神アムト誕生。 ・エリスとアムトの力でデスとシェラハが弱体化し、降参する。 ・サルーインの猛攻は激化する。 | |
・アロン島の石造りの神殿に逃げ込んでいた現生人類が祈って、神殿の入り口に二つの月の女神の細工をしてもらう。 ・現生人類が二つの月の神殿の入り方を書物に記す。 ・上記の書物がモンスター一派の手に渡ってしまうが、ゲッコ族が集落を形成し、自身らとともにそこ(後のシルバーの洞窟)に隠匿する。 | |
・エロールがデステニィストーンを造って結界を張る。 ・ミルザがサルーインを結界に追い込む者に選ばれる。 ・ミルザが無事にサルーインを結界に追い込んで封印完了。邪神封印戦争終結。 | |
戦後初期 | |
・エリスとアムトの信者によって「気」のムーンストーンが二つの月の神殿に奉られる。 | |
AS100 | |
・バファル帝国がサンゴ海を支配下に置く。 | |
戦後中期? | |
・ゲッコ族の住処(シルバーの洞窟)に海の悪魔が発生したため、ゲッコ族が移住する。 ・ゲッコ族に対するリザードマン族の嫌がらせが始まる。 | |
・バファル帝国によるゲッコ族狩り(奴隷売買)が始まる。 | |
AS750頃 | |
・シルバーの反乱。 ・アロン島がバファル帝国の支配から離脱する。 | |
・シルバーがゲッコ族の元住処を幼竜の新しい住処(シルバーの洞窟)として譲り受ける。 | |
その数年後? | |
・成長した幼竜(ブルードラゴン(L))がリザードマン族をアロン島から追放する。 |
(6)リガウ島の宝箱
西の洞窟B3の世界地図では、リガウ島にも宝箱が配置されている。

このことから、リガウ島にもアロン島の財宝に並ぶ貴重な財宝があったのだと思われる。
そして、もしかしたらそれがリガウ島の財宝伝説の発端になったのかもしれない。
即ち、財宝の穴において暗闇蜘蛛やウラノスが守っている宝箱とは別に、古代神時代の財宝が未だにどこかに埋もれている可能性もあるのである。

(7)海底トンネル
西の洞窟B3の世界地図には、パイレーツコーストエリアからアロン島、西バファルエリアからリガウ島への抜け道がある。

おそらくそこには当時、海底トンネルがあったのではないだろうか。
古代にそんなものが造れるのかと思うかもしれないが、現生人類がエスタミルの海峡トンネル(エスタミル下水道)を建造できているので、より高度な文明を築いていた古代神時代に海底トンネルを建造できていても何ら不思議ではない。
前者のトンネルはカクラム砂漠周辺にあった都市とジャングルにあった都市を繋ぐ道であり、後者のトンネルはリガウ島の財宝を観覧するため(聖地巡礼)の道だったのかもしれない。
そうだとすると(6)の宝箱の位置には財宝を展示する神殿があったのかもしれない。
そして、どちらの海底トンネルも古代神戦争の際に崩落してしまったのであろう。

(8)マラル湖
西の洞窟B3の世界地図ではマルディアスを取り巻く海とマラル湖が洞窟の石壁と一体化している。
ガレサステップ周辺、クリスタルレイク、騎士団領の湖は水場として表されているのに、どうしてマラル湖は水場になっていないのか?

海水の場所が石壁になっているのか?
・・・否、基礎知識編にマラル湖は世界最大の淡水湖だと述べられている。
広大な水場が石壁になっているのか?
・・・否、広さならばかつてガレサステップ周辺に存在した水場の方が広かったようである。
では、どうしてマラル湖は水場で表現されずに石壁と一体化しているのか?
おそらくであるが、当時深い水場だった場所が現在は石壁と一体化しているのではないだろうか。
つまり、ロマ1においてクリスタルレイクは歩いて渡れるが、マラル湖や海は船がないと渡れない。
ガレサステップ周辺に存在していた湖も現在は干上がっているように、古代神時代には広大であったものの深さはそれほどでもなかったのであろう。
そして、古代神のミニマップでは水場の深さも考慮されていて、海とマラル湖は深めに作ってあったが、管理システムエラーで現在の場所(バルハラントの地下)に取り残された際に、深い部分の底が抜けて(大地が貫通して)しまって、海とマラル湖の場所は石壁になってしまっているのであろう。

(9)フロンティアのモンスター
西の洞窟B3の世界地図を見てみるとフロンティア方面には特に何も無い。
古代神時代も人間(旧人類)の手は入っていなかったようである。

しかしながら、気になるのは1体だけ配置された無機質系シンボルである。
もしかしたら古代神時代には災害級の凶悪な無機質系モンスターがフロンティアに生息していたのかもしれない。
#さらに言うならば、未開のフロンティアには今もそれが眠っている可能性もある。

(10)イスマスとラストダンジョン
本章の最後にラストダンジョンについて触れておく。
ロマ1のラストダンジョン・・・視覚的にはロマ1で最もインパクトのある場所・・・完全解析編の言葉を借りれば「有機質の柱」、「粘液上の気泡が吹きだす」というこれまでに冒険してきたマルディアスの世界とは明らかに異質な空間を初めて目にしたとき、誰しも驚かされたのではないでしょうか。
さて、そんなラストダンジョンについても謎が残されている。
それは「どうしてイスマスにラストダンジョンがあるのか?」ということ・・・もっと言えば「エロールはどうして封印する場所(デステニィストーンで結界を張った場所)をイスマスにしたのか?」ということである。

ラストダンジョンに関わる謎はまだある。
それは大全集に記載されている事柄である。
大全集には「地域総覧」というものが掲載されていて、ロマ1~3で登場した全ての地点の分類がなされている。
その分類の「超自然界」のところを見てみると、
「異次元」:ロマ1の最終試練、ロマ2のラストダンジョン、ロマ3のアビス |
最終試練が異次元というのは解るし、ロマ2とロマ3の最終ダンジョンが異次元というのも「そうなのか」とは思う。
しかし、それならば「ロマ1のラストダンジョンは?」と当然思うことだろう。
ロマ2のラストダンジョンはロマ1のラストダンジョンの後継みたいなものだから(むしろマイルドになっている?)、「ロマ2が異次元ならばロマ1も異次元ではないのか?」と思ってしまうのである。

出典:(左)ロマンシングサガ2, スクウェア. (右)ロマンシングサガ3, スクウェア.
ではロマ1のラストダンジョンはどこに分類されているのか?
さらに「超自然界」のところを見てみると、
「異界」:ロマ1の冥府 |
そしてようやく見つけた記載場所は「自然物」のところ、
「洞窟」:ロマ1のラストダンジョン |
・・・つまり、ロマ1のラストダンジョンはあれほど禍々しいにもかかわらず、そこら辺のダンジョンと同じ位置づけなのである。
サルーインの紋章から異次元にワープしているのではなく、普通にイスマスの地下に送られているだけなのであった。
これは一体どういうことなのだろうか?
以上のようなラストダンジョンについての疑問点が残されているのであるが、その答えの手がかりが実は西の洞窟B3の世界地図にあるのではないだろうか。
即ち、現在のイスマスの辺りには古代神時代に都市があったということである。

そして、(1)の推察に基づけば、その都市は古代神戦争に巻き込まれて壊滅してしまっているのである。
このことから推察すると、イスマスの地下に広がっている空間は、もともとはイスマスの辺りにあった都市に住んでいた旧人類が造った避難シェルターだったのではないだろうか。
つまり、古代神戦争が始まった際に、地上は危険すぎるので地下に逃げ込んだわけである。
#実際、タラール族や砂漠の地下の住人は古代神戦争の際に地下に逃れた旧人類の末裔であることがゲーム内でニザムから語られる。
#ニザム「ニーサのお告げがあったのだ。三度神々の戦いが迫っていると。その戦いから身を守るために、ここに隠れたのだ。昔、我々の祖先は幸せな暮らしを送っておったそうだ。だが、神々の戦いが始まり、ほとんどの生き物が死に絶えた・・・。一握りの祖先がここに逃げ込んで生き延びたのだ。戦いが終わると神々は荒れ果てた世界を見捨てて去っていった。エロールとニーサだけがここに残り、新たな世界の父と母になったのだ。新たな神々、新たな大地、新たな生き物を産んだ。時が流れ、祖先たちが外に出てみるとすっかり違う世界になっていた。山も川も草花も動物も知らないものばかり。住んでいる人さえ彼らとは違っていた。絶望した人々は地下に残り、我々の祖先は地上でひっそりと暮らすことにした。それがタラール族だ。」
#旧人類には現生人類と同じサイズの人間だけでなく巨人族もいる。巨人族ならばあの広大な空間を作ることも可能であろう。

そして時は流れ、邪神封印戦争の際にはイスマス辺りの地下にある避難シェルターは既に使われておらず無人だったため、マルディアスで物理的に最も奥深く地の底まで落とすことができるその巨大な地下施設をエロールはサルーイン封印の地として選んだわけである。
では、ラストダンジョンがもともと旧人類の避難シェルターだったのならば、本来は石造りのはずなのに、どうしてウネウネグチャグチャになっているのだろうか?
#小林画伯のイメージイラストを見ても、そのような描写はどこにもない。
邪神封印戦争においてサルーインを封印した際に、大量のモンスター達も一緒に封印していて、その大量のモンスター達の屍骸が高濃度の邪気を吸収し続けた結果、ウネウネグチャグチャと動き出したのだろうか?
否!・・・サルーインのミニオン達が「こうなったらサルーイン様に吸収され、少しでもサルーイン様にエネルギーを与えるのだー」(ゲーム内の台詞)と言っていることから察すると、大量のモンスターをサルーインと一緒に封印したら、大量のモンスターがサルーインの栄養補給源になってしまうのである。
サルーインの特質についてはエロールも十分に理解していたであろうから、そんなミスをすることはなかったであろう。

では、どうしてラストダンジョンはウネウネグチャグチャなのか?
その可能性の手掛かりとなるモンスターが2匹いる。
それはゾンビ系の「サンドゴーレム」と「ブルベガー」である。
この2匹について大事典には次のように解説されている。
サンドビースト:「邪神が力を復活させてきたせいか大陸のあちらこちらで砂漠化が進んでいる。そんな砂の1粒1粒が命を持ち、1つの塊となったモンスター。」
ブルベガー:「地中に含まれている毒素が、邪気の影響によって一ヵ所に集まり、巨大化したモンスター。」
つまり、これらのモンスターはロマ1ではほとんどいない物質系モンスター・・・無生物が邪気によって動くようになったモンスターなのである。
#大事典によると同じ属であるマッドゴーレムとウリスクは、
マッドゴーレム:「邪気を含んだ泥や、モンスターの死体が土に残ったものが集まってゴーレムとなった。」
ウリスク:「オークの腐敗した死体に悪霊が取り憑いたモンスター。」
と解説されているように生体由来の生粋のゾンビであるが、サンドビーストとブルベガーは厳密にはゾンビとは呼べないと思われる。
![]() マッドゴーレム |
![]() ウリスク |
![]() サンドビースト |
![]() ブルベガー |
生粋のゾンビ | 実は物質系 |
このように邪気は無生物にも影響し、命を育みうるのである。
従って、避難シェルターがもともとは石造りであったとしても、密閉された空間で1000年もの間、濃厚なサルーインの邪気に晒され続けたのならば、邪気の影響によってシェルターの床や壁などが命を宿してウネウネグチャグチャに変貌しうる可能性は十分にあると言えるだろう。
#見た感じとしては、サンドビーストやブルベガーのような個々のモンスターが生まれているというよりは、ラストダンジョン全体が一つの生体・・・言わば、ラストダンジョンはその生体の体内になりつつあるのではないだろうか。つまり、真・女神転生2で街をまるごと飲み込んだアバドンのようなものである。おそらく、復活への執念を燃やしてエネルギーを欲するサルーインの渇望の想いが反映された結果、アバドンのようにエネルギーを吸収することを目的とした存在になったのであろう。そうだったのならば、いずれイスマスはさらに成長したラストダンジョンに飲み込まれていたかもしれない。

出典:真・女神転生2, アトラス.
あとがき:
本稿では、意味ありげながらゲーム内や文献において一切言及されていない西の洞窟B3の世界地図についての推察することを通して、ロマ1における神々の真相と古代神時代のマルディアスの様相について言及した。
本稿を書き終えた今、総括として思うことは、「ゲーム内のダンジョンの1フロアからこれだけいろいろと物語の舞台の過去について思いを巡らせることのできるロマ1というゲームはやっぱり奥深い!」ということである。
新たな魅力と言うか、今まで気付かなかった魅力と言うか、ロマ1が今も変わらず魅力的で私が惹かれる理由の一端を知ることができたように思います。