
サガCERO論-ロマ1編-
(2024年04月01日発表)はじめに
1.CEROレーティングとは何か?
2.ロマ1を振り返るための視点
(1)CEROのレーティングの枠組み
(2)CEROレーティングの仕方
(3)本稿における判定の仕方
3.ロマ1のゲーム内における事柄の特徴づけ
<性表現系>
<暴力表現系>
<反社会的行為表現系>
<言語・思想関連表現系>
4.特徴づけの結果一覧
5.特徴づけの結果をもとにして考える
(1)特徴づけの結果を視るための視点
(2)ロマ1における子どもにとって有害になりえる事柄
(3)もう一つ懸念すべき視点
(4)本稿における結論
おわりに
はじめに:
現在はサービスを終了しているニンテンドーeショップではバーチャルコンソール版ロマ1が販売されていた。
そのVC版ロマ1の情報を求めてニンテンドーeショップを閲覧した際に気になったことが一つある。
それはCEROレーティングである。
何が気になったのかと言うと、ロマ2とロマ3はCERO B(12歳以上対象)だったのに対して、ロマ1はCERO C(15歳以上対象)だったのである。
つまり、ロマ1はロマ2やロマ3よりもヤバい認定されていたということである。

では、ロマ1のどんなところがヤバイ認定に繋がっているのだろうか?
本稿ではCEROレーティングを視点として、改めてロマ1を振り返ってみたい。
1.CEROレーティングとは何か?
掻い摘んで言うと「ゲーム内での表現を考慮しての対象年齢設定」である。
引用・参考元:
・CEROレーティング制度
・CERO 倫理規定(pdfファイル)
2.ロマ1を振り返るための視点
(1)CEROのレーティングの枠組み
CERO倫理規定第4条「ゲーム系ソフトの審査」には以下のように記載されている。
>1.ゲーム系ソフトの審査においては、第7条(別表3を含む)に定める禁止表現の有無を判断し、
>これらの禁止表現があるもの(に)ついては、レーティングを与えないものとし、
>これらの禁止表現がないゲームソフトについて別表2に記載する表現種類・表現度合を総合審査し、
>以下のレーティング(年齢別区分)を行う。
ロマ1(VC版)はCERO C判定されているので、第7条で示された禁止表現、即ち以下のような表現は用いられていないことになる。
・性表現:性器及び局部(恥毛を含む)表現。
・暴力表現:極端に残虐な印象を与える表現。
・反社会的行為表現:反社会的行為を肯定・賞賛・推奨・助長する表現。
・言語・思想関連表現:放送禁止用語、差別用語。
従って、焦点を当てるべきは「これらの禁止表現がないゲームソフトについて別表2に記載する表現種類・表現度合を総合審査」するという部分である。
CERO倫理規定別表2には表現種類と表現度合について示されている。
まず表現種類は以下のように4つの大区分と各大区分の属する小区分で構成されている。
---------------------------------------------------------------------------
<性表現系>
「キス」「抱擁」「下着の露出」「性行為」「裸体」「性的なものを想起させる表現」「不倫」
「排泄」「性風俗業」「水着・コスチューム」
<暴力表現系>
「出血描写」「身体の分離・欠損描写」「死体描写」「殺傷」「恐怖」「対戦格闘・ケンカ描写」
<反社会的行為表現系>
「犯罪描写」「麻薬等薬物」「虐待」「非合法な飲酒及び喫煙」「非合法なギャンブル」
「近親姦・性犯罪等」「売春・買春」「自殺・自傷」「人身売買等」
<言語・思想関連表現系>
「言語・思想関連」の不適切な描写
---------------------------------------------------------------------------
次に、表現度合は以下のような観点で評価されるようである。
---------------------------------------------------------------------------
・「直接的」であるか、「間接的」であるか。
・「肯定的」であるか、「否定的」であるか。
・「必然的」「自然的」であるか、否か。
・テーマとの関連で「主題的」か、「背景的」か。
・一般人の観点からみて不合理に嫌悪感を与えないか、反社会的ではないか、扇情的ではないか
等が考慮される。
---------------------------------------------------------------------------
(2)CEROレーティングの仕方
CEROレーティングの仕方の詳細は公表されていない。
そこで、以下の2つのインタビュー記事からCEROレーティングの仕方について部分的にまとめる。
・海外版と日本版ではどうして表現や内容が違うのか。今,あえてCEROに聞く「レーティング制度」の現状について
(2014/02/10、4Gamer.net、編集部:MU)
・今の時代におけるCEROの存在意義とは?審査不通過による発売見送り,対象年齢外タイトルのヒット,IARCなどへの見解を聞く
(2023/05/23、4Gamer.net、ライター:相川いずみ)
・研修を修了した20代から60代までの男女数十名が審査員として登録されている。
・1タイトルに対して3名の審査員が選ばれ、CERO事務局の専用ブースで各自判定をする。
・判定は審査員が実際にゲームをプレイして行うのではなく、ゲームメーカーが提出したダイジェスト映像に対して行う。
・判定は表現種類の小区分それぞれに応じた6段階の表現に該当すると思われるものを選択することで行われる。
(3)本稿における判定の仕方
(2)で示したようにCEROレーティングは各小区分の表現種類に対して、それが6段階のどこに位置するかを判定することで行われる。
しかしながら、その判定で用いられる6段階は非公開であるため、CEROと同じ方法で私たちが判定をすることはできない。
また、CEROレーティングはダイジェスト映像に対して行われるため、ゲーム内の全ての表現に対して行われているわけではない。
こういった実情を踏まえ、本稿ではCEROの基準を用いて独自の判定の仕方をすることでロマ1を見直してみたい。
具体的には、CEROにおける表現種類の小区分に該当するロマ1のゲーム内での事柄(イベントや台詞等)をピックアップし、それぞれに対してCEROにおける表現度合の観点で特徴づけていく。
以下、表現度合の判定の仕方について述べる。
(i)直接的or間接的:直接的がアウトなので、アウトの基準を示した上で、その基準を満たしたら「直接的」、そうでないならば「間接的」と判定する。
(ii)肯定的or否定的:肯定的がアウトなので、アウトの基準を示した上で、その基準を満たしたら「肯定的」、肯定的を明確に否定しているならば「否定的」、肯定も否定もしていないどちらでもない場合はその表現を許容しているので「許容」と判定する。
(iii)自然的or不自然:ゲームの進行に関わって逸脱が無ければ「自然的」、そうでないならば「不自然」と判定する。
(iv)主題的or背景的:ロマ1の物語は一本道ではなくプレイヤーの意思決定によってその後の展開が変わる。そこで、プレイヤーの意思決定に関わるならば「主題的」、そうでないならば「背景的」と判定する。
(v)嫌悪感、扇情的等:これらは一人一人のこれまでの人生経験等によってゲーム内の表現の受け取り方は変わりうるので、本稿では客観的な判定をできないと判断し、扱わない。
従って、上記の(i)~(iv)の4観点の表現度合を判定する。
3.ロマ1のゲーム内における事柄の特徴づけ
※全部で105個の事柄をピックアップしてあります。全部を見るのは大変なので、先に「4.特徴づけの結果一覧」を見て、気になる点について以下の説明を見たほうが読みやすいと思います。
<性表現系>
■裸体
S1.アイシャの入浴
「ナイトハルト登場」において、「見ちゃだめ!!」の台詞の後に画面は真っ白になり、その中で「どうです?」→「・・・やっぱり変!水は冷たいほうがいいな。」というやりとりの台詞が表示され、ホワイトアウトが解除される。16歳の少女アイシャの裸(アウトである18歳未満の裸)や入浴シーンを想起させる表現である。
(i)アウトは裸(18歳未満の裸)の表示:画面がホワイトアウトし、裸になったシンボルは表示されないので「間接的」。
(ii)アウトは裸の開示:「見ちゃだめ!!」かつ画面のホワイトアウトで表示しない意思があるので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■性的なものを想起させる表現
S2.ミリアムのお誘い
「仲間たちとの別れ」において「ガラハドと一緒に行く」を選択した場合のミリアムが「これでもスカートの裾をちょっと持ち上げるだけで馬車の2、3台はすぐに止まってくれるんだからね。」と言う。性を武器にすることを助長するとともに、場合によっては援助交際、パパ活、いただき女子といった性的な社会問題を想起させる表現でもある。
(i)アウトは行為の実演:台詞のみで実演シーンは無いので「間接的」。
(ii)アウトは行為の肯定:グレイとガラハドはミリアムの発言に対して特に反応しないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■不倫
S3.アフマドと娘
「水竜の棲む湖」において水竜の生贄にされているアフマドの娘は正しくは「娘」ではなく「愛人」である。従って、執務室でアフマドが娘とイチャイチャしている場面は不倫現場なのである。ゲーム内で「愛人」や「不倫」といった言語表現はなされないが、アフマドには正妻がいること(「ハーレム潜入」における奥方様からの依頼)とアフマドには娘がいないこと(盗賊ギルドにおける「あいつに娘なんかいたか?」という台詞)から察せられる。
(i)アウトは不倫現場:アフマドと娘のイチャイチャしている場面が表示されるので「直接的」。
(ii)アウトは行為の肯定:表面的には不倫の話題に一切触れられず、否定もされていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■性風俗業
S4.ハーレム
「ハーレム潜入」において行くことになる北エスタミルのアムト神殿にはアフマド御用達のハーレムがあり、それが「ハーレム」であることは台詞でも表示される。ハーレムには奴隷商人を介して借金の肩代わりとして連れてこられた娘や隣国から拉致されてきた娘等が性的奴隷として働かされており、「しくしく」と泣いている台詞が表示されることから強制的に奉仕させられていることが察せられる。なお、ハーレムには妖精系シンボルもいるが、あれはおそらくモンスターではなくコスプレである。
(i)アウトはハーレムの現場:ハーレムに直接乗り込んだ際にハーレムの内部が表示されるので「直接的」。
(ii)アウトは行為の肯定:ハーレムにてアフマドを「悪の親玉」と称する台詞があるが、ハーレムの否定はされていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

<暴力表現系>
■死体描写
V1.難破船の遺体
イナーシーの嵐に巻き込まれてバルハラントに漂着した難破船には3体の「倒れ男」シンボルが配置されている。そのうち2体は甲板に配置されていて、話しかけても反応しないことから、既に息絶えているようである。また、もう1体は海に投げ出されており、左から右へ流されていく。
(i)アウトは死体の現物:3体の遺体が画面に表示されているので「直接的」。
(ii)アウトは積極的な描写:河津氏のtweetによると流される遺体は北瀬氏による意図的な演出なので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V2.ゾンビの類のモンスター
ゾンビ系シンボル、不死巨人系シンボルは人型の死体である。またゾンビ系モンスター及び不死巨人系モンスターには人間の形を保ったもの(死体)が11体存在し、その内9体が通常範疇で登場する。
(i)アウトは死体の現物:画面に普通に表示されるので「直接的」。
(ii)アウトは積極的な描写:画面切り替えにより際限なく湧いて出てくるので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
系統シンボル | モンスターの姿 |
![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |
![]() ![]() ![]() |
■殺傷
「殺傷」とは「殺したり、傷つけたりすること」であるが、ロマ1では命の扱いが根幹にかかわってくるので、本稿における「殺傷」については範囲を「殺害」に限定する。
そして、「殺傷」に属する事柄の観点(i)については、アウトは殺害シーンとし、殺害シーンが描かれて殺害された場合は「直接的」、殺害シーンが描かれずに殺害された場合は「間接的」、殺害の意思があったが実際に殺害までは至っていない場合は「未遂」と判定する。
また、観点(ii)のアウトは行為の推奨とする。
V3.アフマドを殺害
「ハーレム潜入」において、アフマドとの戦闘後に「わしが悪かった、許してくれ!」と命乞いをされる。それに対し、「命だけは助ける」or「ゆるさーん!」を選択でき、「ゆるさーん!」を選択すると画面が暗転し、南エスタミルに移動する。その後、北エスタミルの兵士と話すと「アフマド様を暗殺したやつだぞ!」と言われることで主人公のアフマド殺害が発覚する。国家元首(クジャラート国王)暗殺である。そして、アフマドを殺害した場合には善行値が1減少する。
(i)画面が暗転して殺害シーンは表示されないので「間接的」。
(ii)殺害した場合に善行値が1減少するので良い行いではないが、悪行値は増えないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V4.ハルーンの宣告
「水竜の棲む湖」において、生贄の儀式をしているハルーンに話しかけると「殺せ!!」や「死ね!」という殺害宣告をされて戦闘になる。戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝てばハルーン一行を返り討ちにして終わる。
(i)ハルーンの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V5.ハルーンを殺害
「水竜の棲む湖」において、生贄の儀式をしているハルーンに話しかけるとハルーン一派との戦闘になる。戦闘に勝利すると返り討ちとなり、ハルーンはその場から消える。これによりハルーンは冥府に出現するようになるので、どうやら主人公はハルーンを殺害してしまったようである。
(i)戦闘においてハルーンが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ハルーン一派を返り討ちにしなければゲームオーバーになるので倒さざるをえない。つまり、「正当防衛によって死に至らしめてしまうことは仕方がない」ということになるので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V6.水竜の生贄
「水竜の棲む湖」において、生贄の儀式の展開もしくは水竜との交渉結果によっては生贄の娘(アフマドの娘)は水竜に連れ去られてそれっきりとなる。水竜は娘を自分への捧げものだと認識しており、最悪の場合には娘は帰ってこないことから察すると、おそらく娘は水竜に美味しくいただかれてしまったということだろう。
(i)水竜が娘を連れ去るシーンは表示されるが、捕食シーンは表示されないので「間接的」。
(ii)ゲームとして積極的に肯定をしてはいないが、タルミッタの老女(一般人)が「若い娘を生贄に捧げるのだー!」と肯定する台詞を言うので「肯定寄りの許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V7.水竜殺し
「水竜の棲む湖」において、生贄の娘を助けるための水竜との交渉では「娘を見捨てる」or「何とか話し合う」or「無謀にも戦いを挑む」を選択できる。その際、「無謀にも戦いを挑む」を選ぶと水竜との戦闘になり、戦闘に勝利すれば水竜は死亡する。
(i)戦闘において水竜が攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V8.アサシンの宣告
「アサシンギルド殲滅」において、南エスタミルの宿屋に泊まるとアサシン(ダウド)に「死ね!」と殺害宣告されて戦闘になる。逃走不可で、戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝てばアサシンを返り討ちにして終わる。
(i)アサシンの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V9.アサシンを返り討ち
「アサシンギルド殲滅」において、南エスタミルの宿屋で寝込みを襲ってきたアサシン(ダウド)に寝込みを襲われ、戦闘になる。戦闘に勝利すると返り討ちとなり、アサシン(ダウド)は「死にたくない!!」と言いながら絶命する。
(i)戦闘においてアサシンが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示され、かつその後に絶命シーンが表示されるので「直接的」。
(ii)アサシンを返り討ちにしなければゲームオーバーになるので倒さざるをえない。つまり、「正当防衛によって死に至らしめてしまうことは仕方がない」ということになるので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V10.ファラの母親の宣告
「アサシンギルド殲滅」に関わって、ファラの母親が発狂し、「死ね!」「死ね 死ね 死ね!!」と殺害宣告をしてくる。戦闘にはならず、「一発かます」ことでファラの母親は正気を取り戻す。
(i)特に負傷者が出ることもなく終了するので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V11.ワイルの宣告
「アサシンギルド殲滅」において、アサシンギルド最奥にいるワイルがお供のフローズンボディをけしかける際に「容赦はせんぞ」「見逃して・・・やるものか!!やれ!」と言う。「やれ!」はおそらく「殺れ!」なので殺害宣告だと思われる。その後に戦闘になり、逃走不可で、戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝てばフローズンボディを返り討ちにして終わる。
(i)ワイルの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V12.邪神殺し宣言
「タラール族失踪」において、トパーズを持った状態で地底人の村のジェフティメスと話すと「お前の目的は何だ?」と問われる。これに対し、「別に何もない」or「サルーインを叩き殺す」or「サルーインを阻止する」を選択でき、「阻止する」を選択した場合には大地の剣を貰えるが、「叩き殺す」を選択した場合、即ち邪神殺害宣言をした場合にはジェフティメスに「何という思い上がりか!?」「身の程を知れ!!」と罵声を浴びせられて終わる。
(i)最終的には邪神を討伐することになるが宣言をしている「この時点では未遂」。
(ii)ジェフティメスは邪神復活を阻止することには賛同するものの、その方法として人間が神を殺めること、殺めようとする意志を持つことに対して明確に「NO」を示しているので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V13.イスマス大量虐殺
「アクアマリン捜索」において、主人公がアルベルトの場合にナイトハルトと再会すると、ナイトハルトから「ルドルフ公夫妻は多くの兵士達とともに広間に倒れておられた。激しい戦いだったのであろう。彼らの10倍以上のモンスターの屍が転がっていた。だが、多勢に無勢、一人また一人と倒れて、ついには公自身も力尽きたのだろう。御夫妻の亡骸はニーサ神殿に埋葬した。」とイスマスの惨状とアルベルトの両親及び兵士たちの戦死が伝えられる。
(i)アルベルトの両親と兵士たちの戦死はナイトハルトの台詞として伝えられるだけなので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V14.ガラハドを殺害
「アイスソードを持つ男」において、アルツールでアイスソードを手に入れて浮かれているガラハドと話すと、満たしている条件によっては「殺してでも奪い取る」という選択肢が提示される。「殺してでも奪い取る」を選択すると、戦闘にはならないで「な、何をする、貴様らー!」という名物台詞を残してガラハドは消える。その直後からガラハドは冥府に出現するので、本当に主人公の手によって無抵抗のガラハドは殺されてしまったのである。
(i)ガラハドの殺害シーンが画面に表示されるので「直接的」。
(ii)アイスソードを奪うためにガラハドを殺害すると悪行値が15となり、即座に「悪人」呼ばわりされるようになるので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V15.巨鳥殺し
「スカーブ山の怪鳥」において、スカーブ山の洞窟の最奥にいるタイニィフェザーと話すと、アディリスの依頼を受けているかどうかで台詞が変わるが、いずれの場合にも「叩き殺す」、「戦って奪う」というタイニィフェザーとの戦闘になる選択肢が提示される。そこで、戦闘をすることを選択し、戦闘でタイニィフェザーを倒せばタイニィフェザーは死亡する。
(i)戦闘においてタイニィフェザーが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V16.邪神殺し
「決戦!サルーイン」において、ラストダンジョンの最奥に鎮座するサルーインの目前まで行くと、「最後の戦いだ!準備はこれでいいだろうか?」が問われ、「だめ!」or「オーケー、やってやるぜ!」を選択できる。「やってやるぜ!」はもしかしたら「殺ってやるぜ!」なのかもしれない。それはともかく、「やってやるぜ」を選択するとサルーインとの戦闘になり、戦闘に勝利すればサルーインは消滅する。
(i)戦闘においてサルーインが攻撃を受けて消滅するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ロマ1の物語の最終的な目的はサルーイン討伐なので、ゲームとしてはサルーインを消滅させることに「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)決戦前にサルーインと戦うことの意思決定をするのであるが、ゲームをクリアするためには実質強制的に「やってやるぜ」を選ばざるを得ない。従って、プレイヤーの意思決定は実質なされていないので「主題的だが実質背景的」。

V17.邪神の宣告
「決戦!サルーイン」において、サルーインとの戦闘に勝利してサルーインを消滅させると、一人寂しく消滅するのが嫌なサルーインは「お前達も消滅せよ!!」と殺害宣告をした上で、イスマス一帯に大爆発を引き起こす。しかしながら、主人公パーティーがその爆発の災禍を潜り抜けて無事に生き延びたことがエンディングでは示されている。
(i)サルーインの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V18.ミノタウロスの宣告
「テオドール豹変」において、ミルザブール城でテオドールの監禁場所を知った帰りに、1Fで立ちふさがるミノタウロスが「生かしておけねえ!」と殺害宣告をしてきて戦闘になる。戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝つことでミノタウロスがいなくなって終わる。
(i)ミノタウロスの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V19.テオドールとフラーマの死
「テオドール豹変」において、テオドール救出後にバイゼルハイムに乗り込んだ際に、イフリートを討伐しないでバイゼルハイムから出ようとするとテオドールが「一刻も早くフラーマを助けなければならないというのに!もういい!私一人で行く」と言う。これに対し、「とことん一緒にいく」or「もう知らねー」を選択でき、「もう知らねー」を選択した場合はそのままバイゼルハイムから出ることになる。その後にバイゼルハイムの塔の最上階に行くとフラーマの代わりにヘイトがいて、彼の「ルビーを手に入れた」という台詞からフラーマの死を、「テオドールを見殺しにしてくれた」という台詞からテオドールの死を察することができる。
(i)テオドールとフラーマはヘイト一派に殺害されたと台詞から察せられるが、その実行シーンは表示されないので「間接的」。
(ii)2人を亡き者にできたことに対して、ヘイトは主人公に感謝する。邪神一派が賞賛する行為は良くないことを意味するので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によって2人の死亡が決定するが、その意思決定はあくまでプレイヤーがバイゼルハイムから出るという意思決定であって、2人を殺害するという意思決定ではないので「背景的」。

V20.オブシダンソード強奪
「凍りついた城」において、凍結湖の城の最奥にいるフルフルと話すと「我れはオブシダンソードの守護者。オブシダンソードは邪のデステニィストーン。誰にも渡すわけにはいかん!」と言う。それに対し、「そんなものはいらない」or「戦って奪う」を選択でき、「戦って奪う」を選択した場合にはフルフルとの戦闘になる。その戦闘でフルフルを倒せばフルフルは一時的に消滅する。しかし、謎の力によってフルフルは画面切り替えで復活する。
(i)厳密にはフルフルは死亡しないが、戦闘においてフルフルが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V21.北の道具屋の変死
「サルーイン秘密神殿」において、メルビル警備隊や北の道具屋の娘から北の道具屋の親父が変死した情報を聞くことができる。この件に関わって、南の道具屋からは「恨みのある相手がいれば呪い殺してやる」と営業に来た不審者情報を聞くことができる。この事件はサルーイン教団による呪殺のようであるが、教団に呪殺を依頼した人物は不明なままである。
(i)北の道具屋の親父は死亡したが、そのシーンは北の道具屋の娘の台詞として伝えられるだけなので「間接的」。
(ii)「サルーイン秘密神殿」を解決するとバファル皇帝に「これで皆が安心して暮らせる」と褒めてもらえる。呪殺が行われると安心な暮らしはできないわけなので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V22.暗殺者の襲撃(現在)
「皇女の護衛1」において、メルビル市街地においてクローディアがパーティーにいる状態でクローディアを探している賊と話しかけると「クローディアさんだね?」もしくは「一緒にいる彼女、クローディアさんだろう?探したぜ!」と言って襲い掛かってくる。戦闘では「暗殺者」と表示されるのでクローディアの命を狙ってきたことは明らかである。戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝っても賊シンボルは消えない。
(i)暗殺者によるクローディア暗殺は達成されないので「未遂」。
(ii)暗殺者を裏で操っているのはサルーイン教団で、「サルーイン秘密神殿」を解決するとバファル皇帝に褒めてもらえるが、それは変死事件や生贄の儀式に対してのものであり、この皇女暗殺未遂のことは把握していなかったと思われる。従って、この行為に対しては特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V23.サルーイン教団の生贄
「サルーイン秘密神殿」において、メルビル地下水道にあるサルーイン教団の秘密神殿では生贄の儀式が行われていて、生贄として捧げられているのは宿屋の娘である。生贄の儀式を阻止すれば、宿屋の親父からお礼を言われるので無事に娘を救出できたようである。しかし、主人公が救出しなかった場合、誰も救出に行かなかっただろうし、このイベントは時間経過で終了してしまうことから、生贄の儀式は完遂されてしまう・・・即ち、宿屋の娘の命は奪われてしまうことになる。
(i)時間経過によって生贄の儀式は完遂し、娘の命が奪われるシーンは表示されないので「間接的」。
(ii)「サルーイン秘密神殿」を解決するとバファル皇帝に「これで皆が安心して暮らせる」と褒めてもらえるし、善行値が1増加する。生贄が行われると安心な暮らしはできないわけなので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V24.サルーインの神官の宣告
「サルーイン秘密神殿」において、メルビル地下水道にあるサルーイン教団の秘密神殿で生贄の儀式をしているサルーインの神官に話しかけると「皆の者、生きて返すな!」と殺害宣告をされて戦闘になる。逃走不可で、戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、戦闘に勝てばサルーインの神官一派を返り討ちにして終わる。
(i)サルーインの神官の殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V25.バファル皇帝呪殺計画
「皇帝の奇病」において、ローバーン公の暗躍によりバファル皇帝が「サルーインの黒き呪い」によって病に伏すことになる。この呪いは「気」のムーンストーンで即座に打ち消すことができるが、ムーンストーンを使わなくても時間経過で自然に回復してしまう。
(i)最終的に呪いによって皇帝が死ぬことはないので「未遂」。
(ii)バファル皇帝やソフィアから感謝はされるが、本件の呪殺の是非については言及されないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V26.地竜殺し
「決戦!サルーイン」において、ベイル高原のグレートピットの最奥にいるアディリスと話すと、水竜の依頼を受けているかどうかで台詞が変わるが、いずれの場合にも「叩き殺す」、「戦って奪う」というアディリスとの戦闘になる選択肢が提示される。そこで、戦闘をすることを選択し、戦闘でアディリスを倒せばアディリスは一時的に消滅する。しかし、不死身に近い生命力を持つアディリスは画面切り替えで復活する。
(i)厳密にはアディリスは死亡しないが、戦闘においてアディリスが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V27.暗殺者の襲撃(過去)
「オウルとの死別」において、クローディアが主人公の場合はオウルから出生の秘密を聞かされる。それは過去回想シーンとして描かれ、そこでは乳児クローディアを命を狙った暗殺者が「おい!皇女はどうした!」と押し入ってくる。しかし、クローディアは既にオウルに保護された後だったため、暗殺者による皇女暗殺は未遂に終わったのであった。
(i)暗殺者による皇女暗殺は成功しなかったので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V28.ボス海賊の宣告
「モンスター軍団襲来」の「ブッチャー党上陸」に関わって、メルビル地下水道の海賊アジトにいるボス海賊と話すと「悪いが死んでもらうぜ!」と殺害宣告をされて戦闘になる。戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、逃走もしくは戦闘に勝つことでボス海賊がいなくなって終わる。
(i)ボス海賊の殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V29.ブッチャーの宣告(後期)
「モンスター軍団襲来」の「ブッチャー党上陸」において、主人公がホークの場合、ブッチャーの船に乗り込んでブッチャーと話すと「てめえこそヘド吐いて死ね!」と殺害宣告をされて戦闘になる。戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、逃走もしくは戦闘に勝つことでブッチャーが逃走して終わる。なお、主人公がホークではない場合も展開は同じであるが、ブッチャーの台詞は「覚悟しな!」なので殺害宣告とは言えないように思う。
(i)ブッチャーの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V30.ストライフ&マックスの宣告
「モンスター軍団襲来」の「サルーイン地下神殿」において、ストライフが「その者たちを殺せ!」「必ずしとめろ!!」とマックスをけしかけ、それにマックスは「お前達にも最期の日だ!!」と呼応する。2人して殺害宣告をしてくる。その後、マックス&サイクロプスとの戦闘になり、戦闘に負ければゲームオーバーで終わり、逃走もしくは戦闘に勝つことでマックス達がいなくなって終わる。
(i)ストライフ&マックスの殺害宣告は達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V31.商船員を殺害
「海賊稼業」において商船を襲撃し、商船員に話しかけると「命ばかりはー!!」と命乞いをされる。それに対し「助ける」or「死ね!」を選択でき、「死ね!」を選択すると商船員との戦闘になり、戦闘に勝利することで商船員は死亡する。なお、商船員との戦闘で逃走して実際に商船員を殺害していなくても、「死ね!」を選択した時点で悪行値が1増加する。
(i)戦闘において商船員が攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)「死ね!」を選択した場合に悪行値が1増加して、悪行値が1以上でガラハドから、10以上でハオラーンから「悪人」呼ばわりされるようになるので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V32.皆殺しに賛成
「マスク島の決闘」において、ブッチャーが「襲った船の奴らは必ず皆殺しにするんだ!」と提案してくる。それに対し「賛成!」or「やりすぎだ!」を選択できる。言葉通り、「賛成!」は大量虐殺を肯定する意思表示であり、「やりすぎだ!」は大量虐殺を否定する意思表示である。
(i)「賛成!」を選んでも特別にそれを実行するシーンがあるわけではないので「未遂」。
(ii)どちらを選択しても善行値・悪行値は変動しないし、特別なメリット・デメリットがあるわけではないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V33.ブッチャーの宣告(初期)
「マスク島の決闘」において、ホークを陥れたブッチャーの台詞2種類。「ひっ捕らえて全てを吐かせてやる」はその後に残虐な拷問をすることの宣言であり、「縛り首だ!!」はその後に絞首刑をすることの宣言である。
(i)ブッチャーの拷問宣告、絞首刑宣告はいずれも達成されないので「未遂」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V34.暴君殺し
「トマエ火山の迷宮」において、タイニィフェザーの依頼を受けた状態でトマエ火山にいるフレイムタイラントと話すと、「その前に一つ仕事をしてもらおう」と交換条件を提示してくる。それに対し、「引き受ける」or「戦って奪う」を選択でき、「戦って奪う」を選択した場合にはフレイムタイラントとの戦闘になる。その戦闘でフレイムタイラントを倒せばフレイムタイラントは死亡する。
(i)戦闘においてフレイムタイラントが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V35.死神殺し
「エロールの宣告」において、冥府の最奥に鎮座するデスとの交渉で「強い武器をくれ!」を選択すると、デスは仲間1人の命を代償として請求してくる。それに対し、「そんなことできるか!」or「はい!どうそ!!」or「てめえ、許さん!戦う」を選択でき、「戦う」を選択した場合にはデスとの戦闘になる。戦闘でデスを倒せばデスは一時的に消滅するが、死者の王であるデスは画面切り替えで復活する。
(i)厳密にはデスは死亡しないが、戦闘においてデスが攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V36.仲間の命を差し出す
「エロールの宣告」において、冥府の最奥に鎮座するデスとの交渉で「強い武器をくれ!」を選択すると、デスは仲間1人の命を代償として請求してくる。それに対し、「そんなことできるか!」or「はい!どうそ!!」or「てめえ、許さん!戦う」を選択でき、「はい!どうそ!!」を選択した場合には死の剣と死の鎧が手に入るが、指名された仲間は死亡する。
(i)手をかけるのは主人公ではないが、仲間の命が奪われる場面に立ち会っているので「直接的」。
(ii)仲間の命を差し出すと悪行値が15となり、即座に「悪人」呼ばわりされるようになるので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

V37.戦闘における殺傷
ロマ1はゲームジャンルとしてはRPGで、立ちふさがる敵(モンスターだけでなく人間も含む)との戦闘シーンがあり、その戦闘では味方側と敵側で攻撃し合う。
【味方側から敵側に対しての殺傷】
味方側が敵側を全滅させることが戦闘勝利条件のため、味方側が敵側に攻撃を仕掛けて敵を打ち倒していく。戦闘に敗北した敵側の生死については一般に説明されていないが、一部の戦闘後には敵側の死亡が明確に描かれているので、一般に敵側を死に至らしめるような攻撃をしていると思われる。
(i)戦闘において敵が攻撃を受けて地面に沈むシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ゲームの構造として、ラスボスを倒すために戦闘に勝利してステータスアップをする必要があるので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)戦闘における行動はプレイヤーの意思決定によるものであるが、敵を倒して戦闘に勝利することはゲームの構造に取り入れられたもので実質強制的に敵を倒さなければならない。従って、プレイヤーの意思決定は実質なされていないので「主題的だが実質背景的」。
【敵側から味方側に対しての殺傷】
味方側が攻撃を受けて戦闘不能になっても、それは「気絶」状態であり、戦闘終了後にはHP1の状態で復活する。即ち、戦闘で味方側が敵側の攻撃を受けて死亡することはない(冥府送りになったり、状態異常「死亡」になったりすることは無い)。従って、敵側の攻撃は味方側を死に至らしめるようなものではないと思われるので「殺傷」の小区分には含めない。
#一部のボス敵に敗北した場合には戦闘後に「もう一度、出直そう」と表示されて物語が継続されるように「味方側の全滅」=「味方側が全員死亡」ではない。故に、味方側が敵側に全滅させられた場合には一般にゲームオーバーでそのプレイが終わるが、それは「味方側が全員死亡」を意味するのではなく、「物語の進行上都合が良くないのでやり直してね」というメタ的な製作側の都合によるものでしかないと思われる。
■恐怖
恐怖の対象になりうるものは様々であるが、本稿では漫画『チェンソーマン』(藤本タツキ)で語られる「根元的恐怖」を参考に、人間が本能的に恐怖の対象としている「闇」、「落下」、「死」に関わる事柄を表現種類としてピックアップする。
そして、表現具合の観点(i)については、恐怖の対象そのものであったり、恐怖の対象を著しく想起しやすかったりするものが描写されている場合には「直接的」とする。そして、本稿では特徴づける事柄を限定するために、観点(i)が「直接的」なもののみを記す。例えば、武器全般は「死」を想起できるが、必ずしも武器が対象を死に至らしめるために用いられるわけではない。つまり、「武器」と「死」の間に「殺意」があって初めて「武器」と「死」が繋がるので、そういったものは「間接的」と見なして、本稿では除外する。
また、観点(ii)のアウトは対象の推奨とする。
V38.モニカによるブラックアウト
「ジャン救出作戦」において、ローバーンの小屋にいるモニカに正しい合言葉を伝えると、誰に言われて来たのかを訊ねられる。その問いに対して正しく答えなかった場合、「私、ウソつきって大嫌いなの!あなたの今までの努力を全て無駄にしてあげるわ。」と言われ、画面が突然暗転してしまう。その後、「ってね!冗談よ!」と復旧するが、唐突な暗転はプレイヤーに「何が起こったのか!?」とデータ破壊を心配させる不安と恐怖を与えてくる。
(i)画面が突然暗転し、画面が「闇」一色に染まっているので「直接的」。
(ii)暗転が嘘に対するペナルティーとして用いられている。即ち、「闇」が良くないものとして使われているから「否定的」。
(iii)「暗転」は明らかに物語の中の現象ではなくプレイヤーに対してのメタ的な嫌がらせなので「不自然」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V39.闇術ダークネス
闇術ダークネスを使用すると地相属性に「闇」が追加されるとともに、画面が1段階暗くなる。ダークネスの重複使用により最大で第3段階まで暗くなる。
(i)ダークネスを使用することで画面が1段階「闇」に包まれるので「直接的」。
(ii)画面が暗くなることはプレイヤーの視認性を悪くするのでペナルティーのように思えるかもしれないが、あくまで術法効果による現象として暗くなっているだけであり、この事柄に関わって「闇」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V40.魔の島
「魔の島の秘宝」において、オービルにいる老人が「魔の島へ連れて行ってくれー」と懇願するのに対して、「魔の島なんて冗談じゃない」or「一緒に行くよ」を選択できる。「一緒に行く」を選択した場合には船に乗った状態で魔の島に移動する。魔の島は暗い闇に包まれており、他のフィールドとは異なる特殊な場所である。重厚なBGMも魔の島の雰囲気をよりおどろおどろしいものにしている。
(i)島全体が「闇」に包まれた状態なので「直接的」。
(ii)暗い陰鬱な状況から「魔の島」と呼ばれている。即ち、「闇」の状況を「魔」という良くないものと見なしているから「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V41.ディアナによる突き落とし
「イスマス」崩壊において、イスマスがモンスター軍団に襲撃された際にアルベルトとディアナがイスマスから脱出しようとするとドラゴン系シンボルに囲まれる。それに対し、「死ぬまで戦う」or「ディアナを逃がす」or「自分だけ逃げる」を選択でき、「死ぬまで戦う」もしくは「ディアナを逃がす」を選択した場合にはアルベルトがディアナに崖から突き落とされることになる。なお、「自分だけ逃げる」を選んだ場合も崖から飛び降りたと思われるが、そのシーンは表示されない。
(i)ディアナに押されてアルベルトが崖下に「落下」していくシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この事柄に関わって「落下」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V42.ローバーンの落とし穴
「ジャン救出作戦」において、ジャンを救出するためにローバーン城に侵入し、牢屋の抜け道を見つけて「この壁は通れる!ジャン!」と声をかけた次の瞬間、ジャンが「来るな!罠だー!」と叫ぶものの、味方パーティーは落とし穴に引っかかってローバーンの地下洞窟に真っ逆さまに落ちてしまう。落とし穴は牢屋の中にあったため、ジャンもそこからダイブすることになる。
(i)主人公が突如空いた穴から真下に「落下」していくシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ジャンが落とし穴に対して「罠」(陥れるもの)と称しているように落とし穴は良くないものとして見なされているが、落とし穴は「落ちる穴とその先の危険物」を意味するのであって「落下」そのものを意味するのではない。従って、この事柄に関わって「落下」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V43.オウルの死
「オウルとの死別」において、主人公がクローディアもしくはクローディアを仲間にした状態で迷いの森にいるオウルに話しかけると「わしはもう死ぬ」とクローディアに語り始める。そして、主人公はオウルの最期を看取ることになる。オウルの最後の言葉は「喋りすぎたわ・・・」であった。
(i)主人公の目の前でオウルが息を引き取り、消滅するシーンが表示される、即ち「死亡」シーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この事柄に関わって「死」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V44.冥府の幽霊
トマエ火山から侵入できる冥府。その入り口には半透明の人たち・・・幽霊が無言で彷徨っている。中には見知った人の姿を見ることができ、その人の「死」を実感させられる。
(i)「死亡」した人が半透明で彷徨っている姿は、その人が「死亡」していることを表示していると言えるから「直接的」。
(ii)この事柄に関わって「死」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)ほとんどの幽霊についてはプレイヤーの意思決定が関わらないが、一部の幽霊(アフマド、ハルーン、ガラハド)の出現については主人公の意思決定が関わるがので「ほぼ背景的だが一部主題的」。

V45.人骨描写
骸骨系は人骨である。そして、骸骨系モンスターのうちの11種は人骨をようである。また。死の神デス戦闘時の姿も人骨のようである。人骨は人間が死亡した後に残るものであり、人間の「死」をダイレクトに想起させる存在である。
(i)人間の「死」を想起させる人骨が表示されているから「直接的」。
(ii)この事柄に関わって「死」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
系統シンボル | モンスターの姿 |
![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |
![]() |
V46.ラストダンジョン
「決戦!サルーイン」においてロマ1の最終目的地として必ず訪れることになるラストダンジョンは、侵入すると辺り一面ウネウネグッチャグチャの異質な空間であることに驚かされる。人によっては嫌悪感さえ生じるだろう。それはラストダンジョンの材質がピンク色(人肉色)で蠢いているが故に、それが内臓や生皮を剥がれた剥き出しの肉といった生物由来のものに見えるからであり、そういったものが露出した状態は通常の状態ではなく、その生物の「死」や「死」に近い状態を想起させられるからである。
(i)ラストダンジョン全般の材質として「死」を想起させるウネウネグッチャグチャが表示されているから「直接的」。
(ii)この事柄に関わって「死」に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

V47.状態異常「死亡」
通常範疇では目にすることは無いが、バグ技等を使うことによって状態異常「死亡」を発現させることができる。状態異常「死亡」になると「しぼう」という文字が表示されて戦闘不能になる。
(i)「死」を意味する「しぼう」という文字が表示されて戦闘不能になるシーンが表示されているから「直接的」。
(ii)状態異常「死亡」は持続異常であり、戦闘が終了しても回復しない。即ち、「死」は他の状態異常よりも負担の大きなもの(よりペナルティーの大きいもの、より良くないもの)として設定されているから「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■対戦格闘・ケンカ描写
V48.戦闘シーン
ロマ1はゲームジャンルとしてはRPGで、立ちふさがる敵(モンスターだけでなく人間も含む)との戦闘シーンがあり、その戦闘では味方側と敵側で攻撃し合う。
(i)アウトは行為の実演:戦闘シーンでは味方側と敵側の攻撃し合うシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)アウトは行為の肯定:ゲームの構造として、戦闘に勝利して味方側を強化していく必要があるので「肯定的」
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)戦闘がゲームの構造に組み込まれていて、プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
なお、モンスターの襲撃(ウエストエンド、タルミッタ、ゴールドマイン、メルビル、ジェルトン)や「ジャン救出作戦」におけるローバーンでの不意打ちといった殺害は伴わないが戦闘が伴うような暴動・暴行はこの上記の「戦闘シーン」の事柄に含めるものとする。
<反社会的行為表現系>
「反社会的行為表現系」全般の観点(i)については、アウトは行為の行われている(行われ続けている)シーンとし、それが描かれていたら「直接的」、そうではないならば「間接的」とする。
また、観点(ii)のアウトは行為の推奨とする。
■犯罪描写
A1.子ども誘拐
「開拓村の誘拐事件」において、北の開拓村の子どもがモンスター一派に誘拐されて洞窟に連れ去られる。主犯は「半魚人」で、大事典によると誘拐の目的は「人間への威嚇」らしい。洞窟でボスの半魚人を倒し、子どもと話すことで解決することができる。放置した場合には自然に解決することはない。
(i)子どもが誘拐されて洞窟に監禁されているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)子どもの母親から依頼を受けると善行値が1増加する。即ち、攫われた子どもを助けようとすることは良いことであり、逆に攫うということは根本的に良くないことになるであろうから「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A2.生物兵器の使用
「ヴァンパイア復活」において、人間がヴァンパイアに血を吸われることで、ヴァンパイアウイルスに感染し、自我を失ったヴァンパイアの僕へと変貌してしまう。ヴァンパイアの僕はモンスターと同様に人間を見つけると襲い掛かってくる。ヴァンパイアを討伐することでウイルスが消滅して、ヴァンパイアの僕になっていた人間は自我を取り戻す。放置した場合には自然にヴァンパイアの僕化が回復することはない。
(i)ヴァンパイアウイルスに感染した人間「ヴァンパイアの僕」が表示されるので「直接的」。
(ii)聖杯を持った状態でヴァンパイアを討伐すると善行値が1増加するが、聖杯を持っていない状態でヴァンパイアを倒しても善行値は増加しない。即ち、ヴァンパイアを倒すことそのものが良いことと見なされているわけではない。よって、この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A3.盗賊行為
ジャミルが主人公の場合、開始時に即効で家宅侵入&窃盗を行う。その際のジャミルの台詞は「いいかダウド、持っていけるものは、ぜーんぶいただいていくんだ!」である。そして、その盗賊行為で手に入れた綺麗な腕輪をファラにせがまれた際には「ファラにやるよ」or「命懸けで盗んだんだ。渡せるか!」を選択することになる。なお、エスタミル下水道には盗賊ギルドという組織があるが、そのメンバーが盗賊行為をしているシーンはゲーム内では描かれていない。
(i)ジャミルとダウトの窃盗シーンが表示されているので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A4.強盗行為
南エスタミルには強盗たちが何食わぬ顔で歩いている。接触しようものなら「へへへっ、金をおいてけよ!ケガしないで済むぜ。」と恐喝をしてきて、それに対して「はい、置いていきます。」or「ざけんじゃねえよ。」を選択できる。「置いていきます」を選択した場合には金を奪われ、再接触すると再度恐喝される。「ふざけんじゃねえよ。」を選択した場合には戦闘になり、勝利すれば撃退できる。強盗たちは戦闘回数448回の時間経過でいなくなる。
(i)強盗たちによる恐喝シーン及び戦闘シーンが表示されているので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A5.乞食行為
南エスタミルには物乞い少年たちが走り回っている。うっかり接触しようものなら「なー、恵んでくれよー。ちょっとでいいからさー。」と物乞いをしてくる。それに対して「うるさいなー、少し恵んでおっぱらおう。」or「可哀想に、お腹いっぱい食べさせよう」or「やなこった!」を選択でき、優しさを見せると慈善値が1増加し、拒否すると「バカヤロー!」と罵声を浴びせながら走り去っていく。物乞い少年たちは「ヴァンパイア復活」を解決することで姿を見せなくなる。なお、乞食行為は現在の日本では軽犯罪に該当する。
(i)物乞い少年たちによる物乞い(乞食行為)シーンが表示されているので「直接的」。
(ii)施しをすることに慈善値が関わるものの、乞食行為に対して特に言及されているわけではないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A6.借金の肩代わり拉致
「ハーレム潜入」において、ファラがファラの家の借金の肩代わりとして奴隷商人に連れ去られてしまう。ファラの母親はジャミルに助けを求めることしかできなかった。
(i)奴隷商人に連れ去られたファラはその後ハーレムに横流しされる。従って、奴隷商人絡みのシーンは表示されないから「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A7.隣国からの拉致
「ハーレム潜入」において、女主人公が1人で冒険しているときにガレサステップをうろついているガードに敗北すると奴隷商人のアジトに連行され、その後ハーレムに送られる。ガードはクジャラートからローザリアの息のかかったガレサステップにまで拉致をしていることになるので、国際問題に発展しうる犯罪である。
(i)ガードに襲撃され、奴隷商人のアジトに送られたシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A8.水竜用生贄娘の誘拐1
「水竜の棲む湖」において、アフマドが「実はわしの可愛い娘が攫われたのだ。」と狼狽している。その娘はアフマドに政権争いで敗れたハルーンが攫っており、自身の返り咲きを実現するために娘を水竜への生贄にしようとしている。
(i)攫われた娘が水竜の神殿の祭壇に捧げられているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A9.水竜用生贄娘の誘拐2
「水竜の棲む湖」において、北エスタミルの町外れに若い娘が胡散臭い連中に絡まれている。話しかけると「人攫い」との戦闘になり、戦闘に勝利すれば拉致は未然に塞がれることになる。放置した場合には時間経過により人攫いと娘の姿は消えてしまうので、おそらく攫われてしまったのだと思われる。人攫いたちは「クジャラート万歳!」でタルミッタ訛りなのいで、おそらくハルーン一派の末端で、水竜への生贄の補充のために娘を攫おうとしていたのだと思われる。
(i)娘が人攫いに絡まれているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A10.受領事実の隠蔽
「水竜の棲む湖」において、予め雨雲の腕輪を持っている状態で水竜と「アディリスから雨雲の腕輪を取り戻してきたら生贄娘を返してもらえる」という約束をすると、その帰りに水竜に雨雲の腕輪を回収されるが、生贄娘に話しかけると再度雨雲の腕輪を取り戻してくれるように言われて生贄娘を返してもらえないという状況が起こる。10秒前の事実も無かったことにする水竜のやり方は汚いと思う。
(i)水竜が雨雲の腕輪を受け取っておきながら無かったことにするシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A11.墓荒らし
エスタミル下水道にあるカタコームにおいて、墓標を調べると「堕落した死者」との戦闘になり、それを駆除することで慈善値が1増加する。なお、墓荒らしは現在の日本では墳墓発掘罪と礼拝所不敬罪に抵触する。ただ、墓荒らしではなく墓掃除という見方もできなくはないが、他所様の墓を勝手に暴くのはやはり問題であろう。
(i)お墓に住んでいる「堕落した死者」さんの眠りを妨げるシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)お墓に住んでいる「堕落した死者」さんを退治することで慈善値が加算されるので「肯定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)墓標をクリックすることはプレイヤーの意思によるものであるが、その際に荒らすかどうかにはプレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A12.墓泥棒
エスタミル下水道にあるカタコームにおいて、慈善値が10以上の場合に墓標を調べると聖杯を発見する。その際、悪行値が0ならば主人公は「このまま持って行っては、ただの墓泥棒になってしまう・・・。」と葛藤を語るものの、アグネスから許可が出るので墓泥棒ではなくなる。しかし、悪行値が1以上の場合は何も気にしないで聖杯を持ち逃げして墓泥棒になる。
(i)悪行値が1以上の場合は何も気にせず聖杯を持ち逃げするシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)悪行値がある場合には持ち逃げを気にしないということは、持ち逃げするような行為は悪であることを意味するから「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーのこれまでの意思決定は関わるが、本件についての意思決定は関わらないので「背景的」。

A13.ナイトハルトの脅迫
「ナイトハルト登場」において、タラール族長ニザムの孫娘アイシャと共にタラール村に訪れたローザリア王国皇太子ナイトハルトはニザムと面会すると「タラール族はローザリアの保護下に入れ。」と迫る。それをやんわりと拒否するニザムに対してナイトハルトは「カヤキスの名に相応しい行動をとる。」と凄む。それにより、ニザムはナイトハルトの要求を飲むことになる。これはナイトハルトからニザムへの脅迫に他ならず、脅迫は現在の日本では脅迫罪として罪に問われる行為である。
(i)ナイトハルトがニザムに対して脅しとも取れる台詞を言った結果、ニザムが要求を受け入れるシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A14.アクアマリン横領
「アクアマリン捜索」において、ナイトハルトからクリスタルレイクに隠された「水」のデステニィストーンである「アクアマリン」を持ってくるように依頼される。無事に持ち帰ればナイトハルトから感謝されるが、ナイトハルトに渡さずに持ち逃げすることもできる。この依頼は仲間にアルベルトがいる場合に受けられるものであり、主君ナイトハルトから配下アルベルトに出された命令と見なすことができる。従って、アクアマリンを持ち逃げすることは主君への背信行為であり、業務上横領に該当する。
(i)アクアマリンを入手して持ち逃げする場合は、渡さないシーンが表示され続けていることになるので「直接的」。
(ii)アクアマリンをナイトハルトに渡すことで善行値が1増加するが、渡さなかったからといって悪行値・善行値が変動することはないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

A15.非倫理的な人体実験
「魔の島の秘宝」において、魔の島の塔の最上階に住まうウェイ=クビンに話しかけると「わしはこの100年あまり不老不死の術を研究しておる。50年前、ついにその術を見つけたのだ!そして、あの船の連中に術を施したのだ。それ依頼、その者たちは歳もとらず死にもせず、ただ眠ったまま・・・・。失敗だ!」とぼやく。どうやら50年前に魔の島周辺を航海していた船を捕まえて、その船に乗っていた人たちを人体実験の材料にしたようである。ウェイ=クビンの部屋には人体実験の犠牲者たちが50年前と変わらぬ姿で今も眠り続けているのであった。
(i)人体実験の犠牲になった人たちが横たわっているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A16.コンスタンツ誘拐
「コンスタンツ誘拐」において、ミルザブール城主テオドールの娘コンスタンツがモンスター一派に誘拐され、身代金として「火」のデステニィストーンである「ルビー」を要求してくる。主犯は「オアンネス」で大事典によると「邪神復活計画に加わり、人間社会を混乱に陥れている隙にデステニィストーンを手に入れようとしている」らしい。「コンスタンツ」の洞窟でオアンネスを倒し、コンスタンツと話すことで誘拐事件は解決する。この事件を放置した場合、時間経過でコンスタツは救出(もしくは解放)される。
(i)「コンスタンツ」の洞窟においてコンスタンツが監禁されているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)コンスタンツを救出するためにオアンネスを倒すことで善行値が1増加する。即ち、誘拐は良くないことと見なされているので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A17.テオドール監禁
「テオドール豹変」において、偽テオドールがバイゼルハイムに攻め入る一方で、本物のテオドールは「テオドール」の洞窟に監禁され、騎士団領侵略の首謀者レッドドラゴン(L)に監視されている。レッドドラゴン(L)を倒してテオドールと話すことで救出できる。放置しても時間経過によってこの事件は解決しない。
(i)「テオドール」の洞窟においてテオドールが監禁されているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

他、「ジャン救出作戦」においてジャンがローバーンに監禁されるが、これはジャンが任務失敗しただけの自業自得であり、ローバーン側としては侵入者を捕まえるのは当然のことなので不問とする。
A18.ヘイトの恐喝
「凍りついた城」において、赤魔法使いが仲間にいる場合にはオブシダンソードを手にしようと瞬間に、赤魔法使いが仲間にいない場合にはオブシダンソードを入手して立ち去ろうとした時に、赤魔法使い(ヘイト)がオブシダンソードを渡すように迫ってくる。素直に渡せば主人公に危害を加えることなく去っていき、拒否すると戦闘になり、その戦闘で勝利すれば返り討ちにできるが、敗北もしくは逃走するとオブシダンソードを奪われ、命だけは見逃してもらえる。
(i)ヘイトの恐喝シーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)ヘイトの恐喝行為にはプレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A19.金庫強盗
「ゴールドマイン襲撃1」において、モンスター一派がゴールドマインを襲撃し、金庫から金塊を持ち去ってしまった。主人公がモンスターを追い払うと、駆け付けたバファル帝国財務大臣のパトリックは「モンスターが何のために金を・・・?」と怪訝に思うのだった。
(i)モンスターによる強盗シーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A20.金塊泥棒
「パトリック失脚計画」において、主人公はエスタミル下水道で金塊を運搬中の怪しい連中に遭遇する。主人公が泥棒であることを指摘すると「何だ、おまえは?ケガしたくなかったら、あっち行ってろ!おい、てめえらはさっさと片付けちまえ!」と金塊運搬を急かす。それに対して、「ケガしたくないし、ほっとこう。」or「泥棒をほっとけるか!」を選択でき、放っておけない場合は「盗賊」との戦闘になり、勝利すれば盗賊たちは金塊を置いていなくなる。パトリックによると、その金塊はゴールドマインの金庫から盗まれた金塊だったようである。
(i)強盗がゴールドマインから盗まれた金塊を運搬しているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A21.金塊横領
「パトリック失脚計画」において、エスタミル下水道で金塊を運搬している盗賊たちを撃退すると、盗賊たちは金塊を置いていなくなる。その際、その金塊に対して「返してあげよう。」or「貰っちまおうぜ。」を選択できる。「返す」を選択した場合はパトリックの家に忍び込むことになるが、「貰う」を選択した場合にはそのまま持ち去るので主人公が金塊泥棒になる。
(i)「貰う」を選択した場合には主人公が金塊を持ち逃げするシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)「貰う」を選択した場合に悪行値が1増加して、悪行値が1以上でガラハドから、10以上でハオラーンから「悪人」呼ばわりされるようになるので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

A22.証拠隠滅の仕方
「パトリック失脚計画」において、エスタミル下水道の金塊を返した場合、パトリックがコルネリオから金塊横領の疑いで詰問されている場面に移る。その際、パトリックは「だから、これは陰謀だと言っとろうが。もし私がやったのなら金などさっさと別のものに鋳つぶして証拠を消しておるわい。」という台詞を述べる。この台詞は「金塊を盗んだ場合には速やかに鋳造して別のものしたほうが良い」という証拠隠滅の方法が提示されていると見ることができる。
(i)台詞では示されるものの実際の鋳造シーンは表示されていないので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A23.サル用生贄娘の誘拐
「サルーイン秘密神殿」において、パブに「娘を探して!」と貼り紙をしている宿屋コロンボに詳しい話を聞くと、「帰りが遅いので。いつもの夜遊びだろうとほおっておいたのですが、いつまで経っても帰ってこないんです。出来の悪い娘ですが一人娘なんです。探し出してください!」と懇願してくる。その娘はメルビル地下水道にあるサルーイン教団の秘密神殿で生贄として捧げられているので、サルーイン教団に拉致されたようである。生贄の儀式を阻止することで宿屋の親父からお礼を言われるので無事に娘を救出できたようである。なお、言葉としては「ほおっておいた」ではなく「ほうっておいた(放っておいた)」が正しい。
(i)サルーイン教団によって娘が生贄として捧げられているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)娘を救出することで宿屋コロンボにお礼を言われる。即ち、誘拐は良くないこととされているので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A24.モニカによるゲームオーバー
「ジャン救出作戦」において、ローバーンの小屋にいるモニカに正しい合言葉を伝えると、誰に言われて来たのかを訊ねられる。その問いに対して正しく答えなかった場合、「私、ウソつきって大嫌いなの!あなたの今までの努力を全て無駄にしてあげるわ。」と言われ、画面が突然暗転してしまうが、「ってね!冗談よ!でも、もう一度やったら本当にやるわよ」と言われて復旧する。その後、もう一度と同じ過ちを繰り返すと「二度目は許さないって言ったのに!バカ!!」と罵られてゲームオーバーになる。戦闘でゲームオーバーになっても死亡ではなく気絶・戦闘不能なので、モニカに何かしらをやられて気絶・戦闘不能にさせられたと思われる。なお、移動時にゲームオーバーにしてくるのはモニカだけである。
(i)モニカにゲームオーバーにさせられるシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)不誠実な態度に対する制裁なので不誠実な態度は良くないこととされているが、この制裁方法に対しては特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A25.力づくで開ける
「ブッチャー党上陸」において、メルビル下水道にある海賊のアジトの入り口に行くと鍵のかかった扉の奥から陽気な歌声が聞こえてくる。それに対して、「ほっとく」or「力ずくで開ける」を選択することができる。海賊たちは国家転覆を狙っていたので結果として「力ずくで開ける」行為はそれを未然に防ぐことに繋がるのであるが、「力づくで開ける」以前にそれを知る術は無いので、「力づくで開ける」段階では大義名分の無い不法侵入になってしまう。
(i)主人公が閉まっている扉を無理やり開けて中に侵入するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)警備隊に海賊のことを報告すると対策をしてくれるが、この行為に対しては特に言及されないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

A26.トカゲ誘拐
「ゲッコ族解放」において、ブッチャー一派が金儲けのためにアロン島のジャングルに棲むゲッコ族を拉致してきて、ウェイプの武器屋に監禁している。武器屋に乗り込んで海賊たちを撃退することで拉致されたゲッコ族たちを救出することができる。放置しておいても時間経過で終了しない。
(i)拉致されたゲッコ族が解放されて逃げていくシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ゲッコ族を救出するために武器屋に乗り込むと善行値が1増加する。即ち、ゲッコ族を誘拐することは良くないこととされているので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A27.海賊行為(金品強奪)
「海賊稼業」において、サンゴ海の海賊たちはサンゴ海を航海するバファル帝国の商船や軍艦を襲って金品の強奪をしている。場合によっては乗船員を殺めることもある。
(i)主人公がホークの場合、海賊ホークが商船を襲撃するシーンが表示されうるので「直接的」。
(ii)商船員を殺めるのは問題ありだが、金品を奪うだけならば善行値・悪行値は変動しないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)商船員の命についてはプレイヤーの意思決定が関わるが、金品強奪についてはプレイヤーの意思決定が関わらない(奪わないと商船から出られない)ので「背景的」。

A28.卵の密猟
リガウ島の草原には恐竜(トリケラトプス)が生息している。その卵は高値(5000金で売却できる)で取引きされるため、密猟者に狙われている。大事典によると、トリケラトプスは古代神時代からの生き残りで、他の種類の恐竜は邪神封印戦争で絶滅してしまったが、トリケラトプスだけはエリスの加護で生き延びることができたらしい。エリスに愛されたトリケラトプスを狙うのはよろしくないでしょう。
(i)主人公が卵を密猟するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)ジェルトンのパブで「恐竜の卵は高く売れるんだぜ。」という台詞を聞くことができるが、この台詞は卵の取引きに関する金銭的事実であって卵の密猟を推奨しているわけではないし、この行為によって善行値・悪行値が変動するわけではないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)卵をクリックすることはプレイヤーの意思によるものであるが、その際に入手するかどうかにはプレイヤーの意思決定は関わらないので「背景的」。

A29.無理やり通る
「トマエ火山の迷宮」において、トマエ火山にはフレイムタイラントがいる最奥までの近道があるが、そこにはフレイムタイラントの部下がいて「ここはフレイムタイラント様の所へ行く近道。許しの無いものは通さん!」と立ちふさがる。それに対し、「仕方がない。遠回りする。」or「ふざけるな。無理やり通るぞ。」を選択でき、「無理やり通る」を選択した場合には「ケルベロス」と戦闘になり、勝利すれば近道を通れる。何も悪いことをしていない番人さんを殺めて無理やり通るのはよろしくないでしょう。
(i)主人公がケルベロスを倒して近道を通るシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為によって善行値・悪行値が変動するわけではないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定によってなされるので「主題的」。

A30.街中での技の使用
多くのプレイヤーはご存じないかもしれないが、大事典には「パイレーツコーストを除いた全ての都市では、一般市民が必殺技を使用する事を法律で禁じている。」「世界を旅する冒険者も必殺技取締の対象だが、彼らにもルールがあり、街中で猛威を振るった者は以後誰にも助けてもらえないという。」という記述がある。一部の街ではモンスター襲撃時ではなくても戦闘が起こりえるので、その際に必殺技を使ってしまうと法律違反になってしまう。
(i)街中で主人公一派が必殺技を使用するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)仮に使用したとしても、その後助けてもらえないということもなく、特に何かあるわけではないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)技の使用はプレイヤーの意思決定によってなされるが、このルールがプレイヤーに周知されているわけではないので「主題的だが実質背景的」。
A31.売却金額詐欺
アイテムの売却金額は購入金額の半額であるがmod65536処理が影響するため、例えば、購入金額30000金のアイテムを3個売却した場合には30000金*3/2=45000金で売却できるのではなく、30000金*3 (mod65536)/2=24464金/2=12232金での売却となってしまう。即ち、売却側は45000金-12232金=32768金も損したことになり、買い取った店側は大儲けしたことになるのである。
(i)お店で売却する際にそのやりとり(詐欺)のシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
A32.ステータスの説明偽装
説明書にはステータスの「愛」と「魅力」の効果について、「愛・・・回復系術法をかけた時の成功率と回復率が高くなります。」、「魅力・・・回復系術法を受けた時の成功率と回復率が高くなります。」と記載されているが、実際にはそのような効果は無い。その影響について調査されるまでは、プレイヤーの誰もがその説明を妄信していた。
(i)回復術法が使用される度に偽装されていたシーンが表示されるが、ゲーム内では説明されず説明書等の偽装なので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
A33.状態異常の説明偽装
説明書には状態異常の「呪い」の効果について、「体の力が抜けていき、ふらふらになってしまう。攻撃力、防御力がダウン。」、実際にはそのような効果は無い。
(i)呪いの眼によって「呪い」になる度に偽装されていたシーンが表示されるが、ゲーム内では説明されず説明書等の偽装なので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

なお、説明偽装というとデステニィストーンの効果を想起する方もいるかもしれないが、「運命石論2」で述べたようにデステニィストーンにはもともと耐性効果があったが経年劣化で効果が失われてしまっているだけだと思われるので、説明偽装には該当しないものとする。
A34.キラー系の技名偽装
キラー系の技、即ち竜に強そうな「竜破剣」、魔に対して強そうな「撃魔斬」、鳥に対して強そうな「鳥殺弓」は確かに種族属性が設定されているが、算出式の影響で実際にはその種族に対して1ダメージしか与えられない。完全な技名詐欺である。
(i)戦闘においてそれらの技を使用する場合に、技名と1ダメージの表示がなされるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A35.道具効果の説明偽装
万能薬を購入する際に店員さんは「万能薬は石化以外の全ての状態を回復させます。」と説明してくれるが、実際には万能薬で治療できる状態異常は幻、瞑想、逃げた!!、マリオネット、気絶、石化、死亡という特殊なものばかりである。即ち、石化はダメという点と、石化以外は全てOKという2点での詐称である。
(i)店員さんの説明が表示され、かつその効果が無いシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A36.術法効果の説明偽装1
術法屋さんは風術「ウインドバリア」について「この術法は風のバリアで敵の攻撃をかわします。」、気術「夢想法」について「この術法は敵の攻撃を読んでかわします。」と説明してくれるが、実際には回避力アップのような効果はなく、術法を受けたものの命中率や状態異常成功率が減少してしまう。(発見者:RPG INSTITUTEのスルメさん)
(i)術法屋さんの説明が表示され、かつその効果が無いシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A37.術法効果の説明偽装2
術法屋さんは土術「カモフラージュ」について「この術法は自分が敵の目標になりにくくなります。」、光術「インビジ」について「この術法は味方一体を透明にして敵の攻撃をかわします。」と説明してくれるが、実際にはそのような効果は無く、敵が防御をしやすくなる効果が確認されている。(調査協力:cokEtoriさん)
(i)術法屋さんの説明が表示され、かつその効果が無いシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A38.術法効果の説明偽装3
術法屋さんは土術「アースハンド」について「この術法は全ての敵の素早さを下げます。」と説明してくれるが、実際には減少するステータスが設定されていないため何も効果が無い。なお、同種の油地獄は減少するステータスとして器用さと素早さが設定されているので減少効果がある。
(i)術法屋さんの説明が表示され、かつその効果が無いシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A39.術法効果の表示偽装
戦闘中に気術「腕力法」を使用すると「わんりょく」と表示されて腕力が上昇するが、気術「精神法」を使用すると「たいりょく」と表示されて精神が上昇する。即ち、「たいりょく」の表示は偽装である。
(i)「たいりょく」が表示され、実際には精神が上昇しているシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)「たいりょく」の表示はゲーム内のキャラクターが視認するものではなく、プレイヤーに対する偽装なので「不自然」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■麻薬等薬物
A40.魔の素
魔の素は魔の法力を回復される効果があり、お店で普通に売られている。しかしながら、大事典には魔の素について「他の術法の素が精神安定を導くものであるのに対して嘔吐感を催させる異臭と、強烈な苦みが特徴である。魔の術法を使わない者には健康を害する毒物となる。」と説明されているように、危険な毒物になりうる。
(i)お店で売られているシーン及び、主人公パーティーがそれを使用するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

なお、大事典によると、マルディアスには食肉植物ベラドンナを主成分とする麻薬「シェリル」が出回っているらしい。しかしながら、ゲーム内では登場しないし、一切言及されていないので本稿では項目としてピックアップしない。
■虐待
A41.ナタリーの労働
バーバラのオープニングでは「バーバラとその一向も、この道を旅しては商売をしたり、芸を披露したりして暮らしている。踊り娘で占い師のバーバラ、会計係のエルマン、歌い手のナタリー」とナレーションがある。歌い手のナタリーはおそらく16歳のアイシャよりも年齢が若いので、年齢によっては現在の日本の労働基準法からすると法律違反になる恐れがある。
(i)ナタリーが歌い手であるという説明とナタリーが一緒に旅をしているシーンは表示されるが、実際に歌っているシーンは表示されないので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A42.アイシャ独りぼっち
「タラール族失踪」において、アイシャがタラール村に帰郷するとタラール村の住民がいなくなっている。アイシャが主人公の場合は冷静に状況を把握しようとするが、アイシャが仲間の場合は「テーイ、ナサイタ!イニイテイナ、サアト、コエタイ・・・コエタイ。」と取り乱した姿を見ることになる。16歳のアイシャを放置していなくなるのは現在の日本では保護責任者遺棄罪に問われかねない。
(i)アイシャが誰もいないタラール村で悲しむシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

また、16歳のアイシャを仲間にして世界を連れまわすのは現在の日本では未成年者誘拐罪に該当しかねないが、本稿では「保護」に該当するものとして項目にはピックアップしない。
A43.ノルマがきつくって
ゴールドマインの金坑で働いている坑夫たちは一様に「ノルマがきつくって。」とボヤいている。皆がぼやくということは実際にキツいノルマが課されていると思われるが、度が過ぎるならば労働者への虐待と見なせるだろう。
(i)金坑夫が働いているシーンは表示されるが、ノルマを課されているシーンや叱責されているシーン等のノルマを気に病む原因になるようなシーンは表示されず、ノルマについては金坑夫の台詞でしか触れられていないので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

■自殺・自傷
A44.我が身を捧げる
「決戦!サルーイン」において、ラストダンジョン最下層で主人公の前に立ちはだかるミニオン*3を撃退すると、「こうなったらサルーイン様に吸収され、少しでもサルーイン様にエネルギーを与えるのだー。」と言い残して邪神のもとへ去っていく。その後、サルーインのところに行ってもミニオン*3はいないので、おそらく本当に吸収されたのだと思われる。
(i)「吸収される」という台詞は表示されるものの、「吸収される」シーンは表示されないので「間接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A45.自傷・自爆
戦闘において状態異常「誘惑」、「憑依」になると自分で自分を攻撃しうる。また、術法誤射(術法反射・術法自爆)が発生することで、敵が自分で自分を攻撃するということも起こりえる。
(i)戦闘において自分で自分を攻撃するシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この行為に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。
■人身売買等
A46.奴隷売買
「ハーレム潜入」において、南エスタミルでは奴隷商人が「奴隷の売り買いは儲かるよ!どうだ、いいのを紹介しないか?」と表立って営業をしている。上玉な女性はアフマドのハーレムに売り飛ばされるようである。放置した場合は時間経過で営業を終了してしまう。
(i)奴隷商人のアジトにおいて商品として捕まっている奴隷たちが表示されるので「直接的」。
(ii)イベント解決後には南エスタミルの男が「奴隷商人も商売替えをしたそうだ。悪いことは長続きしないよね。」と教訓めいた台詞を話すようになる。この台詞では奴隷商人を明確に「悪」だと述べているので「否定的」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

A47.トカゲ売買
「ゲッコ族解放」において、ウェイプの武器屋は表向きは武器屋であるが、裏ではブッチャー一派と繋がっていてトカゲ売買に関与しているらしい。そのことに言及しているのはホークの「てめえら、ブッチャーの手下だな。トカゲを売って儲けようとは奴の考えそうなことだぜ!」という台詞のみ。武器屋に乗り込んで海賊たちを撃退することで、ウェイプの武器屋の店主が変わってトカゲ売買も終了する。放置しておいても時間経過で終了しない。
(i)ホークはトカゲ売買について言及しているが、実際にトカゲ売買をしているシーンは表示されないので「間接的」。
(ii)トカゲ救出は善行値に関わるが、トカゲ売買自体には言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

<言語・思想関連表現系>
■言語に関する不適切な描写
観点(i)のアウトは表現の使用とする。従って、ピックアップするものは全て「直接的」となる。
また、観点(ii)のアウトは表現の使用の推奨とする。
W1.大女
パブにいるシフに話しかけると「バルハラントから来たシフっていうんだ。よろしくな。この辺りには信頼して力を貸せる骨のある戦士はいないみたいだねー。」と言う。それに対し、「てめえが強すぎるんだよ。大女め!」or「目の前にいるぞ!」を選択できる。・・・「大女(おおおんな)」・・・文字通り「体格が大きな女性」のこと。こびとを「小人」と書くとNGのような禁止表現ではないものの、見知らぬ女性に対して唐突に「大女」呼ばわりするのは流石に蔑称と受け取られかねないように思う。
(i)シフに対して「大女」呼ばわりするシーンが表示されるので「直接的」。
(ii)この表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

なお、仲間加入時の蔑称と言うとホークに対する「カッパ」呼ばわりもあるが、この表現の発端はホーク自身による「陸に上がったカッパみたいなもんさ!」という自虐発現によるものなので不問とする。
W2.目潰しの矢
弓と大弓で使用可能な技「目潰しの矢」はWSC版では「暗闇の矢」に名称変更されているので「目潰し」という表現がNGであったということであろう。「目潰し」という表現は格闘技の禁止事項では普通に使われるので決して禁止表現ではない。しかしながら、「目潰しの矢」と表現した場合に、その名称から具体的な場面を想像すると残虐すぎるということだろうか?
(i)戦闘において技名として表示されるので「直接的」。
(ii)SFC版ではこの表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

W3.スレイブオーガ
鬼系モンスターの「スレイブオーガ」は、WSC版では「オーガバトラー」に名称変更されているので「スレイブ」(奴隷)という表現がNGであったということであろう。「スレイブ」(奴隷)は一般的な単語であるが、種族の名前に「スレイブ」を冠するのは問題ありということだろうか。それにしても、「スレイブ」を「バトラー」にしてしまうと、「労働を強いられていた奴隷」から「コロシアムで命を賭けて闘わされる剣闘士」になったようで、より過酷な環境になってしまっているように思う。
(i)戦闘において敵名として表示されるので「直接的」。
(ii)SFC版ではこの表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

W6.ゲルショッカー
水棲生物系の「ゲルショッカー」はWSC版では「ショッカージェリー」に名称変更されているので、「ゲルショッカー」という明らかに仮面ライダーの敵組織から流用した名称がNGだったということであろう。
(i)戦闘において敵名として表示されるので「直接的」。
(ii)SFC版ではこの表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

右図:ゲルショッカー首領(「仮面ライダー大図鑑」.1992年.講談社.p.35より)
■思想に関する不適切な描写
W5.アフマド
クジャラートの元首「アフマド」はWSC版では「ドマファ」に名称変更されている。「アフマド」という名称は現実世界の特定の文化圏で名付けられる名称を想起してしまうのでNGであったということであろう。
(i)関連イベントにおいて人物名として表示されるので「直接的」。
(ii)SFC版ではこの表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

W6.ハルーン
タルミッタの太守「ハルーン」はWSC版では「ルーハン」に名称変更されている。上記のアフマドと同様に、「ハルーン」という名称が現実世界の特定の文化圏で名付けられる名称を想起してしまうのでNGであったということであろう。
(i)関連イベントにおいて人物名として表示されるので「直接的」。
(ii)SFC版ではこの表現に対して特に言及されていないので「許容」。
(iii)物語の進行上、逸脱が無いので「自然的」。
(iv)プレイヤーの意思決定が関わらないので「背景的」。

4.特徴づけの結果一覧
「3.ロマ1のゲーム内における事柄の特徴づけ」の結果を以下に一覧として示す。
事柄 | 小区分 | 観点(i) | 観点(ii) | 観点(iii) | 観点(iv) |
S1.アイシャの入浴 | 裸体 | 間接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
S2.ミリアムのお誘い | 性的想起 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
S3.アフマドと娘 | 不倫 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
S4.ハーレム | 性風俗業 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V1.難破船の遺体 | 死体描写 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V2.ゾンビの類のモンスター | 死体描写 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V3.アフマドを殺害 | 殺傷 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V4.ハルーンの宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V5.ハルーンを殺害 | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V6.水竜の生贄 | 殺傷 | 間接的 | 肯定寄りの許容 | 自然的 | 背景的 |
V7.水竜殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V8.アサシンの宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V9.アサシンを返り討ち | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V10.ファラの母親の宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V11.ワイルの宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V12.邪神殺し宣言 | 殺傷 | この時点では 未遂 |
否定的 | 自然的 | 主題的 |
V13.イスマス大量虐殺 | 殺傷 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V14.ガラハドを殺害 | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V15.巨鳥殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V16.邪神殺し | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 主題的だが 実質背景的 |
V17.邪神の宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V18.ミノタウロスの宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V19.テオドールとフラーマの死 | 殺傷 | 間接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
V20.オブシダンソード強奪 | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V21.北の道具屋の変死 | 殺傷 | 間接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
V22.暗殺者の襲撃(現在) | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V23.サルーイン教団の生贄 | 殺傷 | 間接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
V24.サルーインの神官の宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V25.バファル皇帝呪殺計画 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V26.地竜殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V27.暗殺者の襲撃(過去) | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V28.ボス海賊の宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V29.ブッチャーの宣告(後期) | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V30.ストライフ&マックスの宣告 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V31.商船員を殺害 | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V32.皆殺しに賛成 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V33.ブッチャーの宣告(初期) | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V34.暴君殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V35.死神殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V36.仲間の命を差し出す | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V37.戦闘における殺傷 (味方側から敵側に対しての殺傷) |
殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 主題的だが 実質背景的 |
V38.モニカによるブラックアウト | 恐怖 | 直接的 | 否定的 | 不自然 | 背景的 |
V39.闇術ダークネス | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V40.魔の島 | 恐怖 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
V41.ディアナによる突き落とし | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V42.ローバーンの落とし穴 | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V43.オウルの死 | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V44.冥府の幽霊 | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | ほぼ背景的だが 一部主題的 |
V45.人骨描写 | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V46.ラストダンジョン | 恐怖 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
V47.状態異常「死亡」 | 恐怖 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
V48.戦闘シーン | ケンカ描写 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
A1.子ども誘拐 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A2.生物兵器の使用 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A3.盗賊行為 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A4.強盗行為 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A5.乞食行為 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A6.借金の肩代わり拉致 | 犯罪描写 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A7.隣国からの拉致 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A8.水竜用生贄娘の誘拐1 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A9.水竜用生贄娘の誘拐2 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A10.受領事実の隠蔽 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A11.墓荒らし | 犯罪描写 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
A12.墓泥棒 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A13.ナイトハルトの脅迫 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A14.アクアマリン横領 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
A15.非倫理的な人体実験 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A16.コンスタンツ誘拐 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A17.テオドール監禁 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A18.ヘイトの恐喝 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A19.金庫強盗 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A20.金塊泥棒 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A21.金塊横領 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
A22.証拠隠滅の仕方 | 犯罪描写 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A23.サル用生贄娘の誘拐 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A24.モニカによるゲームオーバー | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A25.力づくで開ける | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
A26.トカゲ誘拐 | 犯罪描写 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A27.海賊行為(金品強奪) | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A28.卵の密猟 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A29.無理やり通る | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
A30.街中での技の使用 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的だが 実質背景的 |
A31.売却金額詐欺 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A32.ステータスの説明偽装 | 犯罪描写 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A33.状態異常の説明偽装 | 犯罪描写 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A34.キラー系の技名偽装 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A35.道具効果の説明偽装 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A36.術法効果の説明偽装1 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A37.術法効果の説明偽装2 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A38.術法効果の説明偽装3 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A39.術法効果の表示偽装 | 犯罪描写 | 直接的 | 許容 | 不自然 | 背景的 |
A40.魔の素 | 麻薬等薬物 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A41.ナタリーの労働 | 虐待 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A42.アイシャ独りぼっち | 虐待 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A43.ノルマがきつくって | 虐待 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A44.我が身を捧げる | 自殺・自傷 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A45.自傷・自爆 | 自殺・自傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
A46.奴隷売買 | 人身売買等 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 背景的 |
A47.トカゲ売買 | 人身売買等 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W1.大女 | 不適切な言葉 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W2.目潰しの矢 | 不適切な言葉 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W3.スレイブオーガ | 不適切な言葉 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W4.ゲルショッカー | 不適切な言葉 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W5.アフマド | 思想関連 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
W6.ハルーン | 思想関連 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 背景的 |
5.特徴づけの結果をもとにして考える
(1)特徴づけの結果を視るための視点
3.及び4.で示したように、本稿ではCEROの表現種類の項目に該当する事柄として、
<性表現系>・・・4個
<暴力表現系>・・・48個
<反社会的行為表現系>・・・47個
<言語・思想関連表現系>・・・6個
合わせて105個の事柄をピックアップした。
これまでロマ1をプレイしてきて、ゲーム内容として当たり前のこととして受け入れていたのであるが、CERO視点で見ると思いの外多くの事柄が「ロマ1はヤバい」認定に繋がるものとしてピックアップされたことに驚いている。
しかしながら、肝心なことはさらなる精査である。
つまり、上記で挙げた事柄の全てが問題ありというわけではなく、CEROレートが設定されるに至った経緯を鑑みれば、「子どもが観た時にどう受け取るか、感じるか。」について検討する必要がある。
この点について、筆者の思い出話をさせていただくが、筆者は「バタリアン」という映画が好きである。
今はネタ映画として楽しく観ることができるのであるが、この映画を小学校低学年?くらいのときに金曜ロードショーで観た時には怖すぎて途中で逃げ出してしまった。
それだけでなく、「あのゾンビが海底を歩いてアメリカから日本に来たらどうしよう・・・」と布団の中で怯えながら本気で心配していたほどである。
ところが、当時の金曜ロードショーでの水野晴郎さんの解説を観てみると、「怖いのなんの、恐ろしい」と言いながらも「この映画はパロディーで、笑い転げてしまう」とまで言っているのである。
・・・この違いなのである。
即ち、3.及び4.で示した結果は、水野晴郎さんの解説と同じく大人視点のもの(ロマ1のシステムや物語の背景について造詣が深い視点からの評価)にすぎず、子どもはそのようには受け取らない、感じない(おそらく、もっとダイレクトに、表面的に、素直に受け取る、感じる)と思われるのである。
例えば、「S1.アイシャの入浴」を子どもはどのように観るのだろうか?
この描写は、子どもにとってはおそらく「ドラえもんにおいて、のび太がどこでもドアに入ったらしずかちゃんが入浴中で「のび太さんのエッチ!」、バシャ!!」のシーンと何ら変わらないであろう。
つまり、それを性的に観るわけではなく、「見ちゃダメ!!」を学ぶ教育的な場面として観るのだと思われるのである。
従って、子どもが観ても特に問題無いということになるだろう。
そこで、105個の事柄の中で「子どもにとって有害になりえるもの」をさらにピックアップすることにする。
(2)ロマ1における子どもにとって有害になりえる事柄
105個の事柄を見直してみて、子どもにとって特に有害になりえると思われるものをピックアップすると、
事柄 | 小区分 | 観点(i) | 観点(ii) | 観点(iii) | 観点(iv) |
V3.アフマドを殺害 | 殺傷 | 間接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V5.ハルーンを殺害 | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V7.水竜殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V9.アサシンを返り討ち | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 背景的 |
V12.邪神殺し宣言 | 殺傷 | この時点では 未遂 |
否定的 | 自然的 | 主題的 |
V14.ガラハドを殺害 | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V15.巨鳥殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V16.邪神殺し | 殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 主題的だが 実質背景的 |
V20.オブシダンソード強奪 | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V26.地竜殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V31.商船員を殺害 | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V32.皆殺しに賛成 | 殺傷 | 未遂 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V34.暴君殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V35.死神殺し | 殺傷 | 直接的 | 許容 | 自然的 | 主題的 |
V36.仲間の命を差し出す | 殺傷 | 直接的 | 否定的 | 自然的 | 主題的 |
V37.戦闘における殺傷 (味方側から敵側に対しての殺傷) |
殺傷 | 直接的 | 肯定的 | 自然的 | 主題的だが 実質背景的 |
即ち、プレイヤーが関与する「生殺与奪」(生かしたり殺したり、与えたり奪ったりを自分の思うようにできる)描写である。
これらを分類すると以下のように(a)~(g)の7通りに分けられる。
戦闘有り | |||
相手から仕掛けてくる | 人間、人外問わず相手から仕掛けてくる | V5、V9、V37 | (a) |
こちらから仕掛ける | |||
「悪を倒す」という大義名分で殺める | V3、V16 | (b) | |
何かしらの目的のために人外を殺める | V7、V15、V20、V26、V34、V35 | (c) | |
何かしらの目的のために人間を殺める | V31 | (d) | |
戦闘無し | |||
実際に殺める | 何かしらの目的のために人間を殺める | V14、V36 | (e) |
実際に殺めない | |||
人間が神を殺めようとすることを拒絶 | V12 | (f) | |
人間を殺めることを推奨する | V32 | (g) |
(a)「V5.ハルーンを殺害」「V9.アサシンを返り討ち」「V37.戦闘における殺傷(味方側から敵側に対しての殺傷)」
このタイプは「相手から攻撃してきた場合には、返り討ちにして相手を殺めてしまっても何も悪くない(過剰防衛であっても、正当防衛ならば許される)」というマルディアスの理(ルール)である。襲ってきたのがモンスターの場合だけでなく、人間の場合に対しても適用されている。(このタイプでは悪行値が加算されない。)
(b)「V3.アフマドを殺害」「V16.邪神殺し」
このタイプは「悪い奴・悪いことをしている奴ならば、こちらから危害を加えて、その結果殺めてしまっても何も悪くない(正義の名のもとに天誅を喰らわす)」というマルディアスの理(ルール)である。人間に対してだけでなく、神に対しても適用されている。(このタイプでは悪行値が加算されない。)
(c)「V7.水竜殺し」「V15.巨鳥殺し」「V20.オブシダンソード強奪」「V26.地竜殺し」「V34.暴君殺し」「V35.死神殺し」
このタイプは「自分の目的のためならば人外の存在を殺めても何も悪くない」というマルディアスの理(ルール)である。人外にはモンスターだけでなく、神も含まれる。(このタイプでは悪行値が加算されない。)
(d)「V31.商船員を殺害」
このタイプは「自分の目的のために人間を殺めることは悪いことであるが、相手に反撃の意思があるようならば多少の犠牲は仕方がない」というマルディアスの理(ルール)である。(このタイプでは1人殺害するごとに悪行値が1加算され、悪行値が1以上でガラハドから、10以上でハオラーン(エロール)から「悪人」呼ばわりされるようになる。「人間のガラハド」と「神エロール」の悪行に対する寛容さの違いが明確に表現されている。)
(e)「V14.ガラハドを殺害」「V36.仲間の命を差し出す」
このタイプは「自分の目的のために無抵抗の人間を殺めることは悪いことである」というマルディアスの理(ルール)である。(このタイプでは、1人殺害することで悪行値が最大値の15になり、即「悪人」呼ばわりされるようになる。)
(f)「V12.邪神殺し宣言」
このタイプは「神に殺意を向けるなんてとんでもない」というの神々信仰者の倫理である。(このタイプでは悪行値が加算されない。)
(g)「V32.皆殺しに賛成」
このタイプは「自分の権威のため(周りに畏怖を与えるため)ならば積極的に人間を殺めても良い、殺めるべきだ」という悪逆非道な海賊の倫理である。(このタイプでは悪行値が加算されない。)
上記の7タイプの意味合いはシステム面を踏まえての解釈であるが、ロマ1ではシステム面の情報が全て隠されているし、行動の結果の良し悪しが即座に分かるわけでもないので、実際のプレイにおいてはもっと表面的な意味合いとして捉えられてしまうと思われる。
即ち、(a)~(g)のどれについても、「自分の目的のために誰かしらを殺めてしまっても、自分に致命的なペナルティーがあるわけではないから、何も問題無い(自分に実害が無いならば生殺与奪をしても良い)」というような意味合いである。
この意味合いがロマ1をプレイする範疇でのことならば特段問題は無いと思う。
しかしながら、先の筆者のバタリアンの例のように、子どもは必ずしも現実と虚構・作り物を区別できているわけではないので、ロマ1のプレイを通して上記のようなマイルールが形成されてしまう可能性があるならば警戒するに越したことは無いように思う。
#「現実とゲーム・虚構の区別はできるだろ!」と思うかもしれませんが、これは要は「あなたはサンタクロースを何歳まで信じていましたか?」という話である。
(3)もう一つ懸念すべき視点
(2)では「子どもにとって有害になりえるか?」という視点でロマ1の事柄を見直してみたが、CEROレートが設定されるに至った経緯を鑑みると、もう一つの視点についても検討する必要がある。
それは「現実と虚構の区別がついていない?虚構を曲解して現実を結び付けようとする?ような傾向のある人が観た時にどう受け取るか、感じるか。」である。
「現実と虚構の区別がついていない」と言うと、子どものことではないかと思うかもしれないが、ここで論点にしているのは「表面的に受け取る子ども」ではなく「知識があって変な深読みや妄想をする人」である。
例えば、「思想に関する不適切な描写」で挙げた「W5.アフマド」及び「W6.ハルーン」は「現実世界の特定の文化圏で名付けられる名称を想起してしまう」という理由でWSC版では名称が変更されたと思われるということを述べたが、「現実世界の特定の文化圏で名付けられる名称を想起してしまう」という理由だけならば他の登場人物も名称変更の対象になりえるだろう。
しかしながら、実際にWSC版で名称変更されている登場人物が「アフマド」と「ハルーン」だけなのは、ロマ1においてアフマドは愛人と不倫し、奴隷商人と手を組んで、ハーレムでキャッキャしている国家元首、ハルーンは政権奪回のためならば誘拐や生贄、モンスターと手を組む等、手段を選ばない太守というように、どちらも物語として(システム面としても)殺められても仕方がない悪人として描かれているからであろう。
それ故に、普通にプレイしているだけならば「アフマドやハルーンは悪い奴だな」くらいにしか思わないかもしれないが、曲解する人には「現実世界の特定の文化圏に悪いイメージを持たせるものだ」というように捉えられてしまう可能性もあるのである。
#この点については製作側の落ち度もあるようには思う。
事例として「アフマド」と「ハルーン」について述べたが、他の事柄についても曲解されてしまう可能性は十分にあるだろう。
(4)本稿における結論
(2)において、ロマ1ではシステム面の情報が全て隠されているし、行動の結果の良し悪しが即座に分かるわけでもないので、実際のプレイを通して子どもが「自分の目的のために誰かしらを殺めてしまっても、自分に致命的なペナルティーがあるわけではないから、何も問題無い(自分に実害が無いならば生殺与奪をしても良い)」というマイルールを形成してしまう危険性を指摘した。
また、(3)において、ゲーム内の事柄を曲解してしまう人は、本稿で挙げた105個の事柄についても曲解してしまう危険性を指摘した。
この考察結果を踏まえて、今一度ロマ1のCEROレートを見てみましょう。

上図のように「CERO C, 15歳以上対象」の横に銃のマークが付いている。
このマークはCEROレーティング制度によると、「犯罪」描写が含まれていることを意味するようである。

しかしながら、(2)で指摘したように子どもにとってロマ1で特に有害であると思われるのは「生殺与奪」の「暴力」描写である。
その「暴力」描写の結果として「死」も伴うので「恐怖」描写もあるだろう。
そして、その「暴力」描写は当然「犯罪」描写に含まれうる。
従って、子どもにとっての悪影響を考慮すればロマ1には「暴力」「恐怖」「犯罪」の3つのマークを付けたほうが適切だと思われる。
ただ、(3)で指摘した曲解の可能性も考慮すると、2.及び3.で挙げた全ての事柄が危険性を孕んでいることになるので、「恋愛」「セクシャル」「暴力」「恐怖」「犯罪」「言葉・その他」の6つのマークを付けたほうが適切ということになるだろう。
#「恋愛」は「不倫」に該当する「S3.アフマドと娘」である。

なお、VC版ロマ1が「CERO C, 15歳以上対象」で「犯罪」マークだけなのに対して、ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスターは「CERO B, 12歳以上対象」で「恋愛」「セクシャル」「暴力」「犯罪」「言葉・その他」の5つのマークが付いている。ミンサガの5つのマークを踏まえれば、原作のロマ1に上記の6つのマークを付けるという話は概ね妥当と言えるのではないだろうか。
おわりに:
CEROレートによるとロマ1はロマ2やロマ3よりもヤバい認定されている。
ロマ1はそんなにヤバいのか?という疑問を出発点として、本稿ではCERO基準を参考にしてロマ1を見直してみた。
その結果、ロマ1には思いの外多くの危険の種が含まれており、子どもへの影響や万が一のことを考えるとヤバい認定はやむを得ないということで納得した。
ロマ1プレイヤーはもう慣れてしまって当たり前のことになっていると思いますが、ロマ1は危険な爆弾をいくつも抱えているということを認識する良い機会になったと思います。
ただ、CERO基準で見てロマ1がヤバい認定されるのはやむを得ないにせよ、ロマ1が魅力的なゲームであるというのもまた事実。
ロマ1の魅力の一因は「フグは毒があるから美味しい」みたいなもので、ロマ1も毒があるからきっと美味しいのでしょう。
故に、毒への耐性が備わってきて毒で狂わないようならば、ぜひロマ1という極上の毒を味わっていただきたいものである。
Special Thanks:eicoさん(ミンサガ調査プレー記)